金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

137-138:ウェルザード『カラダ探し〈上〉・〈下〉』

2022-06-15 21:35:23 | 22 本の感想
ウェルザード『カラダ探し〈上〉・〈下〉』
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

学校にまつわる赤い人の怪談。
「ねえ、明日香……私のカラダを探して」。
明日香達は、夜の学校で友人の遥の
バラバラにされたカラダ探しをすることに。
カラダをすべて探さないと、永遠に11月9日は繰り返され、
赤い人に殺され続ける。
明日香達を襲う赤い人の正体は? 
遥はなぜカラダ探しを頼むのか? 
Eエブリスタのホラーランキングで1位を獲得した
サバイバル学園ホラー!!

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自分では絶対に手に取らないweb小説&ホラー。
付き合いで読んだ。
こういうケータイ小説独特の横書き文庫、
久々に読んだなあ。
「逢魔高校」のネーミングに笑ってしまう。

web発の小説は、ある程度読み進めないと
「意図的にこういう書き方をしているのか、
 それとも、単純に書き方が下手なのか」
がわからないのだが、これは後者。
登場人物同士の関係とか、「昨日、猫が轢かれた」こととか、
たぶん、プロ作家だったらカットバックの手法を使ったりして
序盤に書いておくと思うんだけど、
「前振りなしでいきなり書く」or「後出し」or「一切触れない」
のどれかで処理している。
でも、こういうのも、webで追っかけている分には
気にならない人が多いのかも。

恐怖によって本音をさらけ出したり、
もともとあまり好ましく思われていなかった面が強く出たりして、
人間関係がどんどん悪くなっていくところとか、
展開に緩急つけて興味を惹き続ける工夫をしているところが
うまい。
「よくない振る舞いをした奴はボコっていい/
 ひどい目に遭わせてもいい」
という高校生の集団における発想が、
なんか妙にリアリティがあった。

過去の事件よりも恋愛面にフォーカスする形で
終わってしまったことにモヤモヤ。
ホラーなんだから、超常現象に関して
理由の説明を求めるものではないのかもしれないが、
いろいろと腑に落ちない。
しかし、コミカライズ&映画化しているそうなので、
他者の手が入れば、そこのあたりは
うまく処理してもらえるのかも。

余談。
「女の子同士でおっぱいもみ合って
『巨乳~!』『やだ、やめてよ~!』
と言い合うシーンを書く作者は、おっさん」
の法則、この作品も例外ではなかった……。

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135/136:合田蛍冬・三石メガネ『小悪魔女教師サイコ〈1〉・〈2〉』

2022-06-14 19:19:15 | 22 本の感想
合田蛍冬・三石メガネ『小悪魔女教師サイコ〈1〉・〈2〉』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

荒廃したクラスに美人の新米教師・葛西(かさい)先生が
やってくる。
実は、前の担任は生徒からのいじめにより
自殺未遂を図り入院してしまったのだ。
「私が教師になったのは、生徒を幸せにするため」
とほほ笑む彼女に、いじめっ子たちの陰湿な嫌がらせが始まる。
しかし、生徒たちはまだ知らなかったのだ、彼女の本性を……。
葛西先生は、サイコパスーー!?

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ネットで最近頻繁に広告を見かけるやつ。

なんだこれ……
面白いと言ったら不謹慎になるが、面白い。

見た目は可愛いサイコパスの女教師が、
更生することがないであろう生徒を殺すわ陥れるわして
問題を解決するのである。
突き抜け抜けたザマア系。

新章は、ヒロインがまだ手を下していないので
わりとまともな教師ものをやってる感じがするが
どうだろう。

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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯23

2022-06-12 21:57:41 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第23話「狩りと獲物

「成長著しい金剛」(笑)
突っ込まれるとわかってる点を先回りして
言っちゃう公式。

謀反だったのに仇討ちにすり替えておさめた、
というのは永井路子先生の「裾野」でも
描かれていたので
そこまで新鮮味は感じなかったのだけども、
いろんな要素を乗っけて自然に処理してたのは
今回もお見事だった。

