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スウェーデンの公衆衛生政策 1 健康的な生活を、同じ条件で、すべての人に保障(K)

2012-10-29 | 税と社会保障の一体改革
 「税と社会保障の一体改革」の名の下に消費税増税と、社会保障切り捨てが行われようとしている。これでは、そもそも社会保障の充実などとはなりえない。
 社会保障の充実とはどんなことを言うのか。「誰もが安心して暮らせること」というのは誰もが賛成できるのではないだろうか。ところで、安心して暮らせる大元には健康な生活が保障されていることである。今回は、その健康な生活を誰にも保障するとしている、スウェーデンの公衆衛生の制度を見てみる。
 スウェーデン政府のHPに掲載されている公衆衛生政策を私の地域の知人の協力を得てようやく翻訳してみた。原文は http://www.fhi.se/en/About-FHI/Public-health-policy/ である。2009年3月12日に更新されたものだが、現在のHP上でも掲載されている。(*誤りがあったら、ぜひ、ご連絡ください。)
 公衆衛生政策の目的(健康的な生活を、同じ条件で、すべての人に保障する社会的環境を作り出すこと)、そして、それを具体化するための11の分野別目標、そして、その分野別目標の実現のための政策が紹介されている。注目すべきは、健康は自己責任ではなく、国の政策として健康な生活をすべての人に保障している点である。翻訳に協力してくれた知人の方は、スウェーデンに滞在中、病気をしたとき、入院費も含めて医療費はすべて無料だった。その上、退院するときには、入院の感想の聞き取りアンケートがあったそうである。そんな、スウェーデンの公衆衛生政策、今回は、導入部分である。

Public health policy - 11objectives
公衆衛生政策―11の目標


 The overarching aim of Sweden’s national public health policy is to create social conditions that will ensure good health, on equal terms, for the entire population.
 スウェーデンの国の公衆衛生政策の総合的目的は、健康的な生活を、同じ条件で、すべての人に保障する社会的環境を作り出すことです。


A national policy based on health determinants
公衆衛生策定基準に基づく国の政策


 Public authorities at all levels should be guided by 11 public health objective domains which cover the most important determinants of Swedish public health. The benefit of using determinants as a basis for policy is that they enable us to evaluate progress. This in turn supports political decision-making as determinants can be influenced by certain types of societal measures.
 すべての段階(国・県・地方)の行政機関は、スウェーデンの公衆衛生に関して最も重要な基準を網羅している11の公衆衛生の目標分類を指針としなければならない。政策の基礎として基準を用いることの利点は、これによって私たちが進展を評価できるようになることである。ある種の社会的計測手法が政策策定基準に影響を与えることができるので、次は、順番としてこの基準が、政策決定をサポートする番なのである。

The 11 objective domains(11の目標とする分類)
1. Participation and influence in society (社会への参加と社会への影響)
2. Economic and social prerequisites (経済的社会的前提条件)
3. Conditions during childhood and adolescence (幼少期および青年期の環境)
4. Health in working life (労働における健康)
5. Environments and products (環境と製品)
6. Health-promoting health services (健康増進サービス)
7. Protection against communicable diseases (伝染病に対する保護)
8. Sexuality and reproductive health (性と生殖に関する健康)
9. Physical activity (身体の運動)
10. Eating habits and food (食生活と食品)
11. Tobacco, alcohol, illicit drugs, doping and gambling (タバコ、アルコール、違法薬物、ドーピングとギャンブル)

各論には5の「環境と製品」はない。

次回からは各論である。