前回、ホセ・クーラがiTunesなどで楽曲のデジタル配信を開始し、まず、ドヴォルザークの歌曲集「愛の歌」をリリースしたことや、それまでのレーベルとの関係と経過などについて紹介しました。
今回は、iTunesから「愛の歌」のアルバムを購入・ダウンロードしてみての感想をふくめ、追加的な情報を紹介したいと思います。
まずは、クーラが、「愛の歌」のリリースを宣伝するために作成した動画を。
クーラのFBやVimeoのページにアップされ、フォロワーに拡散をよびかけているものです。
アルバムに収録されている8曲のうちの1曲めを全部聞くことができます。
Jose Cura "Love Songs" the little video clip from new released album
≪ アルバム「ドヴォルザーク 愛の歌」の内容 ≫
ANTONÍN DVOŘÁK LOVE SONGS
2017 - JCP (José Cura Productions) Running time: 15min 37
Artists: José Cura., Irina Kondratenko (piano).
Music by: Antonín Dvořák (1841 - 1924)
Lyrics by: Gustav PHleger-Moravský (1833 -1875)
1 - O naši lásce nekvete to vytouzené stestí (1’42’’)
(Love will never lead us to that happy End / 愛は私たちを幸せな結末には導かない)
2 - V tak mnohém srdci mrtvo jest (2’13’’)
(Death reigns in many a human breast / 死は、多くの人の心を支配する)
3 - Kol domu se ted’ potácím (1’21’’)
(I wander often past yonder house / 私はしばしばその家を過ぎてさまよう)
4 - Já vím, že v sladké naději (2’33’’)
(I know that my love to you / 私はあなたへの愛を知っている)
5 - Nad krajem vévodi lehký spánek (1’29’’)
(Nature lies peaceful in slumber and dreaming / 自然は穏やかに眠り、夢見る)
6 - Zde v lese u potoka (2’09’’)
(In the deepest forest glade I stand / 私が立つ一番深い森の中で)
7 - V té sladké moci ocí tvých (2’09’’)
(When thy sweet glances fall on me / あなたの甘いまなざしが私の上におちるとき)
8 - Ó duše drahá jedinká (1’33’’)
(You only, dear one / あなただけ、愛する人)
*日本語は英題を直訳したものです
アントニン・ドヴォルザークは、チェコの国民的な作曲家で、日本ではやはり交響曲第9番「新世界より」で親しまれています。
「愛の歌」は、ドヴォルザークがまだ24歳の時の1865年に、彼がはじめて作曲した歌曲集「糸杉」のなかに含まれていた曲がもとになっているそうです。
「糸杉」誕生のきっかけになったのは、彼が音楽の家庭教師をしていた女性、ヨゼフィーナ・チェルマーコーヴァーに対して抱いた恋心と失恋。この「糸杉」から、のちに8曲を選んで、手直しし、1888年に歌曲集「愛の歌」として発表されたそうです。
ヨゼフィーナとは失恋に終わったものの、彼女の妹とドヴォルザークは結婚しています。にもかかわらず、のちに「愛の歌」として改めて改訂・発表しているわけで、それほどに、彼女への思いは、忘れられないものだったのでしょうか。
このクーラのアルバムは、もともとドヴォルザーク没後100年を記念して、2004年にCDとしてリリース(録音は2003年)されたもので、今回、iTunes や、Amazonなどを通じて、デジタル音楽配信をおこないました。クーラとしての、はじめての挑戦です。
私はiTunesで楽曲を購入するのは初めてでしたが、またPCもウィンドウズ、スマートフォンもアンドロイドでしたが、問題なくダウンロードできました。ただ、全く初めての方は、アップルのアカウントを作ることから始めなければならないため、難しいことはないのですが、少し面倒に感じられるかもしれません。
歌唱や声は、クーラがまだ40歳頃の録音であり、とても若々しく印象です。
実らなかった恋の歌だけに、切なく、悲しい面とともに、哀愁を感じさせる美しく、とても甘いドヴォルザークのメロディ、そしてクーラが非常に豊かなニュアンスで、若者のひたむきな熱情、多感な心を表現しています。
またチェコ語の響きが、日本人にはめずらしく、これもまた魅力のひとつだと思います。iTunes購入に付属のデジタルブックレットには、短いですが日本語の解説と、全曲の英語の歌詞がついています。
興味をお持ちの方は、iTunesの紹介ページをどうぞ。
また、アマゾンでも購入できます。しかもiTunesより安い!デジタルブックレットが付いていないせいなのか、アルバムが600円です。またブックレットは関係ない1曲ごとで買う場合も、100円と安くなっています。全曲試聴もできます。
ぜひ、多くの方に興味を持っていただければと思います。