懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

とりどりの花

2013-12-08 00:55:29 | Weblog
フィギュアスケートGPファイナル、
木曜から連夜TVで放送してたのを、都度見たり、一部録画を後で見たりして、
とりどりの花を見た気分。

例えば、男子フリーの町田選手のストラヴィンスキー「火の鳥」。以前は、火の鳥が羽ばたく、というイメージで見たけど、今回は、最後の所で、燃え上がる炎のようなものを感じた。曲の盛り上がりが、町田選手の表現を助けてた。

このあたりで、もう、お腹いっぱいに感動したつもりだったのが。

次のマキシム・コフトゥン選手のチャイコフスキー「協奏曲第一番」が、音楽を全身で表現していて、曲がとてもよく味わえて、さらにお腹いっぱいに。この人は動きがバレエっぽくて、音楽を動きで表すバレエの考え方に凄く近い表現。

本人は、最初の4回転サルコゥのミスがショックみたいで、がっかりしてたけど。大きな拍手で迎えた観客の気持ちがよく分った。

後半の曲想が変わる所に合わせて見栄えのするトリプルアクセルが入ったり、ピアノ曲が華やかに盛り上がる所でスピンが入ったり、振付もよくできていて、長い四肢を優雅に駆使したコフトゥン選手の演技が、それを生かしていた。
この人はSFでは脚がリズムを刻んで直線的、FSでは曲線的なラインの出し方だった。

全体に、やっぱりチャイコフスキーは、ロシア的なんだと錯覚した。(チャイコフスキーは、ロシアの名作曲家の中にあっては、どちらかと言えば、西欧的と見なされていた。でも、コフトゥン選手が演じると、とってもロシア的に感じられた。)

苦悩から立ち上がるようなイメージで見た。

羽生選手の「ロミオとジュリエット」。
前半は、客観的に見て、この作品での羽生結弦が、はじめてロミオに見えると思った。今までは、曲想に乗って、情景を見ているように思えてたけど。中盤で、ウィルソンの指示通り、上を見あげて、バルコニーのジュリエットを見て想う演技をしてた。
でも、演技以上に、後半は、
今日は、観客席に、ジュリエットがロミオを愛するように、氷上の羽生結弦選手を愛してやまない人たちが、いっぱいいるな~、と思った。舞台は一回、一回、違うもの。
今日は、愛されるロミオを見たって感じ。
何度も録画を見てしまう。

ペアのSF、ボロソジャール・トランコフが良かったから、当然優勝かと油断してたら、SF2位がフリーで逆転優勝。ボロソジャール、トランコフの演技が、地上波で放送されず、ショック。優勝したペアの「くるみ割り人形」も、くるみの微笑ましい世界が良く表現されていて、良かった。

アイスダンスの優勝者のフリーの演技。
「シェヘラザード」なのに、男性の衣装が、何か違うような。演技はムード満点なんだけど。

ここまで見てきて、充分感動的だったのに。
ロシアの15歳、リプニツカヤの「シンドラーのリスト」、さらに上?。
女優してた。案外、客観的には、一番感動したかも。
女子シングルFSで、ただ一人ミスや破綻のない演技で、集中力が高かった。

リプニツカヤ選手は、さみしげな少女のキャラを演じたけど、一方の14歳、ラディオノワ選手は、陽性の個性をアピール。笑顔がいきいきしてて、肩の使い方とか、歳の割りにセクシー。手足が長く、バレエなら、タランテラとか、踊らせてみたいとか、妄想した。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」をフリーで選んだパゴリラヤ選手、この回、気合の入り方がはんぱなく、つい見ちゃう、目がいっちゃう感じ。青い衣装の片胸の部分が、白っぽい貝がらをイメージしていて、マーメイドみたい。自分に似合う演目を選ぶのも、大事だと思った。

ソトニコワ選手・・・。オリンピックでの期待が掛かるけど、今回のフリーは崩れちゃった。芸術性はいいけど、厳しいプログラムに体が持つかどうか、ちょっと本番が心配。

浅田選手は、SFの動きとか、別格の美しさでした。
全身の鍛錬が行き届いて、ラインの美しさだけでも酔える。TV番組の出演者が、見てて涙が出た、と言ってたけど。私も。

TV番組の作り方として、町田選手の「エデンの東」の解説の映像部分とか、リプニツカヤ選手の演目の原典、「シンドラーのリスト」の赤い服の少女の映像とか、流したのが、良かった。振付作品によっては、どんな内容なのか、知りたくなる時があるから

(「エデンの東」の説明で、この原典の小説の一文の引用があって、”道は開かれていて、全ては人間次第”を意味する、ティム・シェルというキーワードの話があった。
そういわれれば、そ~よね~。う~ん、とか、考えてしまった。)

逆に、ボロソジャール・トランコフのペアの3つの作品は、どんな内容なのか、もっと知りたくなって、でも彼らはロシア人で、町田選手みたいに本人に日本語でに解説してもらうわけにもいかないから、どっかで作品の情報が入るといいな~と思ってみた。

試合が続いて、五輪前に多すぎるのは、あんまり良くないとは思った。お客さんは、さすがにいい観客を集めてたから、いい演技をすれば、しっかり見てくれそうだったけど。

織田選手。個人的少数意見で、自分は前のシーズンの作品の方が好きで・・。ゴメン、みたいな感想。この人は、お顔の感じで振付作品をコミカル路線とか、「ウィリアム・テル」とかに決められてしまったのでしょうけど、実は、容貌じゃなくて、滑ってる時の全身の表情には、ラインや、ジャンプの伸びやかさの中に、かなり優雅さ、美しさを出せる人で、とっても勿体無かった。アップテンポのコミカル路線は、他にやれる人がいると思う。(ごめんよ、気にせんでくれ。)

時に、個人的には、チャン選手のお顔って、コミカル路線の方が似合うと、いつも思う。目がパッチリしてて。名曲かけると、音楽の表現において、いつも曲に負けてる気がする、チャン選手。スケーティングは綺麗だけど。

織田選手は、持ってる筋肉の質がいいんだろ~な、と実感するような、宙に浮いた時余裕のあるジャンプもきれい。エン・カン選手と織田選手が、バレージャンプの箇所は見てて気持ちよくなるような爽快感。エン・カン選手は、今回調子がいまいちだったけど。


(追記)
BS朝日で、ペアのフリー、ボロソジャール&トランコフの「ジーザス・クライスト・スーパースター」を見た。女性の3回転ジャンプと、次のジャンプにミスが出て、2位になってたけど。
かえって、すごく芸術の力を感じた。
私的には、仕事上の判断を迫られて迷っていたのが、
変な話だけど、これを見て、心が決まった。

こういうのが、ほんとうのアートなんだと、思った。(その説明が書けないけど。)

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