ついに迫ってきた!
「チャンピオン・カーニバル」幕明けを飾るにふさわしい、日本のボクシング・ファン待望のタイトルマッチが!
会場は、地方ジムに所属しているボクサーがクチにする「ボクシングの殿堂」、華の後楽園ホール。
日にちは、2月9日、月曜日。第一試合開始時刻、午後6時。タイトルマッチは、メイン。第7試合だ。
闘うは、両雄。左が、何としてでも防衛を果たしたい、日本スーパーフェザー級チャンピオン、内藤律樹(りっき)。
そして、右側が、そのベルトを、倒し切って自分の腰に巻き付けたい、同級1位の伊藤雅雪(まさゆき)。
おそらく、この「カーニバル」最高の試合になるであろう。
なにしろ、周囲の見るところ、「チカラは、5分と5分」。
どっちが勝ってもおかしくない大接戦、と見る声が圧倒的なのだから。
チャンピオンの内藤律樹が、その王座に就いたのは、昨年の2月。それまでは、持ち前の強打で、次々と迎え打ち,倒していた。
だが、欠点が、試合を見つめていて、少し気になっていた。
かつても、少し書いたことがあるが・・・・。
昨年6月9日の、初防衛戦。相手は、玉越京平(33歳。千里馬神戸ジム)。結果は、3-0の判定勝ち。
それも、10ラウンド戦って、3者とも、99-91と、8ポイントも差を付けての圧勝。
が、冷静に見るなら、それほどの大差は無い、辛勝だった。
内藤の強打は、誰しもが認めるところ。その自信がなせる技か、安易にロープを背にして連打を浴びる。
ガードしており、芯は喰ってはいないが、危うい。見栄えは、悪い。そのためか、8ラウンド以降になると、一発逆転を狙って、内藤は相手以上に、パンチ大振りになる。
相手が足を止めてくれて、中間距離での真っ向勝負になると、メチャ強いが、足を使われると弱い。
クリンチされても、しっかりとボディに打ち込むテクニックは、さすが。
が、次の10月13日に戦った江藤伸悟(白井・具志堅ジム)との試合は、内藤ファンにとっては、ヒヤヒヤもの。江藤ペースで前半から試合は進んだからだ。
江藤が、大拳闘ならぬ、大健闘!
この2度目の防衛戦の時も、何度もロープを背負って、江藤のパンチを浴び、ついには7ラウンドには、鍛え抜いた左フックで、内藤の身体がグラリ!
ポイントをリードされたと痛感したのか、8ラウンド以降は、逆襲のブンブン大振りと空振りが目立った。
パンチのスピードと、その出し入れが速いので目立たなかったが、ガードの一瞬のがら空きにも、ヒヤリとさせられた。
スコアはこの日も、98-93が2人、残る1人も98-92と大差だったが、当の内藤に笑顔無し。
玉越戦の際の自己採点、「30点」。で、江藤戦は「50点の出来です」
してみると、この2月9日の、まさに3度目の正直は、70点に??
この試合も、江藤戦の時と同じように、約1か月間、アメリカはロスアンゼルスのジムを訪れ、練習と、スパーリングに明け暮れた。
その相手は、自分より常に体重も重く、体格も良いライト球やミドル級の世界ランキングに入っているボクサーと拳を合わせてきた。
戦績はここまで、11戦して全勝負けなし。うち、5試合が、ノックアウトや、レフェリーストップ勝ち。
まだ、23歳。この伊藤雅雪戦に勝ったら、一気に世界へ挑戦したいと公言している。だから、この防衛戦に負けでもしたものなら、その夢は滞ってしまう。
対する、伊藤雅雪もまた、まだ24歳で、無敗。これまで16戦して、全勝、1引き分け。16勝のうち、7つのノックアウトと、レフェリーストップ勝ちをおさめている。
すでに、可愛い妻と赤ん坊に恵まれ、日中は営業マンとして働いている。試合ごとに、強さ以上に、営業でつちかった人柄と弁舌の巧みさか、応援・支援してくれる人達も増えている。
昨年、ブンブン剛腕の仲村正男のパンチを巧みによけ切り、勝利。そのルポは、すでに詳しく書いているので、ソレをお読みいただくといい。
昨年11月25日の、ライアン・セルモナとの試合は、完璧な仕上がりの末の、1ラウンド2分10秒、レフェリーストップ勝ちだった。
試合の模様の一瞬一瞬を切り取った、この数カットを見て戴ければお分かりになるように、ワンサイド、伊藤のほぼ一方的な攻めに終始した70秒だったと言っていい。
伊藤の、相手との中間距離を保ち、巧みに足を使って、ヒット&ウェイ。ライアン・セルモナは、東洋・太平洋のスーパー・フェザー級10位。かつては、フィリピンの同級チャンピオンでもあった。
それを、左ジャブを放って相手との打撃距離を計り、左右の連打を見舞う。
セルモナは、前回来日して試合をした時も右目上を切り、切れるくせがついていたとはいえ、レフェリーが試合続行不可能と判断。試合を止めた。
例え、裂傷を負っていなくとも、倒せた展開だった。
勝利者インタビュー。笑顔の伊藤の視線の先には、なんと、次戦でタイトルを賭けて闘う内藤律樹がいた。
「あんまり試合が終わるのが早くて、伊藤さんを研究するには、時間が足りませんでした」と、苦笑い。
この時点ですでに、ハワイか、ロサンゼルスで1か月近く、合宿をする予定ですと明言。
ついでに流れで聞いた。
---横にいる彼女は、恋人ですか?
