ホセ・クーラは、3月13日、フェイスブックと公式ホームページで、iTunesからの楽曲配信を開始したことを告知しました。
クーラは、2000年代初頭以降、大手レコード・レーベルと契約しないで、自分の独自レーベルをたちあげて活動してきました。いくつかのCDが発売されています。
今回は、2004年にそのクーラの独自レーベルから出されていた、ドヴォルザークの"LOVE SONGS"(「愛の歌」)をiTunesからリリースしました。
ドヴォルザークの「愛の歌」ラブ・ソングスは、ピアノとクーラの歌によるもので、ドヴォルザークの美しく、哀愁ただよう切ないメロディと、クーラの声、表現をしみじみと味わえる作品です。歌もチェコ語の歌詞で、たいへん珍しいものだと思います。
今回は、全8曲に、日本語も一部あるデジタルブックレット付きのアルバムが750円、1曲は各150円となってます。
クーラ自身による楽曲配信は、今回が初の試みです。今回の様子をみて、今後の方針を決めるとのことです。
iTunesで、"jose cura love songs"などと検索すると、すぐにわかります。 ぜひ多くの方に興味をもっていただければと思います。
下の画像は、今回、配信されたドヴォルザークの音楽が収められていた、もとのCDです。なお配信はラブ・ソングスだけで、交響曲第9番はありません。
画像をクリックすると、クーラのHPの紹介ページにとびます。
クーラの曲のiTunesでの紹介ページです。購入・ダウンロードできます。
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なお、なぜクーラが直接、iTunesから楽曲配信をするかということでは、これまでも紹介してきましたが、そこには独自の背景と事情がありました。
くわしくは、以前の投稿「ホセ・クーラ スターダム、人生と芸術の探求」などをお読みいただけるとうれしいです。
今回は、クーラがFBやHPに掲載した告知記事と、またこれまでのクーラのインタビューから、レーベルとの関係について語っている部分を抜粋して、紹介したいと思います。
いつものことですが、不十分な訳文、誤訳もあると思いますが、ご容赦ください。
――クーラのフェイスブック告知記事より → FBの記事リンク
私の最初の製品がiTunesに!
iTunes Storeに行き、「jose cura dvorak」と入力すると、Love Songsのアルバムにアクセスできる。
なぜドヴォルザークのラヴ・ソング?
なぜ新しい曲ではなく2003年に録音された曲を?
理由1―― 2004年、ドヴォルザークの100周年記念の一環として、ラヴ・ソングと交響曲第9番のアルバムを制作した。しかしこのアルバムはプライベート・リリース用であり、大きく注目されるようにはならなかった。
理由2―― 今回は、デジタルプラットフォームとの私の商業的関係の始まりであり、それがどのようにすすむのか知る必要があった。
だから、私が期待どおりに進まない場合に備えて、新しいものを公開するのではなく、既存のレコーディングでシステムを「テスト」したいと思っている。
理由3――(元のアルバムを入手している人にも)このリリースは、REMIXで、音の“Director’s mix”(映画監督による編集のように)、ついに、曲が、私が望んだように聞くことができる。このリリースは、驚異的な24 BITS - 96 HERZクリスタルサウンドによる!
理由4―― このリリースには(iTunesのみ)、デジタルブックレットが含まれている(オンライン版ではまれ)。ヨーロッパの主要言語だけでなく、日本語、アラブ、中国語による簡単な紹介が掲載され、プラスして、すべての曲の英語テキストも。
私は、この新しい冒険に参加してくれる、みなさんすべてを必要としている!!!
クーラがレコーディングビジネスに戻ってきたことをすべての人々に知らせ、できるだけ多くのアルバムを購入してもらい、ディーラーを驚かせたい。
その理由から、私は、特別価格で、提案された6,99ユーロではなく、アルバム全体を3,99ユーロで提供することをつよく主張した。
ぜひ、もう一度、iTunes Storeに行き、 "jose cura dvorak"と入力を!
どうか、あなたが知っているすべての人に、この情報をつたえてほしい。
Peace & Love
*クーラは、当初エラートと専属契約を結んでいて、日本でも「プッチーニアリア集(1997年)」などが発売され、大ヒットしました。しかしエラートは経営不振のために閉鎖され、その後クーラは、大手レーベルと契約せず、2002年に自らのレーベルを発足。以下の2003年のインタビューで、その経過や思いを語っています。
――2003年インタビューより
エラートで特殊な状況を体験した。私のCDがリリースされたが、その時、レコード生産の危機とこれまでで最も深刻な景気後退を理由に、他の有名アーティストとともに、契約がキャンセルされた。
所属していたレコード会社と、私は、平和的に別れた。しかし、過去数年間の体験は、私に、すべてのことを自分で掌握しておくことが、よりベターだと教えてくれた。
私は、歌手は、芸術と役柄、その、ただ1つのことだけに集中すべきだ、という説を信じない。私は、マネジメント、プロダクションと流通のトリックについて知ることで、もやはトラブルを抱えなくなった。
2000年に自分のプロダクションCuibarを設立し、2002年にレコードレーベルCuibar Phono Videoも設立した。販売とマーケティングやプロモーションはロンドンのAvieレコードと契約した。
自分のレーベルから、すでに2つのアルバムをリリースした(03年当時)。ラフマニノフ交響曲第2番を指揮し、もう1つはアリア・アルバムで「オーロラ」というタイトルだ。
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紹介してきたように、エージェントにも、大手レーベルに属さず、独立独歩で活動してきたクーラ。自営業、零細企業主ともいえるのだと思いますが、独立当初には、リリースした曲がインターネットでの海賊版被害を受けて、CDなどのリリース自体が嫌になっていたこともあったようです。
こうした試行錯誤をへて、今回は、メジャーなデジタル・プラットホームであるiTunesで、あたらしいチャレンジです。これが成功して、クーラの作曲した作品や、これまで録音してきた楽曲がリリースされ、観賞できるようになることを願っています。
今回のドヴォルザークの愛の歌、私もiTunesで無事、購入・ダウンロードすることができました。本当に美しく、魅力的な歌唱でした。
興味をもたれた方は、ぜひ、iTunesをのぞいてみてください。
*写真はクーラのFB、HPからお借りしました。