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金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

56:原田実『偽書が揺るがせた日本史』

2025-04-29 10:36:12 | 25 本の感想
原田実『偽書が揺るがせた日本史』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
教科書にも載せられ、私たちの「常識」の一部を形作ってきた
書物・文書のなかにも「偽書」と判明したものもある。
そこで、古代以降、「偽書」と呼ばれる書物に秘められた奥深さを検討し、
日本史におけるもうひとつの「真実」を探る。
 
****************************************
 
これまでに読んだ同じ著者の本ですでに取り上げられていた偽書もあるのだけれども、
新しい切り口で書かれた部分も多く、楽しく読了。
文学作品の偽作は、割と新しい時代にもあったのね。
現代の偽書としてフェイクニュースも登場していたし、
偽書だからと捨て置くのではなく、それを生み出した背景を探る材料として
偽書を活用する方法や、
偽書研究に関する人物について書かれた章があったのも興味深いところ。
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55:中村森『太陽帆船』

2025-04-28 17:42:26 | 25 本の感想
中村森『太陽帆船』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
帆を揚げる 会いたい人に会いに行くそれはほとんど生きる決意だ

《別れても会えなくなっても見えずとも一度出会えばずっと祝祭》
《天秤にあと少しだけ花びらが降ってきたなら変わる人生》
《百年後、朝の海辺で待ってます。この約束を愛と言いたい》

中村森の第一歌集。
監修:千種創一(歌人・詩人)
 
****************************************
 
X(Twitter)で短歌を何度か見かけて素敵だなあと思い、手に取った歌集。
韻文にあまり触れて来ないまま大人になったから
余計にそう感じるのかもしれないけれども、
恋とか青春に特化した内容であるのがなんとなく新鮮。
友人から借りて銀色夏生の詩集を読んでいた高校生のときのことを
思い出してなんだか懐かしかった。
 
若い感性で紡がれた言葉の数々。
韻文の宿命か、使える言葉の数が限られているので
どうしても意味のわからないところ、状況がわからないものがある。
Xでの反応などを見てると、やっぱりはっきり意味のわかる短歌が
心を打つのだな。
 
好きな歌がいっぱいあった。
 
フルムーン 好かれないこと落ち度ではないはずでしょう誰にとっても
 
とか。
 
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48-54:最近読んだ本

2025-04-28 17:37:00 | 25 本の感想
Emi『わたしがラクする家事時間』
Emi『もっとマイノート』
 
『もっとマイノート』は電子書籍で読んだせいなのか、
寝る前に読んだせいなのか、内容がなかなか頭に入ってこなかった。
 
 大谷光男『金印再考: 委奴国・阿曇氏・志賀島』
 
図書館で『金印偽造事件—「漢委奴國王」のまぼろし』とともに読んだ。
 
 
谷川俊太郎『たったいま』
 
青い鳥文庫から出ている詩集だということで
比較的読みやすく、使われている言葉も易しいのだけども、
言っていることはかなり難しいな……と思った。
小学生が自分で読んで理解するのは厳しいかも?
 
 
 内藤みか『50歳になったので大人の休日倶楽部パスで旅をしてきました。』
 
kindle unlimitedにて。
お名前だけは知っていたけど、読むのは初めての作家さん。
これはセルフパブリッシングなのかな?
私は牛タンなら3000円くらい出しちゃう。一人旅だし。
 
 
網野善彦『古文書返却の旅: 戦後史学史の一齣』
 
ほしい情報が載っていてよかった。
 
古文書を借りてちゃんと返さない問題、こういう感じだったのか……。
借用書を書いても、借りてる本人は返さないことをあまり気にしないものなのね。
研究者が、というより個々人の性格の問題だとも思うけど。
 
「一齣」は「ひとこま」と読むらしい(いま調べた)。
 
 
oto『少しずつ自分を変える「ジブン改革」のススメ』
 
kindle unlimitedにて。
作業中の聞き流し。
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48:三浦佑之『金印偽造事件—「漢委奴國王」のまぼろし』

2025-04-26 20:36:23 | 25 本の感想
三浦佑之『金印偽造事件—「漢委奴國王」のまぼろし』
 
図書館で読んだ本。もう新品では入手できないみたい。
 
金印にも、偽造説あったんだ……!
教科書に載ってたからまったく疑いもしなかったけれども、
確かに金って加工しやすい素材だし、
大昔のものであること、そして発見者の述べる状況から考えると、
あまりにもきれいすぎるよね。
 
筆者自ら、その道の専門家ではないと述べているし、
私にもここに書かれていることの妥当性は判断できないけど、
読み物としてとてもおもしろかった。
同じ日に読んだ『金印再考: 委奴国・阿曇氏・志賀島』は
研究書という感じだったけれど、
こちらは一般向けの読み物だということもあってかなり読みやすい。
精読していない部分もあるから★はなしだけど、
読んでいて非常に楽しかった。
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46-47:鳥野しの『egg わたし、あなたの子どもです。〈上〉・〈下〉』

2025-04-19 12:06:14 | 25 本の感想
鳥野しの『egg わたし、あなたの子どもです。〈上〉・〈下〉』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
半分血が繋がってるだけ――。 それは、家族? それとも他人?

