2018年度 現代の人権
第13回(1221)アムネスティ・インターナショナルの取り組み
アムネスティ・インターナショナル(日本支部)
ロンドンに本部がある団体(1961年~)の日本支部(19701年~)
アムネスティが世界的に推進する人権活動を日本で展開し、
日本の人権状況を世界に発信する
1アムネスティ・インターナショナルの沿革と概要
1960年代のポルトガル サラザール独裁政権下での人権抑圧
イギリスの弁護士べネルソン 恩赦を求める要請活動(Appel for Amnesty)
政治犯の解放活動から拷問禁止要請運動へ(1984年国連の拷問禁止条約) 拷問、死刑など非人道的な取り扱いの禁止 残虐な刑法の人道化
1949年人権宣言の真の実現
人権侵害の告発にる世界的な運動へ
人権侵害当事国に対する提言
差別、表現の自由、難民・移民の権利、先住民族の権利、女性の権利、
ジェンダー平等、紛争下の人権侵害、企業活動における人権侵害、強制失踪
2現在の注力分野例
人権侵害と闘っている人の紹介
アムネスティの調査、取材、見解の表明
プレス、マスコミへのリリース
・難民の保護
難民認定法に基づく受け入れ
人種、宗教、国籍もしくは特定の社会集団の構成員であること、または
政治的見解を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者
紛争や暴力から逃れた人々は? それに含まれない
難民の受け入れの分担や責任は? 周辺国によると受け入れと他の国は財政・物資の支援だけ。それでは機能しない状態になっている。しかし、異なる人種、宗教の者を受け入れることに「壁」があるのが現状。
アムネスティ 公正な責任分担と差別のない難民保護
各国政府だけでなく、政府以外の団体・組織の協力
国の差別的な政策・制度の廃止と市民的意識の変革
自国の利益や個人の権益を守ろうとする実際的な市民像から
諸外国と協調し、普遍的な人間的利益を増大させる公共的な市民像へ
アムネスティ日本支部の取り組みへの期待
・ジェンダー平等
人権侵害の背景と原因 格差と排除
経済的、社会的、文化的な権利を保障する法律、差別を禁止する法律
依然として特定の集団が経済的、社会的、文化的に排除され、差別される
元受刑者、出所者、障害者、様々な社会的マイノリティー、女性など
それがマジョリティーとの格差(差別)を生み、経済的格差へ
排除と格差の複合化
人種、民族、先住民、国籍、在留資格、言語、性別、性的指向、性自認、社会的出自・カースト、階級、宗教、信条、政治的意見、年齢、障害
女性を「二級市民」と位置づける社会
男性が女性を強姦した後、その女性と結婚すれば犯罪の責任は問われない
2017年 ヨルダン、チュニジア、レバノンにおいて刑法条項の廃止
イラン、クウエート、パレスチナ、フィリピン、タジキスタンでは存続
2014年 モザンビークは同種の条項を刑法に取り入れようとしたが、
アムネスティが反対キャンペーンを展開し、阻止した
南アジア、アフリカ諸国 家庭の生活苦から娘を強制婚させる
低年齢での出産はリスクが高い、強制労働、暴力、虐待の危険性
教育を受ける権利もない
とくにブルキナファソが深刻な事態 2016年以降には児童婚撲滅を約束
しかし、婚外性交などをした女性の「恥ずべき行為」→名誉殺人
その正当化、刑の減軽・免責など、不起訴
2016年 パキスタン 名誉殺人防止法
2017年 レバノン 強姦の加害者への寛大な措置の刑法条項の廃止
インド カーストの高位の男性による5人の女性への強姦 無罪
カナダ 先住民族の女性への殺人が非先住民族の女性の4倍
2016年 アムネスティの告発の結果、カナダ政府が調査を約束
南米では? オーストラリア、ニュージーランドでは?
