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アイリアノス『ギリシア奇談集』:「アナクサゴラスの毅然たる態度」(《理性》の徒)!「アンティゴノスの不動心」(武人の感情形式)!

2021-06-12 16:21:40 | 日記
※アイリアノス(200A.D.頃)『ギリシア奇談集』(第1~14巻)岩波文庫

第3巻(2)「アナクサゴラスの毅然たる態度」:「私は死すべき者を生んだことを知っていた」!《理性》の徒!
哲学者アナクサゴラス(前500頃〜前428頃)が弟子たちを前に議論している時、彼の二人きりの子供の死が伝えられた。しかし彼は騒がず「私は死すべき者を生んだことを知っていた」と言った。
《感想1》アナクサゴラスはイオニアの知的伝統を受け継いだ哲学者だ。彼は原初の混在から秩序ある世界を創り出す「ヌゥス」(知性・精神・理性)について語った。
《感想1-2》アナクサゴラスは学究の徒、すなわち《理性》の徒だった。《理性》の観点からすれば人は、まさしく「死すべき者」だ。だが彼に《感情》(Ex. 子供への愛、またその死への悲しみ)はなかったのだろうか?

第3巻(5)「アンティゴノスの不動心」:「あっぱれな兵士であった」!武人の感情形式!
アンティゴノス2世(前319‐前239、アンティゴノス朝マケドニア王)は、息子が前線から遺体となって運ばれてきたとき、顔色を変えることも涙を流すこともなかった。彼は息子の死を褒め称え、埋葬を命じた。
《感想2》当時の武人の感情形式は、《「あっぱれに」(名誉ある仕方で)死んだかどうかに感動する》というものだった。これは、アイリアノス(200A.D.頃)の感情形式と異なる。(Cf. 現在の日本とも異なる。)
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浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(83)-2 百田氏の誤り②:GHQの日本占領に関し、百田氏がアメリカに「歯向かう」ことを説き、「友好」を説かないのは誤りだ!

2021-06-12 09:52:25 | 日記
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「敗戦と戦争」の章(315-384頁)  

(83)-2 百田氏の誤り②:GHQ(or連合国)の占領目的は「日本を二度とアメリカに歯向かえない国に改造すること」でなく、「日本の非軍事化」と「民主化」だった! (322-323頁)
B-3 百田尚樹『日本国紀』は「GHQの最大目的は、日本を二度とアメリカに歯向かえない国に改造することだった」(百田410頁)と述べるが、このような項目をGHQの目的として史料的に確認することは出来ない。
B-3-2 「『降伏後における米国初期の対日方針』説明」(1940年9月30日)には次のように明記されている。「日本が再び世界の平和及び安全に関する脅威とならないためのできるだけ大きい保証を与え(※日本の非軍事化)、又、日本が終局的には国際社会に責任あり且つ平和な一員として参加することを日本に許すような諸条件(※民主化)を育成する。」
B-3-3 つまりGHQ(or連合国)の占領目的は、史料で確認できるのは、「日本を二度とアメリカに歯向かえない国に改造すること」でなく、「日本の非軍事化」と「民主化」だった。
《感想1》スターリンのソ連が日本を占領したら、恐らく日本人は奴隷化され収奪され、「二度とソ連に歯向かえない国」に改造したろう。(評者の私見。)
B-3-4 GHQは「治安維持法、特別高等警察、といった抑圧的諸法・諸制度を撤廃」し、また「政治犯の釈放が指示される」。これらは「アメリカに歯向かう力」とは無関係で「日本国民を抑圧していた諸制度の廃止」(「民主化」)である。

《感想2》連合国(アメリカ)は、ヒトラーのナチスが、共産主義国(ソ連)や劣等民族に行ったような虐殺・奴隷化・隷属化・収奪を、日本人に対し行っていない。「民主主義国」アメリカによって日本が占領されたことは、日本人の幸福にとってプラスだった。(Cf. そもそも「民主主義」は「最大多数の最大幸福」を原則とする。これが日本人にも適用されたと言うべきだ。)
《感想2-2》またスターリンが独裁したソ連が、日本を占領したら、日本人の奴隷化・隷属化・収奪が起きたろう。米国に占領されたことは不幸中の幸いだった。
《感想3》浮世氏は「連合国軍の進駐受け入れ、日本軍の速やかな武装解除は、連合国が驚くほどスムーズに進んだ」と述べる。(323頁)これは、日本の「天皇制」が日本人の幸福にとってプラスに働いた顕著な例だ。天皇が「戦争を終わらす」(終戦)と自ら言ったので、日本人(日本軍)は素直に武装解除を受け入れた。又、連合国軍の進駐に対して日本軍が抵抗・攻撃することもなかった。(直前までの「本土決戦」が雲散霧消した不思議!)
《感想3》当時の状況で、日本人にとって最良な選択はアメリカと「友好」な関係を保つことだったはずだ。「アメリカに歯向かう」つまり「敵対」する必要などない。当時の状況を論じるにあたって、百田氏が「アメリカに歯向かう」こと(アメリカとの「敵対」)を説き、アメリカとの「友好」を説かないのは、誤りだ。
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