20XX年、少子化及び同性婚認可に伴い、
有償による第三者からの卵子及び精子の提供が合法化された。

誰でも対価を支払うことで、他人の卵子や精子を利用し
子どもを「作る」ことが可能になった世界で――。
「家族のカタチ」はどう変わっていく?

新しい家族のカタチを描く、オムニバス・ストーリー。 上下巻同時発売!!
 
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卵子を売ることができるようになった世界を描いたSF……
なんだけど、事前に得た情報から想像していたよりも、
ずっと軽やかでエンタメしていた。
何となく「生命」というテーマに直結した
シリアスな話を予想していたので予想外。
もちろん、読者に「自分ならどうする?」と考えさせる設定だし、
LGBTをめぐる問題、卵子の売却から起こる問題が描かれて、
結局制度自体が廃止に追い込まれるのだけども、
不思議と明るく穏やかな読後感。
各話のエピソードがつながっていくおもしろさもあった。

 

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45:口尾麻美『旅するリトアニア』

2025-04-04 19:58:38 | 25 本の感想
口尾麻美『旅するリトアニア』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
旅好き、雑貨好き、東欧のかわいいもの好き、の女性達の
次の旅の目的地として注目を集めているリトアニア。
森との暮らし、伝統工芸や雑貨店めぐり、手仕事の現場、
オーガニックフードの数々紹介するリトアニアガイドブック。
 
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リトアニア、名前しか聞いたことがなく、
「ヨーロッパのどこか、たぶん東欧だろうな……」
くらいのイメージしかなかった。
改めて調べたところ、リトアニアを含むバルト三国は、
区分としては北欧なのだそうだ。
 
買い物にあまり興味がないのだけれども、
可愛い雑貨は見ているだけで楽しいし、
紹介の際に説明される文化は興味深い。
また海外に行きたいな……という気分になった。
国名が「雨」に由来するの、素敵。
 
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39~44:佐藤二葉『アンナ・コムネナ〈1〉~〈6〉』

2025-04-03 20:31:50 | 25 本の感想
佐藤二葉『アンナ・コムネナ〈1〉~〈6〉』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
「私が皇帝になって世界を平和にする!」
西洋中世唯一の女性歴史家、
ビザンツ皇女アンナ・コムネナの少女時代を鮮やかに描く!

****************************************
 
大部分はツイ4での連載時に読んでいたうえ、
コミックスとしても1・2巻は再読。
 
最終巻の後半は登場人物たちがバタバタと退場していき、
ダイジェスト感は強かったけれども、
ストーリーとしてはずっと、皇位をめぐる弟との確執がメインだったので、
後日談としてはこの処理でよかったと思う。
「女だから」という抑圧を跳ね返そうともがいてきたヒロインの生き様、
政略結婚で結ばれた夫との愛も、序盤から一貫として描かれてきたことで、
それらのストーリーラインが、
「夫の仕事を受け継ぎ、女性としては西洋初の歴史家となった」
という最後に帰結するのも美しい。
 
ベースとなる知識が私の中にまったくないせいで、
帝国を中心とした外交のことはまったく頭に入ってこなかったけど、
これまで広くは知られていなかった人物にスポットライトをあてて、
興味を持たせた点ですごい漫画だったと思う。
ウィキペディアで登場人物の肖像画を見たら
本当に似通ったムードがあった!
 
それにしても、「皇族の女は子どもを産むのが仕事」とはいえ、
8人とか9人とか産んでいて、本当に多産だったのね……
そして、大河ドラマを見て
「○盛ばっかり/藤原ばっかりで覚えられない!」
という声をよく聞くが、ヨーロッパは本当に同じ名前ばかりなので
(名も姓も同じだったりする)、
それに比べたら日本の歴史上の人物の名はまだ区別つくほうだよね。
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38:河村恵利『今も昔も変わらぬ恋路の闇』

2025-04-01 18:35:19 | 25 本の感想
河村恵利『今も昔も変わらぬ恋路の闇』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
時代物マンガの名手・河村恵利が紡ぐ、三篇の切ない恋路!
恋心…それは今も昔も変わらぬ普遍的な感情であり、
長く暗い闇に灯るたしかな光明――。
配流地の伊豆で、孤独に暮らす源頼朝に差したひと筋の希望と、
複雑な兄妹愛(「夜長の雨」)、
恋文の字のあまりのヘタさ加減から始まる、
男と側近の勘違い恋物語(「三の君の恋文」)、
羽衣が破れて天に帰れなくなった天女が、人間のやさしさに触れて、
次第に惹かれていく悲哀の恋物語(「雲の通い路」)など、
悲喜こもごもの時代恋物語がこの1冊に!
 