接待ゴルフができない金剛、
あからさまなヤラセだとわかっていても
ふてくされずレベルアップを誓う万寿、
と大人バージョンになった二人のキャラクターも
しっかり見せていた。
頼家と泰時は仲がよくなかったっぽいのだが、
今回は、万寿が本心を金剛にだけ見せたり、
自分の身を守らせたり。
万寿が、狩りはできなくても、
有事の際の素早い状況判断ができるのだということを描いていて、
今回のドラマでは、「再評価されつつある頼家」の方向で行くのかな。

今回もスケベ心から難を逃れる頼朝。
「天の導き」と言ってたが、
その「天」って性欲のことなのでは??
浮気の手助けをしたために殺されてしまった工藤祐経のこと
誰も悼んでないのがなんとも。
特に今回、調子に乗って偉そうな様子描いてたからな。

範頼はやはり、誅殺を回避できない……😭 
大江殿、報告の仕方に悪意ありすぎるよ~。
でも、情報が錯綜していて、
何が起こっているのかわからないという異常事態の中、
みんなが平常心を失っていても
大江殿は外しちゃいけない手続きを絶対外さない、
間違えないんだよな。
こういう人が、異常事態の中の皆のおかしな言動を
冷静に観察してるの、ほんと怖い。

【その他いろいろ】

・天然っぽい時連、相変わらず不吉なこと言う大姫。

・曽我兄弟は、時政に迷惑がかかってもいいと思ってたんかな……

・重忠、今回もかっこよかった。

・比奈ちゃん、いつのまにか小四郎ラブになってる。
 鹿の糞も平気で触る、実用的な女、嫌いじゃない。

・イノシシに追いかけられるシーン、別のドラマかと思った

・万寿を慰めにきた梶原が「毒餌をまいておけば死屍累々」って
 言ってたの、ギャグシーンだったのか??

・頼朝と万寿の訃報に、
 実衣ちゃんは思わず野心を口にしちゃう。
 全成にたしなめられて、
 自分でもびっくりしたように口をおさえてたの、
 「自分もいつの間にか毒されていた」という感じで、
 今からすでに気が重い……。
 人が死にすぎるよ、このドラマ!

・頼朝の浮気を強く諫める盛長。
 「これで最後!」って、頼朝が彼の許可を取ろうとしてるのが
 「おや?」ってポイントだったのだけども、
 これは工藤と入れ替わる展開のためだったのね。

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130-134:PEACH-PIT 『清少納言と申します〈1〉~〈5〉』

2022-06-10 13:52:15 | 22 本の感想
PEACH-PIT 『清少納言と申します〈1〉~〈5〉』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

時は天元――春。
橘氏長者の長女・光子は、溺愛する弟・則光の婿入りに
ショックを受けていた。
則光の結婚相手・なぎ子は、輝く美貌と雅なセンスの持ち主。
しかし、なぎ子の言動に不審なものを感じた光子は、
二人の離縁を画策する。
光子がたどり着いた、なぎ子の秘密とは――!?

後の清少納言である、なぎ子の奔放かつ胸に刺さる言葉の数々。
歴史漫画の枠にとらわれない、
これまでになかった新たな平安絵巻、開幕!

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2巻は再読。他は初読。

ロリ定子様が可愛いよ~!!
定子さま以外も、デフォルメされた絵が本当にキュート。

義姉の婚活が、花山天皇の登場に繋がるとは。
ヒロインはサングラスかけてるし、
ばんばんカタカナ言葉も使うのだけど、
ちゃんと勉強して崩しているのが分かるので、安心して読める。

定子―清少納言の物語であるから、
どうしても中関白家サイドに立って話が進むため、
どんなにイケメンに描かれていたとしても
やっぱり道長が嫌な感じ。


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129:松田志乃ぶ『 嘘つきは姫君の始まり』

2022-06-10 13:39:25 | 22 本の感想
松田志乃ぶ『 嘘つきは姫君の始まり』
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

密室から姫君が消えた!?
破天荒姫君&乳姉妹が身分を入れ替えて謎を追う!

時は平安。
美しくも破天荒な没落貴族の姫君・馨子と
乳姉妹の宮子は貧しいながらも幸せに暮らしていた。
ある日、馨子が超名門貴族・九条家のご落胤だと発覚、
一家に迎え入れられることに。
が、馨子には名乗り出られないある事情があった。
脱・貧乏生活をもくろむ馨子の提案で
主人と女房の立場を入れ替えた二人は九条家へと向かう。
そこでは密室から姫君が消えるという事件が起きていて……!?

