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東日本の被災地は今 仙台編 今とボランティア活動 2012.10.5(K)

2012-10-09 | 被災地復興
 行政ではないところがどんなボランティアをしているのか、そんな興味もあって日本共産党の仙台東地区救援・復興支援センターを訪ねた。ボランティアセンターの専従職員だった阿部さんが3時間ほど市内を案内してくれた。
 宮城野区の中野小学校とその周辺、津波で流されたバイクやモーターボートの置き場となった若林区の荒浜小学校の周辺と住宅地跡、隣の名取市のゼロメートル地帯の閖上(ゆりあげ)地区、を見学できた。1年半以上も現地でボランティアのための専従をしてきた経験豊かな説明を聞くことができて、とても充実した見学だった。ここでは、特に被害の大きかった名取市の状況を紹介したい。


名取市ゼロメートル地帯 閖上(ゆりあげ)地区 一面に空き地が広がる

 閖上地区はゼロメートル地帯だったので、引き波はなかった。このあたりは6mの津波が来た。
 中学校の屋上に逃げた生徒は無事だったが、閖上中学校で14人、閖上小学校で1名が亡くなった。



学校の玄関前に作られた石碑



石碑と並んで置かれた学校の机の上に書かれた言葉


同上 その隣の机


 
 名取市の閖上には6.3mの日和山があったが、山なので津波が上がってきた。避難した人のうち助かったのは木に登った1人だけだったと聞いている。

今も空き地が無限に広がる 日和山より

 最初に自衛隊が入って大きながれきを片付け、また自衛隊が来て今度は赤い旗を立てていった。そこには死体があるという目印だった。一面が赤い旗になった。

仙台市の津波浸水対策
 6mの高さの高速道路・仙台東部道路が防潮堤の役割を果たしたので、その東にある県道10号線を6mかさ上げして津波を防ぐとしている。そして、その陸側は家を建ててもいいとなっている。そこで、仙台市は家の再建への補助として、道路の陸側の家は300万円、海側の家は1300万円の補助を出す。土地の買い上げ料みたいなもので、県道10号線の内側に家を建てるように誘導している。


仙台市の津波浸水対策図(仙台市の防災集団移転事業についての説明資料より)

・道路をかさ上げして、津波の浸水を防ぐ
・かさ上げする道路:現在の県道塩釜亘理線(10号線)を6mかさ上げ+南蒲生・新浜地区で市道岡田107 号線を延長した位置
・海岸・河川堤防:井土浦で海岸堤防を名取川河口まで設置(下図のとおり)


 下の図-2の①の地区を移転対象地区として,災害危険区域の指定を行い,住宅の新築や増築などを禁止し,より安全な西側地域へ移転することにより,安全性を確保する。



ボランティアの現在の仕事
 一般家庭の泥かきとかは市の社会福祉協議会が引き受けてきたが、今はそれもNPOに委託している。NPOのところにはボランティアは大勢きて行っている。
 共産党のボランティアに来た人は、市の行政から漏れたところ、即ち、営業補償をしないことを理由に支援されない農家のハウスや、自営業のための器材の清掃、被災地となり空き地になった所有地の草刈りや木の手入れ、などをしている。花屋のトレーの泥掃除、バザーも開いた。これからも行政(=社協の委託を受けたNPO)がしない仕事や、細かい仕事があるのでボランティアは必要、という。
 今日、NHKラジオのニュースで「ボランティアの人に大変お世話になってカーネーションを出荷することができました」という名取市のカーネーション農家の方の便りが紹介されていた。


日常を取り戻すために…見学して思うこと
 命と、住居と、生業・雇用の場が回復してこそ、初めて復旧の出発点に立てるものである。家の再建への補助も十分ではない。先日のNHKのテレビでも復興予算19兆円が地元の復興に関係のないところに使われていることを報道していたが、とんでもないことだと思う。
 また、現地では生業・雇用が進んでいない。これを誰が進めるのか。津波で店舗も商品も設備も流されて、どう再建するのか。人の自分の土地への愛着から被災した土地であっても荒地にしたくないと言う思いを誰が手入れしてくれるのか。仮設住宅で天気のいい日には洗濯物を外で干したいという当たり前の気持ちを誰がかなえてくれるのか。福祉のためという社会福祉協議会を通しての行政の限界と、補完が必要な分野があることも感じた見学だった。