説明できぬ法案は撤回を!
本田稔(立命館大学法学部教授)
安倍内閣が集団的自衛権行使の容認を閣議決定した最大の理由は、「わが国を取り巻く安全保障環境の根本的変容」でした。そのような情勢だから、「他国に対して発生する武力攻撃であっても、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る」として、安保法案を提案したはずです。
しかし、政府は、安全保障環境の根本的変容について問われても答えず、他国が武力攻撃にさらされた結果、存立の危機に陥った国の例を具体的に示すことができないでいます。情勢認識も、法案の立法事実(根拠)も明らかにできないらば、法案をまともに審議することはできません。
それに比べて、大学のキャンパスでは自由で真剣な議論が行われています。一般のマスメディアで報じられている北朝鮮の核開発、中国の南・東シナ海への海洋進出などを想定して、日本の安全保障のあり方を再検討すべきであると主張する学生もいます。それでも彼らは、「わが国を取り巻く安全保障環境の根本的変容」の論証としても、「存立危機事態」の根拠としても、まだ不十分であると言います。
政府は、真剣に議論する学生に誠実な説明をせず、彼らに銃を持たせて戦地に向かわせようとしています。言語道断です。まともな説明ができないならば、法案は撤回してもらうほかありません。
本田稔(立命館大学法学部教授)
安倍内閣が集団的自衛権行使の容認を閣議決定した最大の理由は、「わが国を取り巻く安全保障環境の根本的変容」でした。そのような情勢だから、「他国に対して発生する武力攻撃であっても、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る」として、安保法案を提案したはずです。
しかし、政府は、安全保障環境の根本的変容について問われても答えず、他国が武力攻撃にさらされた結果、存立の危機に陥った国の例を具体的に示すことができないでいます。情勢認識も、法案の立法事実(根拠)も明らかにできないらば、法案をまともに審議することはできません。
それに比べて、大学のキャンパスでは自由で真剣な議論が行われています。一般のマスメディアで報じられている北朝鮮の核開発、中国の南・東シナ海への海洋進出などを想定して、日本の安全保障のあり方を再検討すべきであると主張する学生もいます。それでも彼らは、「わが国を取り巻く安全保障環境の根本的変容」の論証としても、「存立危機事態」の根拠としても、まだ不十分であると言います。
政府は、真剣に議論する学生に誠実な説明をせず、彼らに銃を持たせて戦地に向かわせようとしています。言語道断です。まともな説明ができないならば、法案は撤回してもらうほかありません。