ああ、やっとバレエの話。
えっと、先週放送分で。
ゲストは、元東京バレエ団ダンサーの首藤康之氏。前半はボリショイの『眠り』のローズアダージョ等の映像紹介で、なぜか首藤さんが解説だけど、まあ下手な評論家が入るよりは良かった。
後半は、日本のバレエ『バレエの饗宴』公演のさわり映像だけど、各バレエ団、均質紹介でなく、東京バレエ団「ザ・カブキ」の部分映像紹介が、ほとんど。
≪ボリショイ『眠り』ローズ他≫
前も全幕の放送があったけど、今回のような部分抜粋には、とても向いてるザハロワ。
単純に、画像がきれいで踊りが上手いし。最初は不思議な取り合わせと思ったけど、ここで時間長く取り上げられたことに納得。全幕のときより、背景に目が行った。
舞台は実力勝負だけど、残る映像は、カメラ写りも大事だと再認識。
<ローズアダージョ>
客観的には、私が今まで見たバレリーナの「眠り」の中では、1番位、上手な気がした。
よく調整された体らしく、難しいはずのローズが、安定感抜群で、ぼんやりみてると難しい踊りであることを忘れる。トゥで立ち続け、アチチュードで手を握ったり放したりとか、プロムナードとか、各パートで、まだ技術的に余裕があるように見えるけど、こういう人は、はじめてみた。表現も昔からの当たり役で、元々の個性が合っていて。演技も、周囲と関わる余裕のある貫禄の主役だが、初々しさ愛らしさ、天真爛漫、といったオーロラ姫の属性、少女的な感性が余す所なく漂う。ディテールも丁寧で申し分ない。
でも。
主観的には、私はもう既に、それ以前に、多くのオーロラ姫を見てしまっていて、そういうザハロワを、すご~く冷静な目で見てしまった。彼女を先に見ていたら、もっと感激したかも。
昔は、ここまで余裕しゃくしゃくで踊るプリマではなく。
ボリショイでは、例えば、昔、画像で見たセメニャカの眠りのローズは、今回と違い、もっと大仰な演出で。
前奏から階段をオーロラ姫が下りてくる所からはじまって、そこからたたみかけるように、興奮や感動を促す演出で、そんな中で、技術必死で踊るプリマの、「私は、セメニャカよ!天下のボリショイのスターよ!さあ、あなた、感動しなさいよッ!!!」と感動を強要されているかのよ~な、脅迫的スターオーラと音楽と技術が一体化して、M男的気分で、おおおおおーっ、これがボリショイか~!と、わらわらとコーフンして、ザハロワよりも技術的には下でも、なんかM気分が忘れられない感じだった。
難度を決めた時、セメちゃんが、アチチュードでバンザーイみたいにあげてる両腕から、「やったーっ!」という気分が伝わってきて、自分もそれを共有してる感じ。この時代は、それができたら技術的にすごいとか、そういう興奮度も高かったんだと思うけど。プリマの達成気分を共有させちゃう劇場の力と、プリマの怖さが・・・はまった。
ザハロワは、もっと優しい感じのお姫様。
お姫様の性格が、プリマごとに微妙に違うのもおつ。
【セメニャカ】4人の王子から貰った花を、バーッと投げちゃう、高貴な姫の傍若無人さに、ドッキリ。
【ニーナ】明るく外交的。ひまわりの花みたい。2002年、キャリア中期のニーナは、スターで多忙で、やや踊りが大雑把で、ザハロワもビシニョーワも皆やってた、脚裁きをやってなかったのが残念。(ローズの中途で、男の子たちの肩に捕まって斜めに進んで踊る箇所の。)でも、おおらか。(他のお客さんが、ロビーで、「キトリの方が合ってる」と言ってたが)
【グラチョーワ】2002年公演で。ニーナよりも、やや、内向的な女の子?自分的には、男性を意識してる女の子、という読み方をしている。
派手!というより、しっとり。外見がやや大人っぽい。演技は、ザハロワも申し分ないけど、グラチョーワは、毒針に刺され毒が回ってくる所は、リアリティの面では演技は上手い。
ただ、オーロラの性格と外見から見れば、ザハロワやニーナの方が、ことさらに作らなくてもオーロラかも。
【ギエム】
今にして思えば、お姫様に思えない。鋼鉄の女。強いポアント。
って、きりがないので、やめますが。
<カラボス>首藤さんの解説で、マイム解説あり。わかりやすい。
女装のカラボス役は、存在感あって好演だけど、毒がなく。子供にも安心して見せられるというのか、な・・・。私は,カラボスはやっぱり女性がやるのが好き。のけ者にされた恨みとか、女の冷たい感じや、毒がある方が。
<王子とオーロラ>
男性ダンサーは、ソロは個人的には、デジーレのホールバーグより、青い鳥のオフチャレンコ、シンデレラの王子アブドゥーリンら、ボリショイの教育で育った人の方が、脚の使い方とか好みだけど、今は王子役では贅沢は言ってられないし、ザハロワの相手ができるという意味で、ホールバーグは、とりあえずこれで、ま~いいのでは、と。キャリアもあるし。
