カプソン&ティボーテの楽屋で油を売っていたばかりに、電車を逃してしまった。これでは、ジュネーブでパテック・フィリップ美術館へ寄れない!とLe Chable駅の売店のおばさんにお願いしてタクシーを呼んでもらう。気のいいおじさん、時計を指差して13時45分にはMartigny駅に着く、飛ばすから大丈夫!と請合ってくれた。が、こういうときに限って、目の前にのろのろ運転の大型トラック。あと2分、で何とかジュネーブ空港行きInter Regionに間に合った。
ジュネーブ駅で途中下車。タクシーで5分程度でパテック・フィリップ美術館に到着。
荷物はすべて地下のコインロッカー(5フラン硬貨が必要。お金は戻る)へ。映画がある、というが、これは見る必要がなかった。3階から階を下りながらいろいろな時計を見る。ここの美術館へ来れば、他の時計美術館を見なくても良いのではないか、と思うほど素晴らしいコレクション。勿論基本的にパテック・フィリップの時計しかないが。
パテック・フィリップで貰ったカタログで見ていた時計を直接目で見ることができ、またその多くが写真の通り美しいことがわかって感動的だった。エナメルのブルー、ダイヤモンド、繊細な金細工-思わずため息が漏れる。
一方、最近の時計に関しては、残念なことに、と言うべきか、幸いなことに、と言うべきか、今自分が所有している時計以上に欲しいと思う腕時計は見つからなかった。
音楽にしても、時計にしても、こんなにも素晴らしいものの前に、自分は一体何ができているのか、深く考え込んでしまった。幸せなような、ちょっと辛いような、複雑な心境。
ジュネーブの街自体も、なかなか素敵だ。今度は2時間だけでなく、もう少し長く滞在したいものである。