***********************
 
いつになく説明的でダサいタイトルだけども……出版社が付けたのかな?
電子版のみ出ている本みたい。
 
3編うち2編がオリジナル。
1話めは、比企尼の娘で頼朝の子を産んだという伝承のある
丹後内侍がヒロイン。
この話だけが悲恋だった。
ご落胤説は後年になってから出てきた風説に過ぎないと思うけど
(事実だったら、頼朝の生前から比企一族がアピールして囲い込んでいたはず)、
昔は年齢による縛りも薄いだろうし、子の帰属先は母の一族なのもあって、
実際、「ご落胤」はいっぱいいたんだろうなと思う。
母親の身分が低いと父親側に認知するメリットがないというだけで。
 
【収録作品】
「夜長の雨」
「三の君の恋文」
「雲の通い路」
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37:古内一絵『東京ハイダウェイ』

2025-03-31 16:45:51 | 25 本の感想
古内一絵『東京ハイダウェイ』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
ようこそ、心休まる「隠れ家」へ。
東京・虎ノ門の企業に勤める桐人は、念願のマーケティング部に配属されるも、
同期の直也と仕事への向き合い方で対立し、息苦しい日々を送っていた。
直也に「真面目な働き方」を馬鹿にされた日の昼休み、
普段は無口な同僚の璃子が軽快に歩いているのを見かけた桐人は、
彼女の後ろ姿を追いかける。
たどり着いた先には、美しい星空が描かれたポスターがあり
――「星空のキャッチボール」
桐人と直也の上司にあたるマネージャー職として、中途で採用された恵理子。
しかし、人事のトラブルに翻弄され続けた彼女は、
ある日会社へ向かう途中の乗換駅で列車を降りることをやめ、
出社せずにそのまま終着駅へと向かう。
駅を降りて当てもなく歩くこと数分、見知らぬとんがり屋根の建物を見つけ、
ガラスの扉をくぐると――「森の箱舟」
……ほか、ホッと一息つきたいあなたに届ける、
都会に生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた、6つの癒しの物語。
 
****************************************
 
初めて読む作家さん。
『マカン・マラン』シリーズが人気だということだけ知っていた。
 
同一世界で各話の主人公たちがつながりを持った形式の連作短編集。
前半は結構、読むのがつらかった。
主人公たちを取り巻く環境や問題が根本的に解決せず、
ちょっとだけ主人公たちに考え方の変化が起こっても、
読んでいる側としては圧倒的に「救い<<<ストレス」だから。
後半はこの比率が変わってきて、特に第4・5話は好きなのだけれども、
嫌なヤツは失脚しても(ちょっとだけ溜飲は下がったが)しぶとく嫌なヤツを続けるし、
セクハラやパワハラの被害者の訴えや是正のための活動は多くの人間には響かないまま。
現実はそうなのだろうし、簡単に改心したり改善したら、
それはそれで嘘くさくて白けるのだろうけど、このバランスは難しいね。
 
個人的に東京への憧れはなく、仕事で行くことがあっても即刻帰るのだけども、
美術館や博物館のような施設が充実しているのはいいなと思う。
第4話で上京した母親を庭園美術館に連れて行ったら
「一体何のために、こげな難しいもんを分かったようなふりして見とるんかね?」
と言われて、二度と一緒に行かない、と主人公が決意する下りがあるのだけども、
この作品に登場する「ハイダウェイ(隠れ家)」がすべてそういうものだと思う。
教養や呼応するような感性の持ち主でないと、良さがわからない場所。
良さがわからない人間には「気取りやがって」としか思えない場所。
そういうセレクトも、話には合っていた。
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36:乗代雄介『皆のあらばしり』

2025-03-27 17:39:24 | 25 本の感想
乗代雄介『皆のあらばしり』
★★★★☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
ぼくと中年男は、謎の本を探し求める。
三島賞作家の受賞第一作。
 
幻の書の新発見か、それとも偽書か――。
高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。
人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、
男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。
うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。
ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。
 
****************************************
 
初めての作家さん。
 
小津久足って、江戸時代に実在した人物なのね。
栃木県の旧家に、世に知られていない小津久足の作品があると知った
男の指図を受けて、その本を所蔵する家に入り込んだことを
男に報告する主人公。
決められた法則の日に会う二人のやり取りで話は進む。
 
どんでん返しがあることは本の紹介文でわかっていたのだけども、
こういうどんでん返しか~!
確かに爽快、そして微笑ましさも感じる。
 
期待していた方向とは違うほうに話は進んだし、
登場人物の倫理観とか動機に納得できない点もあるのだけども、
面白かった。
ただし、会話の中心になっているものの地味さで脱落する人は
多いかもしれない。
作中でも言及されていたように、知らないものに対して人は冷淡だしね。
 
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