LGBTIQなど性的指向問題 同性愛行為の犯罪 最高刑が死刑10ヶ国 同性愛行為の非犯罪化の動き(ドイツ)
3犯罪と人権
人権問題としての犯罪
犯罪がもたらす人権問題 刑事手続における人権問題 刑罰という人権問題
1国家、軍、警察などが市民に対して行う犯罪がもたらす人権問題
2捜査が始められない、無罪放免にされることの人権問題
3市民による犯罪に対して差別的に取り扱い、拷問するなどの人権問題
1国家は自身の犯罪を裁かない→国際的な刑事裁判所の必要性(ICC)
シリアにおける政府軍と反政府軍の紛争、「IS」の介入による複雑化
アムネスティ 国連安保理常任理事国にシリアの事態をICCへ付託すべき
全会一致の原則 米、英、仏の賛成、露・中の反対
2恣意的な捜査・権限濫用の捜査
日本の代用監獄制度=虚偽の自白とえん罪の温床
3死刑制度をめぐる世論形成
(4)今後の課題
人権問題とその原因
国家間の紛争とその背景
犯罪、紛争、テロ、過去の歴史と国家的正義
20世紀初頭 欧米による世界支配
20世紀後半 資本主義・社会主義の冷戦と国連による管理
21世紀 アメリカ・ファースト 中国の台頭など多極化
紛争の原因の複雑化と大国の思惑の介入
人権問題の国際問題化
→レジュメ・講義録ブログ「かのようにの法哲学」
第13回(1221)アムネスティ・インターナショナルの取り組み
アムネスティ・インターナショナル(日本支部)
ロンドンに本部がある団体(1961年~)の日本支部(19701年~)
アムネスティが世界的に推進する人権活動を日本で展開し、
日本の人権状況を世界に発信する
1アムネスティ・インターナショナルの沿革と概要
1960年代のポルトガル サラザール独裁政権下での人権抑圧
イギリスの弁護士べネルソン 恩赦を求める要請活動(Appel for Amnesty)
政治犯の解放活動から拷問禁止要請運動へ(1984年国連の拷問禁止条約) 拷問、死刑など非人道的な取り扱いの禁止 残虐な刑法の人道化
1949年人権宣言の真の実現
人権侵害の告発にる世界的な運動へ
人権侵害当事国に対する提言
差別、表現の自由、難民・移民の権利、先住民族の権利、女性の権利、
ジェンダー平等、紛争下の人権侵害、企業活動における人権侵害、強制失踪
2現在の注力分野例
人権侵害と闘っている人の紹介
アムネスティの調査、取材、見解の表明
プレス、マスコミへのリリース
・難民の保護
難民認定法に基づく受け入れ
人種、宗教、国籍もしくは特定の社会集団の構成員であること、または
政治的見解を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者
紛争や暴力から逃れた人々は? それに含まれない
難民の受け入れの分担や責任は? 周辺国によると受け入れと他の国は財政・物資の支援だけ。それでは機能しない状態になっている。しかし、異なる人種、宗教の者を受け入れることに「壁」があるのが現状。
アムネスティ 公正な責任分担と差別のない難民保護
各国政府だけでなく、政府以外の団体・組織の協力
国の差別的な政策・制度の廃止と市民的意識の変革
自国の利益や個人の権益を守ろうとする実際的な市民像から
諸外国と協調し、普遍的な人間的利益を増大させる公共的な市民像へ
アムネスティ日本支部の取り組みへの期待
・ジェンダー平等
人権侵害の背景と原因 格差と排除
経済的、社会的、文化的な権利を保障する法律、差別を禁止する法律
依然として特定の集団が経済的、社会的、文化的に排除され、差別される
元受刑者、出所者、障害者、様々な社会的マイノリティー、女性など
それがマジョリティーとの格差(差別)を生み、経済的格差へ
排除と格差の複合化
人種、民族、先住民、国籍、在留資格、言語、性別、性的指向、性自認、社会的出自・カースト、階級、宗教、信条、政治的意見、年齢、障害
女性を「二級市民」と位置づける社会
男性が女性を強姦した後、その女性と結婚すれば犯罪の責任は問われない
2017年 ヨルダン、チュニジア、レバノンにおいて刑法条項の廃止
イラン、クウエート、パレスチナ、フィリピン、タジキスタンでは存続
2014年 モザンビークは同種の条項を刑法に取り入れようとしたが、
アムネスティが反対キャンペーンを展開し、阻止した
南アジア、アフリカ諸国 家庭の生活苦から娘を強制婚させる
低年齢での出産はリスクが高い、強制労働、暴力、虐待の危険性
教育を受ける権利もない
とくにブルキナファソが深刻な事態 2016年以降には児童婚撲滅を約束
しかし、婚外性交などをした女性の「恥ずべき行為」→名誉殺人
その正当化、刑の減軽・免責など、不起訴
2016年 パキスタン 名誉殺人防止法
2017年 レバノン 強姦の加害者への寛大な措置の刑法条項の廃止
インド カーストの高位の男性による5人の女性への強姦 無罪
カナダ 先住民族の女性への殺人が非先住民族の女性の4倍
2016年 アムネスティの告発の結果、カナダ政府が調査を約束
南米では? オーストラリア、ニュージーランドでは?
LGBTIQなど性的指向問題 同性愛行為の犯罪 最高刑が死刑10ヶ国 同性愛行為の非犯罪化の動き(ドイツ)
3犯罪と人権
人権問題としての犯罪
犯罪がもたらす人権問題 刑事手続における人権問題 刑罰という人権問題
1国家、軍、警察などが市民に対して行う犯罪がもたらす人権問題
2捜査が始められない、無罪放免にされることの人権問題
3市民による犯罪に対して差別的に取り扱い、拷問するなどの人権問題
1国家は自身の犯罪を裁かない→国際的な刑事裁判所の必要性(ICC)
シリアにおける政府軍と反政府軍の紛争、「IS」の介入による複雑化
アムネスティ 国連安保理常任理事国にシリアの事態をICCへ付託すべき
全会一致の原則 米、英、仏の賛成、露・中の反対
2恣意的な捜査・権限濫用の捜査
日本の代用監獄制度=虚偽の自白とえん罪の温床
3死刑制度をめぐる世論形成
(4)今後の課題
人権問題とその原因
国家間の紛争とその背景
犯罪、紛争、テロ、過去の歴史と国家的正義
20世紀初頭 欧米による世界支配
20世紀後半 資本主義・社会主義の冷戦と国連による管理
21世紀 アメリカ・ファースト 中国の台頭など多極化
紛争の原因の複雑化と大国の思惑の介入
人権問題の国際問題化
→レジュメ・講義録ブログ「かのようにの法哲学」