京都司教区聖書委員会の聖書講座シリーズ。
これで4つ福音書についての解説をすべて読みました。
ヨハネ福音書の書かれた背景を詳しく知りました。
ヨハネ福音書が書かれた80年代から90年代。
64年にネロがローマで火事をおこし、キリスト教徒のせいにして迫害が始まる。
66年にユダヤ戦争が起こる。
70年にローマ兵がエルサレム神殿を全部破壊した。
ユダヤ教とにとっても打撃だったが、キリスト教徒にとっても打撃だった。
ファリサイ派の人たちはユダヤ教の再構築を行う。
聖典を決め、イエスをメシアとするキリスト者をユダヤ教の会堂から追放すると決めた。
ユダヤ教から異端として破門されたキリスト者たちは、民族の枠を超えて世界宗教に広がってゆく。
ヨハネ福音書が書かれた時代はまだその方向へ入っていない。
自分たちの方向を模索する段階で、信仰や教理について深く内向きになっている。
大阪大司教区大司教 池長 潤
イエスは「取って食べよ」と本当に言われた。
これは創世記で神がアダムとエバに
「命のパンを取って食べよ」という言葉を引用された。
ミサにおける聖体の秘跡である。
京都司教区司教 大塚喜直
サマリアの女には名前がありません。
これはユダヤ人でなくてサマリア人だったという区別もあるかもしれませんが、
特定の名前がないことは誰でもがこのようになれるということでもあります。
みんなに蔑まれていた女に声をかけた。
女は驚いた。
生きた水があると言われた。
女は禅問答のような会話から、自分が飢え乾いていることと、
イエスの生きた水という意味を理解していった。
イエズス会司祭 英隆一郎師
マグダラのマリアが、墓の方を向いて、
イエスがいないと言っているのは、
暗闇と死を見つめているから。
私たちが神を見出せないでいる状態と似ている。
神はどこにおられるのか、この苦しみの中で。
「マリア」と呼ばれて我にかえる。
それまでは自分を失ってしまっていた。
私たちも本来の名前を失ってしまっている。
自分の名前を思いだすことによって、イエスの方に向くことができる。
聖パウロ修道会司祭 鈴木信一
ヨハネ福音書におけるイエスは、V字型だと考えてください。
高いところは、御父とともにおられるみことばであるイエス。
下ってこられて多くの働きをされた。
13章、過越祭の時から、イエスは弟子と共にとどまっている。
弟子たちの別れの説教をする
18章からイエスは捕えられ、十字架に付けられ、復活する。
天にあげられる。
ヨハネが書きたかったのは、
初めに神とともにあった。
この世に遣わされた、
今や父のもとに帰ってゆく
というV字型の動きを軸として、イエスの本質を表したかった。
それぞれの福音書の背景を知ると、読み方も深まって来るように感じます。
でも、まだまだ先のことだと思いますが。