懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

TV放送

2020-12-01 16:07:07 | Weblog
NHK杯はNHKの放送だけど、その少し前、11月下旬に、フィギュアGPSロシア大会の一部を、テレビ朝日で地上波でやってくれた。(関東のみ。深夜)それも女子シングルだけ。人気があるからか。確かに、ロシア女子のは、見栄えがしてTV向き。(有力選手も揃っていたはずだが)

今年はコロナの関係で、例年のGPSのTV地上波放送自体が貴重なもの。

選手のパフォーマンス以前に、スマホ画像、ネット画像より、自分の機器ではTVの方が綺麗で見ごたえがあり、また、このコロナ状況下ということもあって、実況・解説の良さがかなり印象に残った。

開幕前に、ロシアのフィギュア関係者のコロナ感染も報じられ、開催自体、不安がかなりあり、また、その対策が結構、試合に出る選手には拘束がありそうで、自分も見るにあたって、選手たちがいつもどおりのコンディションではないかも、とは思った。

さらに優勝候補のはずのアンナ・シェルバコワが、まさかの直前欠場(肺炎だとか)

と、手放しで喜べるものではなかったが。(中止もありなのでは?と思える大会ではあったけど、見てみると、見られたことがありがたくも感じられ。。。)

注目のフリー。

前回、11月初旬のロシア杯第四戦では、最高難度,4lz含む、3種類の4回転(コンビ含む)4つ投入、3つ成功で、我々を驚かせたアレクサンドラ・トゥルソワは、それから試合間隔が近すぎたのか、今回は、ちょうど反転したような演技で敗退。

よって繰り上がりみたいな感じで、223点台が一位。


なので、点数的には、それまでのロシア杯第一戦~第四戦と比べて、レベルは高くなかった。(でも、ロシア杯第一戦の時から、ロシアの女子シングル見てると、下位の選手でも、女の子が綺麗な衣装着て出てきて、この人たちって、こういう服着てスケートしたりするのが似合う体型、容姿で、ぼさ~っと見てても結構見れると思ってた。なので、一試合だけでも日本のTV放送画像が残るのは嬉しい。と強調しておこう。TV放送録画した。ありがたや。)

1位2位の点を見ると、去年までの優勝者とは、点数の水準が違うなとは思うけど。

【1位:トクタミシェワ】
それでも、リーザことエリザヴェータ・トクタミシェワの、高さは以前ほどでないが滑らかな回転が印象的な、、冒頭のトリプル・アクセルを決め、優勝したことに溜飲の下がる思いだったフィギュアファンは多かったかな。

(そのファンたちには怒られそうだが、バレエファンの私には、彼女のSP「スパルタクス」は、清純な妻フリギアの夫婦愛のシーンの曲なので、自分のリーザのイメージじゃなかった。

私的には、リーザは妖艶な娼婦:エギナの方があってるんじゃ?と思いかけた。

けど、よく考えてみると、エギナのパートの曲はアップテンポで、そっちもあってないか。

FS。背中に「愛」の感じの切り絵みたいな文字がある黒衣装。

愛は人生で一番大切なもの、との本人コメント。彼女は大人になって大学も行き、恋人がいて、愛と性について語ったりしてるので、その「愛」とは、まずは恋人とのものかなとも思うけど、たぶんそれだけでなく、もっと広義の、氷上に立って自分が観客から受けた愛、それを返す愛、というのが、あるんだろうなって感じた。リーザの表現って、うわべのテクニックとか巧拙でなく、その人柄みたいな所に基幹があると感じた。(テクニックだけなら、コスの方がリーザより、ばっと瞬間的に出せるものがあるんだけど。中身として、人生の年輪、人間性みたいのがあるのが、彼女の表現かな。)

と、そこまでは良かったんだけど。振付的には・・・バレエの、ニーナ・アナニアシヴィリの上演した「夢の中の日本」(愚作です)を思い出すと思った。けど、ユーリー・スメカロフだっけ、彼の振付なら、似てても不思議無くて、ちょっとがっかり。(真似た、っていうんでもないかもしれなけど。彼らは、日本文化を分ってるわけじゃないしね)リーザは何も悪くないけど、バレエファンの独り言ぼやき)まあ、彼女は大衆化路線の人で、ゴリゴリの芸術家肌、というタイプではないから、いいのか。

