懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

場所とか

2018-08-14 02:18:37 | バレエ
バレエ関係のアクセスが多いようなので。そっちの話で。

先日行った、横浜ベイサイドバレエ2018。

【場所】

以前見た時と、公演場所が少し違っていて。

前は、第一部では、自分の席からは、舞台の両サイドだったか、海が見えた。(私的には、これが良かった。)

今回は、客席から海が見えず。

内容的にも、前回と比較すると、企画側に、海の側の野外公演、と言う、「場」に対する感覚、思い入れがないように思った。

ほんとは、舞台芸術において、「場」の感覚って大事なのだけれど。

そっくりそのまま、バレエの舞台を、海上に移動させただけで、舞台の中は、通常の室内の公演、劇場公演と、舞台に上がってる人たちの感覚は、全く変わらないように見えて、そこはちょっと、私的には違和感。(ただ、もし次があるなら、今後は、突風とかゲリラ豪雨等、天候の突然の変化の心配もあるから、いっそ、ベイサイドの劇場でやっても、いいのかも?野外公演にこだわらなくても?、と言う気も半分。)


時折、海を行く船の汽笛が聞こえたりするのが、海上の公演独特の風情だった。

【第二部ドン・キ】
存在感の大きさ、という物は、どのように形成されていくものなんだろう?というようなことを、ちょっと考えた。

先々月の「白鳥の湖」にも、同じような事を感じた瞬間があったのだけど、割と、古典全幕は、この頃力を入れ始めて、これから、と言う所なのかしら?と思って見ているのだけれど。

踊りのテクニック面は、そこそこ踊れてると思うのだけど、そういうことより、何となく、人の集団が、舞台の中で小さくまとまって見えるというか、舞台空間の中で、ダンサーたち、その存在が、舞台いっぱいに大きく広がっていくような感じがなく。

そういうことは、舞台を踏んで、キャリアを重ねていくと、だんだん、存在感が大きくなっていくものかしら?と、思ったりした。

主役の若い二人は、東京バレエ団に詳しそうな人たちの書き込みを見ると、期待のプリマさんには、別の日の主役男性、秋元さんと組んでほしいとかいう意見があったけど。詳しい人が言うなら、そういう事もあるのかも?知れないけど、でも、自分的には、既に、5日の主役の男女には、自然と形成されてるパートナーシップが客席側からもはっきり見て取れて、仲良さそうな踊りが、好感度を上げていた。

プリマは、「白鳥の湖」で見た時には、技術的にそつがなく、素人より、バレエに多少詳しい系の客層が褒めそうな人かな?と言う印象を持った。

その時は、バランスの見せ場も、グランフェッテ・アントールナンも、或いは、ちょっとした構えもきれいで、これと言った失点がないように見えた。

白鳥の湖は難しいので、技術に自信のある人かなと思ったけど。

今回は、ヴァリのパッセの連続の所が、意外と技術的に緩かったので(と言うか、私が過去に見てきたバレリーナが、嫌味な位、うますぎる人たちだったかも)、もしかして体調万全でなかったのかも?と思ったり。32回転の所で、廻りきれずに、途中で上手く切替えてた。(切替え方がうまかったので、あまり印象が下がらなかった。)その昔、32回転で廻りきらないことで話題になってた某プリマの事を、懐かしく思い出した。

そのあと、男性が、ここぞとばかりに頑張ってて微笑ましかった。最後は二人仲良く見交わしたりするのが、グラン・パ・ド・ドゥの幸福感に繋がって、そこは個人的に良かった。

このプリマは体型がチュチュ着て良く似合う感じで、縫製も体にベストフィットで。赤いチュチュ姿が綺麗で、プリマが舞台の中心を作って舞台を引き締めている感はあった。

ドンキの赤チュチュの赤って、朱赤とか赤黒とか、また、色もデザインも、随分色んな赤衣装があるけれど、

今回は、ボディがベルベットの濃いめの赤、スカートの切替が細かいのもおしゃれで、若いプリマの魅力を良く引き出していて見とれた。

豪華な印象の衣装で、装置の少ない野外公演に、特にプリマの衣装の着こなしが、華やかさを添えている印象で、技術も大事だけど、それ以外の要素、衣装を着て舞台映えがするとか、ポーズの一つ一つが綺麗に決まって美しい、といった要素も、当たり前だけど、こういう公演では大事だと思った。

今回上演されたワシリエフ版は、たしか、このグラン・パ・ド・ドゥで終わるパターンじゃなくって、その後に、わらわらと、皆で踊りまくったり、舞台の上を勝手に歩いて愉快な芝居を続ける脇役がいたりで、この後の場面に特徴があったような気がするのだけど、今日は、そこまで行かず、普通に終わり。

