金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

74:朝井リョウ 『何者』

2019-05-25 11:57:01 | 19 本の感想
朝井リョウ『何者』(新潮社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。

就活対策のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月、
理香らと集まるようになるが――。
衝撃のラストが襲いかかる戦後最年少の直木賞受賞作。

就職活動を目前に控えた拓人は、
同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。
光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。
瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと
同じアパートに住んでいるとわかり、
理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。
だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、
本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。
直木賞受賞作。

*********************************************

ううう……
大学時代の自分のみっともなさ、
今も残るみっともなさを
目の前に突き付けられたようで胸をえぐられる。

就活って、ほんと「他者にとっての自分の価値」を
むき出しにされる行為なんだよね。
「たいしたことのない自分」を直視しなければならず、
その自分を少しでもマシに見せなければならず、
別にやりたいことなんかないし、働きたくもないのに
働きたがってるように見せなきゃならない。
「みんなと同じように就職活動すること」を馬鹿にして
斜に構えながらも、
結局自分ひとりの力で道を切り開いてはいけず、
こそこそ就活する登場人物を
「いたわ~、こういう人」
と思いながらも、自分にもそういうところがあったと
気恥ずかしくなる。

光太郎はきっと、主人公が検索していることも
裏アカウントのことも知ってるんだろうな。

もう少しコンパクトにまとまってたら好み度は★4。


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73:夏井いつき/岸本尚毅 『「型」で学ぶ はじめての俳句ドリル』

2019-05-25 11:45:38 | 19 本の感想
夏井いつき/岸本尚毅『「型」で学ぶ はじめての俳句ドリル』(祥伝社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

(略)
「プレバト!!」で大人気の夏井いつきさんと、
各俳句賞の選考委員等をつとめられている岸本尚毅さんとの
掛け合い問答ですらすら読める
俳句入門書ができました。
岸本さんの膨大な俳句の知識と明晰な解説に、
夏井さんのするどい突っ込みが加わって
超実践的な入門書が実現。
実作のコツが、穴埋め式ドリルとその解説問答でよくわかります。
ちょっと辛口なコラムも必見です!
担当編集が本書のなかで特に好きなのが、
中七の切れの型、コラムの「捨て石効果」、
キシモト先生が肝に銘じている3つのこと、です。
「型」を学べば、どんどん作れる、どんどん書ける! 
キシモト博士といつき先生と、みんなで一緒に楽しみましょう。

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俳句を作りたいと思ったことはないんだけど、
こういうのを読むとやりたくなっちゃうな。
一から自力で作ろうと思うと大変な気がするけど、
すでにある5・7・5の一部だけを他の語と入れ替えてみる、
そしてその後で残りの部分も替えてみる……というやり方だと
初心者にもできそうな感じ。
紹介されている俳句の中でも、
ユーモラスなものが好き。

肩の上に いつも仔猫や 菊いぢり 五十嵐播水
親芋の子芋にさとす章魚(たこ)のこと フクスケ
屑籠の 倒れて出でし 子猫かな 古川迷水
象の鼻 少し不出来や 花祭 相原雨稲
窓の下 ちゆうりつぷ聯隊 屯(たむろ)せり 中村秀好


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