【2位 アリョーナ・コストルナヤ】
3Aでなく、2A。3Aのないコスなんて。体も後半の滑りを見ても調整途上っぽい。この人は本人のやる気次第と思う。

【アレクサンドラ・トゥルソワ、FS「ロミオとジュリエット」】
自分的には、この中にあっては、トゥルソワが一番きれいに見えた。4回転ジャンプ、転倒してもすべて4回廻ってたことだけでなく。

とにかく、録画を後で見ると、彼女一人だけ、突出して美しい。氷上の姿も、動きも。

今季、細かい事言うと、3Fに「!」がついてたので、後半の3Lz-3Tを、今回3F-3Tに変えたのは、そのせい?なんて勝手に思った(違うかも)今回は「!」がついてなかったので、トゥルソワの意地かな?って思ったけど、でもqがついてたが。(この2記号は注意喚起系らしく、このレベルだと減点ないみたいなので、ま、いーじゃん、と思ってしまうのは私が素人だから。)ちょっとトゥルソワはまじめすぎて、もう少し緩めないときついかもとは思うんだけど。優等生なのね。

ついでに、点数的には、最初3種の4回転3つでミスが出て、損失補てんとして、その後の2Aにさくっと3Tつけてたけど。これで8点位、稼いでたかな。凄く簡単そうに跳んでるけど、急きょアドリブでおまけの3Tつけちゃうこと自体、他の選手には、こんなに簡単そうにはできないこと。

何より転倒の3つの4回転、全て回転は足りてるのも、他の選手から見たら、出来ないことで、凄い事のはず。

ネガティブな所でとらえられてしまいそうな結果だけれど、負けてもトゥルソワの凄さが色々出ている。後半の4Tからの3連続のコンビネーションも、本当は女子ではなかなかできない技だし。

表現というか、彼女はバレエのトレーニング、年季入ってそうで、いつ見ても綺麗に動く。
手先まで神経の行き届いた動きで、足で跳ぶだけじゃなく、スピンだけじゃなく、何でもない所の動きが、今回のメンバー全員の中では、抜けて綺麗。手、腕のエレガントさって、指摘してる人、あまり見た事ないけど。綺麗でうっとりした。脚を上げる時の位置、顔の付け方というか、瞳の方向づけとか、全部的確で、品があって綺麗な動き。

表現的には、最初の両腕を後ろに組んで、ぱっと離すのは、軛があって、軛から解放されることを意味するのかな??とか、最初の方、違うかもしれないけど、仮面舞踏会を表しているのかな?と思う振りが有ったり。今回は、もしかしてロミオとティボルト剣のシーン?と思った(これは当たってるか分らないけど)があったり、色々とインスパイアされるものがある。

テストスケートの時から、3つの曲想を見事に表現しているので、殊更に衣装切替えに頼らなくても曲の重厚さ、運命の過酷さは充分表現できてると思うけど、今回は衣装に仕掛けで、寝てる棘が最後の曲の所で起きる仕掛けらしい。で、これが片腕側の衣装の棘だけ、起きてくれなくて、何か、ステップの前あたりで腕を触ってなおしてたみたいなのが、ご愛敬。

新衣装、物凄くレベルの高いデザイナーが作ったものだと思う。どんなモデルよりも今のトゥルソワが一番美しく着こなせる衣装を作った。あの変わった衣装は、縫製的に、今の彼女の、超鍛え抜かれた体幹あってこそ、最もきれいに着れる服に見えた。

胴衣が黒で、下のスカートの赤(濃いピンクかな)との、切替部分の処理が見事過ぎて、見とれた。
動かなくても素晴らしいが、動くと、スピン、ステップ、ジャンプの回転の時、スカートの翻り、黒と赤の溶け合い方が絶妙で。

衣装作った人が上手過ぎて目の保養。こんなハイレベルの衣装(スカート部分と上位の切替の絶妙なバランスが特に)作れる人いるんですね~。ザギトワのカルメンの衣装の赤黒切替の縫製技術レベルなら、大概の衣装制作者が作れるレベルと思うが。(ザギトワは何着ても綺麗だし、だからあの衣装で全然いいんだけど)

色々と見どころは多かった。この衣装のトゥルソワが可愛くて、労せずしてジュリエットに見えた。織田氏の解説とテレ朝の実況氏が、逆境で闘う彼女の偉大さをよく伝えていて、聞いてて感慨深かった。

本人は、他選手に比べいかにも頑張りすぎで、彼女のジュリエットにノックアウトされた身としては、次のロシア選手権が心底心配だけど。手抜きってものを知らんな。

ごめん、他の選手も面白かったんだけど、書く時間なくて割愛。

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