King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

天の夜曲

2006年01月29日 01時26分14秒 | 日々のこと
宮本輝はよく読んだ作家です。
今私の好きな北杜夫が日経の履歴書を書いています。
時代が動いたのを感じます。
最初、この文庫本になった本を手に取り、最初を読んでも
この本の内容が思い出せなかったのです。もしや読んでないのではと、
あわてて買いました。しかし、この流転の海シリーズを読んでいないはずが
ないのです。いつ出るかいつ出るかと楽しみにしているシリーズです。
文庫本まで待つはずがないし、多分家のどこかに単行本もあります。

このシリーズは、繰り返し読んだシリーズで、読み出すとすぐにストーリーは
思い出されました。それでも最後までまたずっと読んでしまいました。
熊吾の言葉に色々影響されたのも思い出されました。少なからず
自分の人生の指針にもしているものがあります。
それと今回気が付いたのは、昨今のホリエもん事件のように
悪事が繰り返される背景と、勝者と敗者の境目です。
今まで時代の先駆者として一番の成功者のようにマスコミにも
よく取り上げられていた人物が逮捕されてしまい側近やら近い人が
自殺という形で闇の勢力とか闇の金とつながっていたとか黒いうわさも
流れ、あっという間の転落を見るのです。

この本の中にも似たような人生の流転があり、熊吾の一人ごとのような
人生訓が知らず知らず頭に刷り込まれていくのです。2004年のインタビューで
第5部を執筆中という記事があり、そろそろ出てもおかしくない時期なのですが、
他の新聞に書いていた柔らかい本は出たようですが、ライフワーク言われる
5部はまだです。先の北杜夫もブラジル物語を3部構成で書くといいつつ
果たしていないのと同様、ライフワークとしたものも成しがたしという状態が
出来するのでしょう。ファンはただ待つだけです。

熊吾の言葉で一番印象に残ったこと。
人間は自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん。
それと熊吾が信じる日本人骨抜き計画。そのお先棒を担ぐのは日教組。
今まさに日本の教育は、ゆとり教育以来学力が低下して、ニートと呼ばれる
働きも学びもしない若者が増えているのです。しかし、それとて私はすべて
アメリカ的にして二極化を容認する今の政治体制が生み出したものであり、
先の勝ち組負け組みを生む社会システムを多くの人は是としたから今の
小泉体勢があり、自民党圧勝があったのでしょう。ちょっと前までは、欧米
並とか欧米に習ったシステムなどという追随の姿勢でしたが、アメリカの言うが
ままになっているだけで生活水準が欧米並みになったのではありません。

週休二日も学校からそうしなくてはならないとしながらも、実際は学力が
低下してしまうので、週休二日は原則として足りない補修にあてるとか
言い出しています。ゆとり教育が悪いと一時槍玉に上がりましたが、それよりも
週のカリキュリラムに問題があり、週5日で学力が落ちてしまうようなシステムに
問題があるとなぜ思わないのでしょう。それを週6日に戻しても同じです。
学校のシステムに不効率な物があるから録に教えられないのです。何でも
長くやればいいというのが日本人の考え方です。仕事でも汗を流して努力
する事を喜び、事務方でも脳みそに汗をかくくらい仕事をしろといい、要は
暗にサービス残業を強要しているだけです。労働時間を長くすればそれで
売り上げが上がると思っているのですからおめでたいのです。

ヨーロッパの国々は完全週休二日制でさらに有給休暇が30日もあり、
それも完全消化。それでも日本と同じ労働生産高があるのです。つまりは民度
の差であり、人権の考え方が違うのです。是非熊吾の言葉を今の経営者や
政治家たちに肝に銘じてもらいたいものです。なぜアメリカに追随しなくては
いけないのか。これは日本が敗戦国でアメリカの精神的な支配を脱していない
からです。アメリカは勝者と敗者の国ですが、ヨーロッパは成熟した福祉社会です。
フランスでの暴動など見るとかつての植民地支配の付けはまだ受けていて
根深い傷もありますが、町はそのまま歴史と文化の香りのする富が築かれ
それが豊に分配された成熟した社会です。アメリカのように歴史が浅く
高層ビルの下にも多くのホームレスが寝ている二極化の国とは違います。

日本も欧州各国のような富を公正に分配した成熟型社会を築けたのに
今や目指しているのはアメリカのような競争して活力がある多くの敗者を
出す社会です。アメリカが自由で豊かだという上辺の視点ばかりで、本来の
物事の基本を見失った日本は、熊吾の言うように骨抜きにされた日本人
なのです。韓国や中国にああだこうだ言うのもまだ日本が負けた事を言って
いるのであり、いつまでも過去を清算していないようなことは言われる必要が
ありません。彼らが言っているのはお前らは負けた国ということです。しかし、
それは過去のことであり、彼らの言いなりになる必要もありません。アメリカも
しかりです。もっと欧州の富を見てなぜそれが日本にできないか考えましょう。
日本には豊かな金融資本があり、財政再建をしないといけない借金が
あると言われています。すぐに消費税を上げないと財政破綻を招くと言われます。
そんな大嘘はありません。歳出削減でまかなうべきという話もあります。

これも大嘘です。やるべきは財政の一本かなのです。今ある特別会計という
意味のない会計制度と不透明な使途こそがいけないのであり、住宅産業の
貧困さが全ての財産的低下と労働力の質の低下を招いているのです。
住宅政策がまず日本の劣悪な住宅を増やしてその富の最終に行き着く
個人資産の陳腐化をしています。つまり、日本の住宅は木造の小さな
物が多く、それを買うために一生かかっても返せない借金を組まなくてはなりません。
しかし、それで買える家が劣悪なのです。20年もすると価値のなくなる家。
土地は毎年値下がりする。そんなものに定年になっても借金が残るような
ローンを組んでいるのです。それでは日本人が豊かになれるはずがありません。

敷地が100坪もあって家は200年から300年もつもので中古市場もしっかりしている
というものでなくては、いくら働いて残したものが狭い土地で売っても葬式代にも
ならないのではいくら働いても豊にならないのです。ヨーロッパを見れば、どこの
都市も美しく、建物は高層でありながら町としてきれいに整っており、歴史を
感じさせる町自体が博物館のような街並みが多いです。日本でも地方の
豊かなところはそういうところがあります。日本だけなのです。家が20年しかもたない
なんてのは、今法律で10年保障をつけることになっていますが、そして15年もすれば
建て直しをしたり、30年の家なんてなかなか見つからないくらいです。
もっと町の作り方から法律で規制して、行政の指針をしっかりとした町づくりを
すれば、500年1000年単位の都市づくりが可能です。そして、個人の資産も
築きやすくなり、それをファイナンスしたり、中古として流通させることも可能に
なるのです。マンションなんかもあと10年もすれば立替ができないマンション
だらけで廃墟の町が出てくるでしょう。いい加減な都市計画のせいです。
高齢化社会を救うのも高ファイナンス住宅型の都市がモデルになります。
イギリスではすでに、自分の住宅をファイナンスして老後を面倒見てもらう
システムが確立しています。日本の20年で価値がゼロのうちでは無理です。
コメント
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