ただ、最初に脇役の群舞のキャラクターダンスが入って、そこはないより、あって良かった。

【第三部 ボレロ】

ベジャール振付、ラヴェルのボレロ、って、やっぱり、凄い成功作なんですねぇ~!と思ってしまった舞台だった。

(さいしょ、暗転の時、中央の台の上に、主役が上る時に、スタッと、豹のように敏捷な動作で素早く上がった姿が、ちょっとかっこ良かった。何でもない事なんだけど、暗転とか、出はけの時にも、舞台に在る(客席から見える可能性がある)緊張感があるのって、いいと思う。ついでに、こないだの「白鳥の湖」の時、スペインの奈良さん、踊りもよくぞここまで、と思ったし(日本人はキャラダンがいまいちっていわれるけど、やっぱりスペシャリストではないので。)さらに、悪魔舞踊団場面での、出はけ、客性一般から見えないような時まで、スペインのキャラクター通りのしぐさ、なりきり感、動きで、彼女も、見えなそうなところまで舞台に立ってる緊張感があって良かった。)

男性群舞の前列の方に、ちょっと目立つ人がいたりしたけど、全体を楽しんでみた。


私自身は、男性よりバレリーナの方が好きな傾向もあって、見る前は、4日に行きたかったのだけど、

でも、実際に見て、やっぱりこの作品は、芯は男性で見た方が王道なのかな~????と、半分位は思ったり。

(ただ、途中で、メロディが、アチチュードする所は、水香さんの方が持ってる足が長いのと、バレリーナの方が一般的には脚が高く上がるかもなので、見ごたえあるかも?)

何度も見てる作品だけど、飽きるどころか、感心するばかり。何と形容していいのか当惑する。

それで、この公演後に、ネットでバレエのボレロの画像を、2,3見てみた。

自分には、ボレロと言うと、まず、ジョルジュ・ドン、と思うのに、そこがネット検索の怖い所で、今だと、ギエムのボレロ、それも、後年の方のが、検索上位に来る。ネットだと、必ずしもベストプレイでなくても、何かのきっかけで知名度、検索順位が上がってる方が表示になるので、バレエに関しては、その点は、色んな演目について、ちょっと残念な所でもある。

与太話を一つすると、サッカーのワールドカップがあって、そしたらTV番組で、ボディビルの何かの大会で優勝した女性が、色んな選手の
筋肉について解説してて。

例えば、ネイマールのシックスパックがすばらしい、とか、ルカクのふくらはぎの筋肉が素晴らしいとか、あっちこっちの筋肉について、この選手のここの筋肉が素晴らしい、と言う話を延々としていた。(サッカー界の有名スター全員の名が出てきて、それぞれが、どっか、パーツ的に最高のものを持ってるらしい。)

自分は、今まであまりそういう視点で見てこなかったのだけど。

それで言ったら、世界の一流バレエ団のダンサーには、そういうマッチョ女子の専門的な見方からすると、相当理想的な形状の身体って、あると思う。

(一例を挙げると、こないだ、2000年代の「ニーナ・アナニアシヴィリの眠れる森の美女」って公演の古い画像を見てみたら、ここでコンテを踊ってたユーリ・ポソホフって、上体半裸でタイツの踊りで、TV映り的に、理想的な綺麗な体つきに見えた。筋肉のつき方とか、たぶん、専門的な人が見たら、相当理想的に鍛えられた身体なんではないかと。芸術性が高い作品で音楽も良かったので、あんまりそういう見方をしてこなかったのだけど。)

で、今まで全く考えてこなかったけど、ボレロとかについても、舞踊、振り付けそのものが官能的ではあるけれど、さらに、上体見せたタイツ姿の男性たちによる踊りなので、

踊るダンサーの身体もまた、「見せる」要素になってくるのかしら?と半分考えたのだけど。

でも、ジョルジュ・ドンとかって、カリスマ性で見せていて、そういう、形状だけで言ったら、彼以上の男性って、舞踊界には幾らもいるんじゃ?と言う気がしてきた。

形状への拘りは、ベジャールよりも、バランシンとかの方が上かも???と思った。

(ローラン・プティなども、バレリーナの脚の形へのこだわりは、バレエファンの間で脚フェチと言われてたので、形状には関心高めか、と。)

ベジャールのボレロは、パーフェクトビューティーの肉体を見せるというよりも、あくまで腰・脚とかでリズムを刻んで、音楽の高揚とか、爆発を見せるような、ちょっとうわべの形状を見せるというのとは違うのかも?とも思ったり。

なんていうと、エチカとプラースチカだっけ、(形の美と内容のある美)そんな話になっちゃいそうだけど。

後は、メロディと群舞の関係性の中にも、官能的なものがあった方がいいので、自分的には、ギエムのボレロは変わり種ボレロになるかも。(彼女が芯だと、新興宗教の女性教祖と信者、位の関係性にしか見えなくて。ほんとは、中心の人と、群舞のかかわりは、もっと官能的な方が、この音楽・振付に合う気がする。

って、自分はベジャール専科系ファンではないので、ほんの私的観劇感想。(ぜんぜん公演感想になってない。)

真面目な公演感想ではないので、思い付きの与太話ですから、まじめなバレエファンの方は怒らないで下され。

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