趣味の日記

観劇・歴史・小説・漫画などなど、思いつくままの語り日記

宙組青年館

2014-03-01 23:55:05 | 観劇
まぁ君の青年館、観てきました。
「月雲」に引き続き、適材適所でお芝居をじっくりと見せる佳作。
じわじわと切なく、優しく、透明感のある作風の物語。そつがなくて、きっちりまとまっているのが、上田先生デビュー作だった「月雲」よりもさらに良かったんじゃないかと。
・・・でも、なんだろう?私のマニア琴線には、あまり触れてこない。題材もマニアックだし、描き方もわりと好みの作風なはずなのに。ドハマりするオギーとか大野先生とかとは、またちょっと違う哲学っぽさが、美しすぎて私には物足りないのか(苦笑)。もうちょっと毒気というか腐臭が漂うほうが、ツボにくるんだけど(オイオイ/笑)。
いや、だからこそ、一般ウケは良いだろう(爆)と思います・・・。

ブラームスのまぁ君。
そうか、まぁ君はこういう役がハマるのか!と納得。「銀英伝」のキルヒにも通じる純粋性。
少年の面影を残し、無垢で真面目。その透明感がとても綺麗で、イヤミがない。
バウの「上海」も「コードヒーロー」も、そういう意味ではすごく背伸びして大人の役をやろうとしてたんだなぁと思ったくらい、少年がハマってます。
あまりに美し過ぎ、綺麗過ぎて、主役としての濃いアクがない分、何かすごく若手さんの主演作を観てるような気がしましたけど(笑)。
クララ・シューマンのうららちゃん。
とにかく、綺麗でしたね~~~!上品で落ち着いた佇まい。美しい立ち姿。惜しむらくは、歌うとあれれ?になるところでしょうか(苦笑)。
夫を支え、良き妻、良き母、そして凛とした強さと優しさを持つ女性として、すごくヒロインとして美しく描かれてました。
シューマンの緒月君。
ラストのまぁ君の台詞にも重なりますが、緒月君の存在の包容力あればこそ、まぁ君とうららちゃんのお芝居が成立する、まさにそんな作品ですね。
懐の広さと、大きな優しさと、繊細な心弱さと、それらを穏やかに、過不足なく、求められる役割としてきちんと演じられる緒月君って、やっぱりすごいな~と思いました。

シューマンの友人ヨーゼフの、さやと君がすごく良かった!
自らと周りをよく見て、だからといって斜に構えることなく、明るく前向きに生きている。手に入らないものを無理に求めようとはせず、でも全てにおいて誠実で優しい。そのあたたかさがとても印象的でした。
クララの生徒、ルイーゼのれーれちゃんも、良かった。
女の子らしい素直な可愛さと優しさ。恋をあきらめても、それでも穏やかな幸せをつかみ、誠実に思いやり深く生きてきたのだとわかる、晩年の姿。
リストの愛月君。ライバル役のギラギラ感よりも、もうちょっと花形音楽家のキラキラ感のほうが欲しいかなと思いましたが(苦笑)、後半の、クララのためにシューマンの曲を演奏している、というくだりが、素敵でした。悪い人物ではないと、きちんとわかる。
登場人物たちが、それぞれに自分自身に誠実に、丁寧に生きている中で、象徴的存在として実体のないベートーヴェンを演じていた、凛きら君の配役の妙に、上田先生ビンゴ!と思いました(笑)。
たった一人、強烈なアクを放ってインパクトのある、濃い存在感を出せるのが、このメンバーの中で凛きら君だったというのが、あまりにハマっててツボでしたね~!(「月雲」のゆうま君もこの位置に当たるか/笑)

全体を通して、静かで切ない淡々とした空気感と、登場人物一人一人が丁寧に誠実にそこに存在している作品としてのクオリティが、何となく宝塚というよりも、一般舞台を観ているような気がしました。「月雲」でもそんな感じはちょっとしましたけど・・・。
絵としての美しさや、毒のない透明感は、宝塚だからこそ醸し出せるものでしょうが。
上田先生の丁寧なそつのなさが、スターさんたちの強烈なキャラの濃さを表現するところに、まだたどり着いていないのかな?そのバランスが取れるようになると、もっともっと面白い、新しい作品が出来るんじゃないかと、そんな風にも期待したいですね。

コメント
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