旧東海道散歩の途中、大津の商店街で開催されていた「琵琶湖疏水展」で琵琶湖疏水について学んで以来、「いつか琵琶湖疏水船に乗りたい」という気持ちが強くなり・・・昨年秋、念願叶って乗船することができました。
明治時代に入ると日本の中心が東京へ移ったことで、京都の人口は減り、産業も衰退しました。そこで京都復興を目指し計画されたのが琵琶湖から京都へ水を引く「琵琶湖疏水」です。当時の土木工事は外国人技師が中心となって行われていましたが、琵琶湖疏水は日本人のみで行われた初の大土木工事でした。完成後は大津から京都、そして大阪まで舟による物流の経路として大変栄えましたが、時代ともに舟運は途絶え、1951年廃止となりました。
そして67年後・・・2018年観光船として復活したのが「琵琶湖疏水船」です。
今回乗車するのは、大津から山科を経て京都の蹴上へ向かうルートです。
集合場所は京阪三井駅近くの「大津閘門(こうもん)」
閘門は、水門を開けることで水位を調整し、舟を通過させる場所でした。現在、船は通過することはできませんが、今後は「乗船しながら水位の調整を体験する」という計画もあるそうです。楽しそうですね。
尚、この場所は滋賀県大津市にありますが、京都市が管理しているそうです。
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いよいよ乗船!
ガイドさんの詳しい説明を聞きながら遊覧します。
隣に座った外国人のご夫婦から「少し日本語はわかるけど、早口で何を言っているかわからないので、危険なことがあったら教えてね」と頼まれました。説明なしで遊覧するのは少し厳しいかも・・・と心配になりましたが、案外景色を見て楽しんでいる様子で安心しました😀
「第一トンネル」に入りました。
入口(東口洞門)には伊藤博文、出口(西口洞門)には山県有明の扁額(トンネルの坑口などに掲げられた記念碑的な額)がありました。琵琶湖疎水の各トンネルの出入口には当時の名だたる政治家の扁額が掲げられ、日本の巨大事業であったことがうかがえます。
トンネル内には北垣国道(琵琶湖疎水を計画した第三代京都府知事です。)の巨大な扁額もありました。
第一トンネルの長さは2436mと当時の日本最長のトンネルでした。
このトンネルを掘るために、山の両側から掘っていくだけでなく、山の上から下に向かって垂直に(深さ47mの)穴を掘り、そこから両側に掘り進める「竪坑方式」が採用され、工期の短縮が図られたそうです。
本格的な紅葉には少し時期が早かったですが、それでも十分美しい景色でした。
大地震による堤防決壊時に水流を自動停止する「緊急遮断ゲート」
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琵琶湖疎水に最初に架けられた「藤尾橋」
「四ノ宮船溜(ふなだまり)」
荷物の上げ下ろしや人の乗降のためにつくられた舟の停泊場です。現在は 山科の下船場として利用されています。
「諸羽トンネル」長さ520m
毘沙門堂の参道に架かる「安朱橋(あんしゅばし)」
😀 疏水の下には安祥寺川が流れ、疏水と立体交差しています。
左岸(南側)は「天智天皇陵」です。
本圀寺(ほんこくじ)へ向かう「本圀寺正嫡橋(せいちゃくばし)」
第二トンネル東口には井上馨、西口には初代海軍大臣西郷従道(西郷隆盛の弟)の扁額が掲げられていました。
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第二トンネルは琵琶湖疏水の中で最も短いトンネル(長さ124m)・・・東口(入口)は半円型ですが、西口(出口)は珍しい馬蹄型です。
日本初(1903年)の鉄筋コンクリート橋「第11号橋」
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「第三トンネル」長さ850m
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東口初代大蔵大臣松方正義、代内大臣三条実美の扁額が掲げられていました。
トンネルの中に入ると・・・壁に写真が映し出され、改めて琵琶湖疎水の説明がありました。
トンネルを出ると・・・
終点の「蹴上乗下船場」に到着しました。
レンガ造りの立派な建物は「旧御所水道ポンプ室」
防火用水として御所に水を送る専用の水道「御所水道」のポンプ室です。
念願の琵琶湖疎水船・・・とても素敵な船旅でした。