Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

ダヴィッド・フレイ-投げられた花束@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-01-22 00:30:00 | コンサート

良い席に空きがなく、ずっと悩んでいたのだが、なんだか呼ばれている気がして、ロイヤルフェスティバルホールへ向かった。当日券のラインに並んでいると、女性に声を掛けられ、なんと無料でコーラス席のチケットをいただき、彼女と鑑賞。見た目はとても東洋人なのだが、お父様が外交官でパリ育ちのロシア人なのだそうだ。

コーラス席なので、音には期待できなかったが、ピアノの鍵盤が良く見える、とても良い席。ダヴィッド・フレイはグールドを髣髴とさせる演奏、ということで話題になっている。確かにピアノの前には、ピアノ用の椅子ではなく、先日ルプーも使用したオケのメンバー用と同じスチールの椅子が置いてある。

ダヴィッド登場。1981生まれというから、まだ若干28歳(ドゥダやゴーティエと同い年)。確かに初々しく、体つきはまるで少女のようともいえる。指揮者がお腹がパンパンに膨れたサンタクロースだったので、その対比があまりに可笑しかった。

猫背で弾くところがグールドっぽいのだろうか。ロイヤルフェスティバルホールで聴くピアノの音は概して美しいが、彼の演奏もなかなか美しく評判通りか。モーツァルトのピアノ協奏曲第20番。カデンツァは自作なのだろうか、聴いたことがないものだった。第三楽章のカデンツァはなんだかモーツァルトっぽくない。でも、だからちょっと嬉しくなった。

演奏が終わると、一人の紳士が会場内の階段を舞台に向かって降りてきた。手には花束らしきものを持っている。男性が男性ピアニストに花束を渡すなんて、珍しいな、と思ったら、彼は舞台から2、3メートル離れた場所から、その花束をダビッドの方へ向けて軽くトスした。花束と見えていたが、実は束ねられておらず、花が舞台の上に散った。

ダヴィッドは2本ほど花を拾い、一本はコンサートミストレスに、一本は自分が持って退場。

え、なんだか妖艶な雰囲気?こちらがドキドキしてしまった。

後半はパンパンなサンタクロースによるマーラー交響曲第5番(どうせだったら第1番を演奏して欲しかった)。残念ながら、私には恐ろしくつまらない演奏だった。テンポがかなり緩やかで、各々のパートが明確になるのは面白いのかもしれないが、いかんせん精彩に欠ける印象を受けた。これだけゆっくり演奏するとパーカッションなどはかえって辛いように思われた。

会場は満足派と不満派と分かれていたように思う。途中で帰ってしまう人が意外と多かった一方で、最後ブラボーやスタンディングオベーションもあった。満足派の方とちょっとディスカッションしてみたい私である。