Rechtsphilosophie des als ob

かのようにの法哲学

2015年度前期刑法Ⅰ(総論) 第14週 練習問題

2015-07-10 | 日記
 第14週 練習問題

(1)練習問題
1対向犯
 「対向犯」について、一方の当事者のみを処罰する規定が設けられている場合、処罰されない他方の当事者は、処罰される当事者の共犯としてすべて処罰されるのが原則である(     )。

*「対向犯」です。「対抗犯」ではありません。誤記を訂正します。


 Aは妻子ある男性であるが、独身の部下Bと事実婚の関係に入った。Bは、Aが独身であると認識していた。Aには(     )罪が成立し、Bには(     )罪は成立しない。この場合、Bの行為は(     )罪の故意がないので、その構成要件該当性が否定される。



2共犯と違法性阻却事由
 AとBは、襲いかかってくるCに対して、共同してナイフで切りつけた。CはAの刺突により死亡した。A・Bともに傷害の認識であったが、Aは積極的加害意思で、Bは防衛の意思で行なった。判例によると、AとBに(        罪)の共同正犯が成立するが、積極的加害意思のあったAについては、Cの襲撃の(       )が否定されるが、Bは防衛の意思で行なったので、Cの襲撃の(         )が肯定される。ただし、Cを死亡させた点については、防衛行為の相当性を超えているため、刑法36条2項を適用して、(        )の規定が適用される。


 Aは、Bに護身用のパイプを持参させ、暴漢に対して正当防衛で対抗するよう教えた。Bは、会社帰りに、Xから襲われそうになったとき、それに乗じて、積極的に害を加える意思で反撃した。Xは加療2週間の傷を負った。Bには(        )があったので、Xによる侵害の(     )が否定される。(     )罪が成立する。これに対して、Aには(    )はなく、正当防衛を教唆する意思しかなかったので、Xによる侵害の(      )は肯定され、(       )の教唆が成立する。



3共犯と錯誤
 AとBは共同してCをナイフで切りつけた。CはAの刺突により死亡した。Aには殺意があったが、Bには傷害の認識しかなかった。この場合、行為共同説からは、Aに(       罪)、Bに(         )罪の共同正犯が成立する。これに対して、部分的犯罪共同説からは、二つの犯罪の構成要件が重なり合う(         )罪の共同正犯が成立し、Aの行為について、その重なりあいを超える部分については、(       )罪の単独正犯が成立する。


 AはBに対して「Xから壺を奪ってこい」と指示した。Bは、Xに対して暴行を加え、壺を奪った。Bには(        )罪が成立する。AはBに(        )罪を実行させたが、(        )罪を教唆した認識しかない。この場合、(         )罪と(       )罪にまたがる抽象的事実の錯誤が生じている。これに関する通説・判例である(       )説を適用すると、二つの犯罪の構成要件が重なる(        )罪が成立する。



4承継的共犯
 AはCから金品を奪うため、Cをロープで縛り上げたところ、人の足音が聞こえたので、その場から逃げ去った。そこを通りかかったBは、縛られているCを見て、財物奪取の意思を生じ、そのポケットから財布を取った。この場合、AとBには強盗既遂罪の共同正犯が成立する(  )。

 承継的共同正犯 Aの行為開始後、Bが途中から関与。その後、共同実行の事実と意思あり。


 Aは、Xの名誉を毀損する投書をB新聞に投稿した。B新聞の編集者Bは、Aの投書がXの名誉を毀損する内容であることを認識しながら、B新聞に掲載した。AとBには名誉毀損罪の共同正犯が成立する(    )。

 「Aの記事をBがB新聞に掲載する」→A・Bの共同行為? Aの行為をBが幇助?


5共犯からの離脱
 AはBと強盗を共謀し、X宅に侵入した。AがXに金銭の場所を教えるよう脅したところ、Bが「やはり止めよう」と離脱の意思を表明したが、Aは「もう後戻りはできない」と、Xから金銭を奪った。Bはいたたまれなくなり、その場から立ち去った。A・Bは住居侵入罪、強盗未遂の共同正犯であり、既遂結果については、Aの単独による強盗既遂として評価される(    )。



 AはBと強盗を共謀し、X宅に侵入しようとしたところ、Bが怖くなったので、「やはり止めよう」と離脱の意思を表明した。Aは「オレ一人でもやる」と、Bの離脱を了承した後、X宅に侵入し、Bに暴行を加えて金銭を奪った。Aには住居侵入罪、強盗既遂の単独正犯が成立する。Bには強盗予備罪が成立するだけである(     )。

 Bの強盗予備罪に中止未遂の規定を準用できるか?
 予備後に、怖くなったので、実行の着手を止めた→中止の任意性アリ?