「ええ、まあ・・・」と、苦笑い。
---今、もう、一緒に暮らしていらっしゃる?
「はい」
---この先、結婚するつもりでいらっしゃる?
「ああ、はい。そのつもりです」
だが、あれっ? 彼女に、笑顔無し。いくぶん、顔、とたんに、そむけがちに・・・。
あり~っ??・・・・・・。
すでに結婚して、幸せな家庭を営んでいる”宿敵”伊藤に遅れまいとするかのように、どことなく余裕と自信が溢れている、現チャンピオン。
かたや、伊藤。
「緊張しましたよ、正直言って。今回は、ただ勝つだけじゃダメ! 完璧な勝ち方をして、相手陣営に知らせてあげようと思ってましたから」
「練習したことの、半分も出せなかったけどね」と、会長を見て苦笑い。
「あの席に、内藤さんがいることは、意識してました。インタビューの時、腕を突き出して、挑発してあげようと思ってましたが、イマイチで」と、笑い顔。
この時点で、伊藤サイドも、年末か正月に、アメリカで合宿する予定を決めていた。
なんと旅立ったのは、元旦。ロスアンゼルスのジムで、伊藤もまた、自分より重く強打のライト級や、スーパーライト級の世界ランキングボクサーと、スパーリングを重ねた。
相手がどのくらいデカいか?は、彼のブログを開くと、3ショットが出てくるので、お分かりになるはず。
両雄、並び立った席上で、同級1位挑戦者である伊藤は、ココではキッパリと挑発・明言。
「確かにスピードのあるパンチはチャンピオンがあるけれど、一瞬のスピードなら、僕の方が上」
「全体的に見て、僕に負ける要素は無い!と思う」
さあ、どちらが、試合後、ベルトを巻くことになるか!?
会場で、ナマで見て戴きたい。
それがかなわぬ方は、当日、ナマ中継されるのを、見て欲しい。
とはいえ、「LIVE! ダイヤモンドグローブ 2015」と題した、フジテレビのCS。
午後7時から放送開始なのだが、しかし、試合中継開始ではない。
ボクシングフアンから見れば、時間つぶしとしか思えない、千原ジュニアと、ギャル系女子アナのど~でもいい、くだらぬ会話がいつも流れて、いらつかせる。
ゲストとして、比較的知られているプロボクサーが来て、ジュニアが話しを聞くというか、雑談。
んなモノは、別番組枠でやれば良い。そのボクサーが好きなファンだけは見るだろうから。
なにしろ、雑談しているその斜め下では、今まさに試合をやっているのだから!
ボクシングファンは、ソレを見たくて受信料を支払っているの!
その辺りを一切一顧だにしない、制作スタッフと編成部は狂っているとしか、言いようがない。
わざとか、待たせて、じらして、セミ・ファイナルが始まる直前に、よ~やくカメラがリングに焦点を合わせる始末。
視聴率低迷のどん底状態にあるフジテレビは、ボクシングまでも、バラエティならぬ「バカエティ化」。
同じCSで、マイク・タイソンなどの活躍した、古い試合を見せる番組があるのだが、ソコにも、ボクシングを知らないアホ馬鹿タレントや男女アナを並べて、馬鹿笑いで、試合を茶化すくだらない構成。
その点、日本テレビのCS、「ダイナミック グローブ」の中継は、素晴らしい。ホントの意味で生中継。第一試合から、メインまで全試合を見せる。
いくぶん、帝拳ジム寄りの実況・解説が耳ざわりではあるが、地方在住や、会場に行けないボクシングファンにとっては、得難い番組と言える。
とりわけ、普段、まったく陽の当たることの無いに等しい4回戦のボクサーの、郷里にいる父母、兄弟、姉妹、旧友にとっては有り難いことこの上ない、はずだ。
ボクシングファンのことを念頭に置き、無駄ギャラを使わない局と、クソも味噌もバカエティ色で試合に塗りたくる局との差は、開くばかりだ。
同じ、アタマに「ダイ」が付いていても、その違いは「大」だ。
最期に、おらっち、CSもBSも、受信契約してねえだ! と、嘆き怒るボクシングファンの読者の方々。
その9日の、ド深夜。午前2時28分から、CM含めて50分間。
フジテレビ系列の地方局のいくつかで、このメインの試合が、録画中継されます。
実況アナと解説者の背後に立つ、実際にはノーギャラのおね~ちゃんモデルも、楽しめます。
忘れないうちに、タイマー録画しといた方が、無難です。再放送は地上波には、ありえませんので。
さあ、見逃さないで下さい。今年、最高の試合になるであろう、この試合を!