靴の修理をしてくれる靴屋を見つけたので、大量に靴を持ち込んだ。その帰り、2ブロック手前のスタインウェイに何気なく立ち寄った。
実は、今借りているスタインウェイの購入に、なんとなく気持ちが動いているのだが、100年も昔のスタインウェイを素性も分からぬまま購入してしまって良いのか悩んでいるからである。
とりあえず、新品だと幾らくらいで、どんな感じなのか見せてもらう。やっぱり新品は美しいが、どうも鍵盤の感じが好きになれない。やっぱり、今借りているピアノの鍵盤は象牙なのだろうか?
音も弾かせていただいたピアノのうち、とくに新品はハンブルクスタインウェイらしい、品の良い、というか、私には少々「こもった」音に聴こえ、家のちょっときらきらしすぎるくらいの音とはかなり異なり、違和感がある。
古いピアノを完全にオーバーホールしたピアノも見せていただいた。こちらは象牙鍵盤。ほんの少しキーが浅く軽いような気がするのだが、気のせいだろうか。音も先ほどのスタインウェイに比べると明るい感じがする。古い、とはいえ、完全にオーバーホールしているし、マホガニーだからか、£54,000を超えていた。う~ん、日本で買うことに比べたら安いけれど、やっぱり高い。
難しい。状態は勿論新品のほうが良いに決まっているが、例えて言えば、3年同棲した恋人と新しい、お金持ちの、ハンサムで将来も有望な恋人候補、どちらを選ぶ?といった感じ。前者のことは良く分かっているし、愛してもいる。後者は客観的には素晴らしいけれど、自分との相性など、まだまだ未確定要素は多い。前者への持参金は少なくても大丈夫だが、流石に貴族の家へお嫁にゆくには多額の持参金が必要。これまでの歴史を棒に振って、高い持参金を持って後者に行くか?
ということで相当に悩んでいる。ちなみに、案内してくださった女性は、ピアノが恐ろしく上手(そう)だった。スケールをさっと弾いただけだったが、明らかに素人とは違った。ピアニストなのか?ときいたら、直接は答えなかったけれどピアノが上手いことは否定しなかった。ご主人が指揮者で日本でも振ったとか。また、イタリア人だということが名前から分かったので、友人のイタリア人ピアニストを知っているか、と聞いたら、やはり友人らしい。世界は、特に音楽の世界は狭い。
それにしても、結婚するか?するなら、どちらと?の気分である。