ザハロワの舞踊は、アダージョよりソロが、より余力もあり、魅力的。でも、他の男性ダンサーと合わなかった時の舞台よりは、きっとずっといいのでしょう。
姫とは国が違って、衣装のせいもあり、”ヨーロピアンな王子”というイメージで見た。
≪首藤さんとか≫
既にTV出演も時々あった人と思うけど、私はTV番組でこういう風に座って話す首藤さんを、はじめて見た。
舞台とちょっとイメージ違って、終始ニコニコ。他の出演者はそんなことはないのに、昔の少女マンガみたく、「目からお星様が!」と言いたくなるくらい、瞳がキラキラする人。ネガティブな質問をされても、笑顔でポジティブに返す。首藤さんの『ボレロ』が僅か写って、少しだけ参考になった。
私自身は、舞台芸術家がTVに出るのは、あまり好まない方だけど、清冽なバリアを持ってて、この人なら手垢にまみれなさそう?な感じ。少年のような印象。
ニコニコ、瞳キラキラのトークがいい感じで、TV向きかも。
一方で、小林十市さんも少しインタビューが入って、この人も、またどこかのTV番組でも見たいかも。この二人はベジャールが関わってて、TVに出た位では、揺るがないものがある様に見受けた。
≪吉田都さん≫
短いインタビュー。質問に対し、即答せず、頭の中で言葉を探してきちんと答える。思慮深く理知的な芸術家の印象。踊り映像は、ワンショット。
≪他バレエ団≫
・新国立劇場バレエ団「アラジン」:自分が未見なので、僅かでも雰囲気が伝わってよかった。時間短い。群舞女性の中に、八幡さんの高いジャンプ。相変わらず、軽い。
・谷桃子バレエ団「ダッタン人の踊り」
日本での上演は多くない作品かもだけど、わらわらと盛り上がる音楽での、男女群舞のキャラクターダンスなので、自分的には好き。新しい作品もいいけど、ガラの中にこういう野趣の生命力のダンスも入っても、バランスがいいと思う。日本はキャラダンは弱いのは、泣き所だけど。
≪ザ・カブキ≫
去年このバレエ団を見た時も感じたが、自分的には、昔ベジャールがいた時の上演の方が、演出的に締まってて良く見えた。統合する目がある方が。贅沢ですが。
こんな感じのラインナップでした。
えっと、先週放送分で。
ゲストは、元東京バレエ団ダンサーの首藤康之氏。前半はボリショイの『眠り』のローズアダージョ等の映像紹介で、なぜか首藤さんが解説だけど、まあ下手な評論家が入るよりは良かった。
後半は、日本のバレエ『バレエの饗宴』公演のさわり映像だけど、各バレエ団、均質紹介でなく、東京バレエ団「ザ・カブキ」の部分映像紹介が、ほとんど。
≪ボリショイ『眠り』ローズ他≫
前も全幕の放送があったけど、今回のような部分抜粋には、とても向いてるザハロワ。
単純に、画像がきれいで踊りが上手いし。最初は不思議な取り合わせと思ったけど、ここで時間長く取り上げられたことに納得。全幕のときより、背景に目が行った。
舞台は実力勝負だけど、残る映像は、カメラ写りも大事だと再認識。
<ローズアダージョ>
客観的には、私が今まで見たバレリーナの「眠り」の中では、1番位、上手な気がした。
よく調整された体らしく、難しいはずのローズが、安定感抜群で、ぼんやりみてると難しい踊りであることを忘れる。トゥで立ち続け、アチチュードで手を握ったり放したりとか、プロムナードとか、各パートで、まだ技術的に余裕があるように見えるけど、こういう人は、はじめてみた。表現も昔からの当たり役で、元々の個性が合っていて。演技も、周囲と関わる余裕のある貫禄の主役だが、初々しさ愛らしさ、天真爛漫、といったオーロラ姫の属性、少女的な感性が余す所なく漂う。ディテールも丁寧で申し分ない。
でも。
主観的には、私はもう既に、それ以前に、多くのオーロラ姫を見てしまっていて、そういうザハロワを、すご~く冷静な目で見てしまった。彼女を先に見ていたら、もっと感激したかも。
昔は、ここまで余裕しゃくしゃくで踊るプリマではなく。
ボリショイでは、例えば、昔、画像で見たセメニャカの眠りのローズは、今回と違い、もっと大仰な演出で。
前奏から階段をオーロラ姫が下りてくる所からはじまって、そこからたたみかけるように、興奮や感動を促す演出で、そんな中で、技術必死で踊るプリマの、「私は、セメニャカよ!天下のボリショイのスターよ!さあ、あなた、感動しなさいよッ!!!」と感動を強要されているかのよ~な、脅迫的スターオーラと音楽と技術が一体化して、M男的気分で、おおおおおーっ、これがボリショイか~!と、わらわらとコーフンして、ザハロワよりも技術的には下でも、なんかM気分が忘れられない感じだった。