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ラブコメパートがなんか古いな……と思っていたら、
コバルト文庫から出ていたものを再刊したものらしい。

エンタメなんだし、喋り口調も、キャラクターの性格も、
その思考パターンも、現代的で全然構わない。
コメディなら、カタカナ語を使ったって気にならない。
でも、その分、ディテールをちゃんとしてほしい。
「週二度はきてくれています」
はダメだよ、さすがに……。
この時代、期間を表すものとしての「週」の概念はなかったはず。
「三日に一度はきてくれる」と書いても大差はないのだから、
これは「わかりやすく現代語で置き換えた」という言い訳は
通用しない不注意だと思う。

事件とその事情に対して話が長すぎる、
そこまで大がかりなことをする必要性が感じられない、
という欠点はあれど、表紙とキャラクターは好き。
性に奔放で、お腹の子が誰の子かわからないと
あっけらかんとして言う薫子姫のキャラクターも、
きっぱりとした性格と賢さゆえに、マイナスにはならない。

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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯22

2022-06-05 22:15:03 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第22話「 義時の生きる道

今回も不穏な気配は漂っているけども、
久々に 安心して見ていられる回だった。
トピックとしては3点。

・ 妻を失った小四郎の傷心、託児所崩壊
・ 頼朝上洛と後白河法皇の死
・ 曽我兄弟の仇討ちと同時進行する頼朝暗殺計画

比企の夫婦は比奈を頼朝の側女にしようとするが、
政子に阻まれ、 言い逃れをしようとした頼朝が原因で、
小四郎に再婚の話が。
色恋事になるとしつこい」
「むっつりでしょう、聞いたことある」
「薄気味悪くて」
比奈と道にけちょんけちょんに言われている小四郎、
確かに小四郎からモテ男のオーラ一切出てない。
頼朝が比奈を側に置こうとしたときの、
安達殿のうろたえぶりに笑ってしまった。

しかしまあ、 比企ファミリーは悪巧みしていても
常に楽しそうでいいね。
比企の優遇ぶりも結構なものだと思うんだけど、
岡崎のじいさんは、 頼朝を殺して北条を追い落とす企みに
比企を誘うんだなあ。
比企能員の方があからさまに 悪役ムーブをしているのだが、
自分達より小身だったのに成り上がった北条に対する憤りの方が
強いんだろうか。

【その他いろいろ】
・ 坂東老人会の愚痴をちゃんと聞いてあげ、
 比企に「蒲殿が鎌倉殿であったならって言われてるよ」
 とそそのかされても決して乗らない 慎重な範頼。
 彼を巻き込まないであげて~!!

頼朝が来ると子供たちがみんな逃げていくの、
 地味に面白かった。前も逃げられてたもんな。

・ 前回のこと 全く 気にしている様子がない平六。
 新しい女で忘れろと言い出す始末。

・ 和田義盛に対する態度がだんだんぞんざいになってきていた小四郎、
 今日はタメ口きいていた。

・ 「俺達みたいな田舎者と飲んでも楽しくないだろ」
 と絡まれても上手く切り返す大江広元。
 知られたら一気に憎悪を向けられるようなことを
 彼もしているのだが、殺されずに生き延びるだけあって、
 如才ない。

・ 坂東老人会、放っておくとすぐ謀反を企む~。
 千葉殿はまた「九郎殿は強かった」。
 土肥殿、声が大きい。

・全成、だんだん口調が崩れてきた。
「私の占いが半分しか当たらないの知っているだろう!?」
 長期的には当たる内容を口にしてたよ。

・ 実朝誕生。三幡の存在がスルーされている気がするが、
 言及されたことあったっけ?

・ 株が上がりぱなしの政子。
 久々の姉弟らしいやり取りが良かったな。

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128:河村恵利『青野赤原―室町足利伝―』

2022-06-04 21:22:55 | 22 本の感想
 河村恵利『青野赤原―室町足利伝―』
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

東国を治める鎌倉公方・足利家は、同じ一門でありながら、
京の足利将軍家と不仲が続いていた。
やがてそれは様々な乱の火種へと…!?
関東地方の戦国時代の始まりを描いた珠玉の時代ロマン!!