6片面的共犯
 共同正犯の成立要件としては、「共同実行の事実」と「共同実行の意思」が必要であるため、共同実行者の間において、相互に意思の連絡がない場合には「共同実行の意思」が欠けるため、判例の考えによれば、共同正犯は成立しない(   )。


 教唆は、人に犯罪を実行するようそそのかして、犯罪を遂行する意思を生じさせ、そしてそれを実行させることをいうので、正犯の犯罪遂行の意思が、教唆者との意思連絡によって作り出されたものではない場合、教唆は成立しない(   )。


 幇助は、正犯を幇助し、その実行を促進することをいうが、その場合、物理的幇助と心理的幇助がある。心理的幇助は、正犯に働きかけて、その正犯との意思連絡において、その故意を強化・固定化することであるので、一方的な幇助(片面的な心理的幇助)はありえないが、物理的幇助は、正犯の行為を助長・促進することなので、正犯が幇助されていることを認識していなくても、一方的な幇助(片面的な物理的幇助)はありうる(    )。



7予備罪の共犯
予備罪とは、犯罪を行なう目的で、その準備をすることをいう。予備罪の例としては、例えば(    )予備罪(201)、(           )予備罪(228の3)、(     )予備罪(237)、(      )予備罪(113)、(     )予備罪(78)、(    )予備罪(88)、(     )予備罪(93)がある。


 予備罪は、犯罪を行なうための準備なので、その犯罪が実行されれば、予備罪はその犯罪に吸収され、もはや単独で処罰されることはない。例えば、強盗の準備行為を行ない、その後、強盗罪の実行に着手し、結果を遂げれば、強盗の準備行為は、強盗既遂罪に吸収され、もはやご応答予備罪で処罰されることはない。ただし、(      )予備罪(93)には、(     罪)という既遂類型はないので、(      )が実行されても、(      )は処罰されない。処罰されるのは、(      )予備罪だけである。


 このような予備罪を共同して実行し、またそれに関与した場合に、予備罪の共同正犯や共犯が成立するかどうかは争いがある。戦前の判例では、予備罪に対する幇助を認めたものがあり、戦後の判例でも予備罪の共同正犯が認められており、下級審では予備罪の幇助が認められている。

 このような問題は、どのように考えるべきなのだろうか。予備罪もまた処罰される行為であるという意味では、「犯罪」である。従って、2人以上の者が共同して「犯罪」を実行した場合、その全員が「正犯」として処罰されるので(60)、予備罪という「犯罪」を共同して実行した場合にも、予備罪という「犯罪」の共同正犯が成立することになる。

 また、幇助とは、「正犯を幇助した者」であるが、予備罪という犯罪(単独正犯であれ、共同共同であれ)を幇助した者は、予備罪という犯罪の「正犯を幇助した者」として扱われ、予備罪の幇助として処罰される。


(2)基本問題
1共犯と違法性阻却事由
 AとBは、Xからの不正の侵害に対して、共同して暴行を加え、死亡させた。Aには積極的加害意思があったが、Bにはなかった。

・事実関係の整理と問題の所在



・前提的議論



・あてはめと展開



・結論




 AとBに対してXからの不正の侵害に対して反撃するよう指示した。BはXに暴行を加え、死亡させた。Aには積極的加害意思があったが、Bにはなかった。

・事実関係の整理と問題の所在



・前提的議論



・あてはめと展開



・結論




2共犯と錯誤
 AとBは、Xを殺害するために同時に拳銃を発砲したところ、弾丸はXの背後を歩いていたYに命中し、死亡させた。誰の弾丸が命中したかは、不明であった。

・事実関係の成立と問題の所在
 A・B 殺人罪の共同正犯

     X殺害の共同実行の意思(故意) X殺害の危険とY殺害の事実


 共同正犯における事実の錯誤(方法の錯誤)
 錯誤はY殺害の故意を否定するか?



・前提的議論
 事実の錯誤における方法の錯誤

 具体的符合説

 法定的符合説


 判例・通説の立場+数故意犯説


・あてはめと展開
 Y殺害の事実

 X殺害の危険



・結論



 AはBを教唆してXに拳銃を発砲させたところ、弾丸はXの背後を歩いていたYに命中し、死亡させた。

・事実関係の成立と問題の所在
 正犯B

 共犯A


・前提的議論
 事実の錯誤における方法の錯誤

 共犯への応用



・あてはめと展開
 正犯B

 正犯A



・結論



 AはBにX殺害を指示したところ、BはすでにX殺害を決意しており、Aの指示によってその意思が強化され、X殺害を実行した。

・事実関係の整理と問題の所在




・前提的議論




・あてはめと展開




・結論






 AはBに毒物を手渡してX殺害を指示したところ、Bはその意味がわからないまま、Xにそれを服用させた。その結果、Xは死亡した。

・事実関係の整理と問題の所在




・前提的議論




・あてはめと展開




・結論





3承継的共犯と共犯からの離脱
 AはXから金品を奪うために、Xを脅迫し、金品を探そうとしたところ、その一部始終を見ていたBが「分け前にあずかれそうだ」と近寄って、「アニキ、手伝いましょう」と一緒に金品を探し取った。

・事実関係の整理と問題の所在




・前提的議論




・あてはめと展開




・結論





 AとBはXから金品を奪うために、Xをロープで縛り、金品を探そうとしたところ、Bが「やはり止めよう」と言い出した。Aは、Bの話を聞き、「分かった。このまま帰ろう」と言い、Xを縛ったまま、2人で立ち去った。その後、ほどなくして、Aは現場に戻り、Xから金品を奪った。

・事実関係の整理と問題の所在




・前提的議論





・あてはめと展開




・結論





4予備罪の共犯
 AとBは、X殺害のための犯行道具を準備した。
・事実関係の整理と問題の所在





・前提的議論





・あてはめと展開





・結論






 Aは、X殺人の計画中のBに、その資金を提供した。Bはそれで犯行道具を準備した。
・事実関係の整理と問題の所在





・前提的議論





・あてはめと展開





・結論