難度を決めた時、セメちゃんが、アチチュードでバンザーイみたいにあげてる両腕から、「やったーっ!」という気分が伝わってきて、自分もそれを共有してる感じ。この時代は、それができたら技術的にすごいとか、そういう興奮度も高かったんだと思うけど。プリマの達成気分を共有させちゃう劇場の力と、プリマの怖さが・・・はまった。
ザハロワは、もっと優しい感じのお姫様。
お姫様の性格が、プリマごとに微妙に違うのもおつ。
【セメニャカ】4人の王子から貰った花を、バーッと投げちゃう、高貴な姫の傍若無人さに、ドッキリ。
【ニーナ】明るく外交的。ひまわりの花みたい。2002年、キャリア中期のニーナは、スターで多忙で、やや踊りが大雑把で、ザハロワもビシニョーワも皆やってた、脚裁きをやってなかったのが残念。(ローズの中途で、男の子たちの肩に捕まって斜めに進んで踊る箇所の。)でも、おおらか。(他のお客さんが、ロビーで、「キトリの方が合ってる」と言ってたが)
【グラチョーワ】2002年公演で。ニーナよりも、やや、内向的な女の子?自分的には、男性を意識してる女の子、という読み方をしている。
派手!というより、しっとり。外見がやや大人っぽい。演技は、ザハロワも申し分ないけど、グラチョーワは、毒針に刺され毒が回ってくる所は、リアリティの面では演技は上手い。
ただ、オーロラの性格と外見から見れば、ザハロワやニーナの方が、ことさらに作らなくてもオーロラかも。
【ギエム】
今にして思えば、お姫様に思えない。鋼鉄の女。強いポアント。
って、きりがないので、やめますが。
<カラボス>首藤さんの解説で、マイム解説あり。わかりやすい。
女装のカラボス役は、存在感あって好演だけど、毒がなく。子供にも安心して見せられるというのか、な・・・。私は,カラボスはやっぱり女性がやるのが好き。のけ者にされた恨みとか、女の冷たい感じや、毒がある方が。
<王子とオーロラ>
男性ダンサーは、ソロは個人的には、デジーレのホールバーグより、青い鳥のオフチャレンコ、シンデレラの王子アブドゥーリンら、ボリショイの教育で育った人の方が、脚の使い方とか好みだけど、今は王子役では贅沢は言ってられないし、ザハロワの相手ができるという意味で、ホールバーグは、とりあえずこれで、ま~いいのでは、と。キャリアもあるし。
ザハロワの舞踊は、アダージョよりソロが、より余力もあり、魅力的。でも、他の男性ダンサーと合わなかった時の舞台よりは、きっとずっといいのでしょう。
姫とは国が違って、衣装のせいもあり、”ヨーロピアンな王子”というイメージで見た。
≪首藤さんとか≫
既にTV出演も時々あった人と思うけど、私はTV番組でこういう風に座って話す首藤さんを、はじめて見た。
舞台とちょっとイメージ違って、終始ニコニコ。他の出演者はそんなことはないのに、昔の少女マンガみたく、「目からお星様が!」と言いたくなるくらい、瞳がキラキラする人。ネガティブな質問をされても、笑顔でポジティブに返す。首藤さんの『ボレロ』が僅か写って、少しだけ参考になった。
私自身は、舞台芸術家がTVに出るのは、あまり好まない方だけど、清冽なバリアを持ってて、この人なら手垢にまみれなさそう?な感じ。少年のような印象。
ニコニコ、瞳キラキラのトークがいい感じで、TV向きかも。
一方で、小林十市さんも少しインタビューが入って、この人も、またどこかのTV番組でも見たいかも。この二人はベジャールが関わってて、TVに出た位では、揺るがないものがある様に見受けた。
≪吉田都さん≫
短いインタビュー。質問に対し、即答せず、頭の中で言葉を探してきちんと答える。思慮深く理知的な芸術家の印象。踊り映像は、ワンショット。
≪他バレエ団≫
・新国立劇場バレエ団「アラジン」:自分が未見なので、僅かでも雰囲気が伝わってよかった。時間短い。群舞女性の中に、八幡さんの高いジャンプ。相変わらず、軽い。
・谷桃子バレエ団「ダッタン人の踊り」
日本での上演は多くない作品かもだけど、わらわらと盛り上がる音楽での、男女群舞のキャラクターダンスなので、自分的には好き。新しい作品もいいけど、ガラの中にこういう野趣の生命力のダンスも入っても、バランスがいいと思う。日本はキャラダンは弱いのは、泣き所だけど。
≪ザ・カブキ≫
去年このバレエ団を見た時も感じたが、自分的には、昔ベジャールがいた時の上演の方が、演出的に締まってて良く見えた。統合する目がある方が。贅沢ですが。
こんな感じのラインナップでした。