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『かりそめ夜叉』と同様、室町時代は元ネタをよく知らないので
河村先生のアレンジや解釈を楽しむことができず
魅力を受け取ることができなかった。
鎌倉公方と京の将軍家の間に確執があった、という
教科書レベルの記述しか知らないのだ。
上杉禅秀の乱も聞いたことあるなぁ……という薄い知識しかない。

これは勉強してからもう1回読み直したいな。


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映画:『オールド』

2022-06-04 21:07:33 | 映画の感想
2022年の映画①『オールド』(M・ナイト・シャマラン監督)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。
楽しいひと時を過ごしていた矢先、
ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している??
母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。
なんと6歳だった息子は、
少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。
一体このビーチで何が起こっているのか?

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Amazonプライムにて。
なんとびっくり、今年初めての映画だった!
5ヶ月も映画を見ていなかったとは……。

基本的には、ポスターや予告からわかる、
「あるビーチにいると、異常な速度で歳をとってしまう」
という話で、この現象に関して、
「ものすごい意外な展開」などはない。
どんどん歳をとったり病気が悪化したりしていくことよりも、
何をしでかすかわからない人と密室に
閉じ込められるのが怖い。
セックス→即、妊娠・出産には笑ってしまった。

オチというか明かされた真相は、ややしょぼく感じるものの、
「なぜここへ連れてこられたのか?
 ここへ連れてきた連中にどんなメリットが?」
という謎に対するアンサーにはきちんとなっている。

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125-127:朱戸アオ 『リウーを待ちながら〈1〉~〈3〉』

2022-06-03 19:45:41 | 22 本の感想
朱戸アオ 『リウーを待ちながら〈1〉~〈3〉』
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

富士山麓の美しい街・S県横走市──。
駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒。
同じ症状の患者が相次いで死亡した。
病院には患者が詰めかけ、抗生剤は不足、
病因はわからないまま事態は悪化の一途をたどる。
それが、内科医・玉木涼穂が彷徨うことになる「煉獄」の
入り口だった。
生活感溢れる緻密な描写が絶望を増幅する。
医療サスペンスの新星が描くアウトブレイク前夜!!

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この漫画、コロナウイルス騒ぎを予言していたと騒がれていたのだが
本当に、本当にそうだった。
感染症の菌を持ち込んだと言ってリンチされたり、
感染者の多い地域から来たと言っていじめられたり、
感染した者が悪者扱いされたり、
もう本当に、酷い。
残念ながら、コロナウイルスが騒ぎになり始めた初期に
世界中で同じようなことが起こっていたよね。

きっと、これまでの感染症騒ぎの時にも似たことが起こっていて、
人間は繰り返し繰り返し、愚かなことをしてきたんだろうな……。

一発逆転の方法なんてない中で、大切な人を失いながらも
未知の感染症と戦う人々の姿も感動的。
素晴らしい漫画だった。
おすすめ。


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124:河村恵利『縁切り寺の尼姫~豊臣秀頼の娘~』

2022-06-03 19:19:01 | 22 本の感想
河村恵利『縁切り寺の尼姫~豊臣秀頼の娘~』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

豊臣家滅亡後、義母・千姫の庇護の下、
江戸城に暮らした秀頼の娘は
やがて鎌倉・東慶寺預かりの身となる…。
寄る辺なき身の幼少期を経た女性が
終生胸中に抱き続けた想いとは…!?
表題作のほか「身代わり諸色」「わらわべ夏越し」を収録。

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表紙とあらすじを見た時段階では、それほど惹かれずに
長い間読まないままだったのだけども、
読み始めたらもう、1話目で泣きそうになってしまった。
実際千姫は、東慶寺に入った秀頼の娘に愛情を注いで
文のやり取りをしていたんだよね。
誰かを助けようとする心根の美しさに、涙すること数回。
良いお話であった……!

★5にできなかったのは、一話だけ苦手な話があったから、
ロマンスどころか、交流の逸話すら残っていない
実在の人物同士の間に、勝手にロマンスを発生させた
ストーリーは好きじゃないんだよね……。
立場や政治状況を鑑みて恋を諦めるのは切ないし、
架空の人物でやってくれたら大好きな話だったんだけど。


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