ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2013J1リーグ第33節柏レイソルvsFC東京@日立台20131130

2013-12-01 15:34:00 | サッカー

晩秋と初冬が交差する週末です。街はクリスマスカラーですね。

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11月最後の試合は、柏戦です。スケジュールが発表されたときは、優勝争いの大事な試合を想像していましたけど、互いに蚊帳の外。最近あまり言われないけど、金町ダービーとジョルジ・ワグネルとのお別れマッチだけがテーマです。

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ミスジャッジもありましたけど、2本のPKを含む4発をくらい、今シーズンの金町領有権は柏に渡りました。

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東京は湘南戦と同じ布陣です。たまを右WGに置きます。トップ下はルーカス。ヨネの相棒はアーリア。まだ天皇杯がありますから結論付けは控えますけど、現時点で二つのことが言えると思います。アーリアのポジションは、総合的に考えるとボランチと判断されたのでしょう。同じく秀人はCBという判断でしょう。ただ、選択の優先が、たまを使うことが前提としてこの判断になっているかもしれません。今日の結果を見て、最終戦でもたまをスターターで使うなら、そういうことなのかもしれませんね。

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柏は、あとで知ったのですけど新しいやり方にチャレンジしているようです。徹郎のポジションがあいまいなのですけど、メンバー表の表記通りであれば、4-3-3。守備時は5-4-1。GKは不動の菅野。CBは近藤と博文。SBは右に増嶋、左に和。ボランチは栗澤と大谷。2シャドウに順也と狩野。1トップは工藤です。柏は、シーズン当初は3バックに取り組んでいたような記憶があります。柏が誇るブラジリアントリオの相次ぐ離脱で、ヤマザキナビスコカップこそ獲りましたけど、リーグ戦は苦しい戦いでした。ネルシーニョさんのことですから、状況をみてアジャストをしているのでしょう。今シーズンの集大成は、オール日本人でどう戦うかに結論されました。それが、4-3-3なのでしょう。

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柏のストロングポイントはサイドにあります。和と増嶋を活かすことを基軸に考えた戦い方なんじゃないかと思います。攻撃のまえに柏の守備を確認しましょう。柏はターンオーバーしてもけして急ぎません。柏の守備は前線のフォアチェックから始まります。興味深いことに、守備時の布陣は狩野が1トップに入ることがあります。工藤、狩野、順也の特性を守備でも考慮しているのかもしれません。前線の守備の分担を見ると、工藤と順也はチェイサーのように見えました。狩野は守備の方向付けをする支柱のような位置付け。結果的に工藤のチェイシングが東京最終ラインのミスを誘発して2ゴールに結びつけますけど、基本は中盤でターンオーバーするための仕掛けだと思います。それにしても、前線3人、とくに工藤のチェイシングは結局90分間続きますから、素晴らしい仕事だと思います。

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徹郎はラインに入ったり2列目にいたりよくわからなかったです。おそらく基本は右WGなんでしょう。中盤はアグレッシブにインターセプトを狙わず、受けます。東京の2列目にボールを納めさせますけど、そこからがタイト。とくにCBと両ボランチで作る中央のブロックが非常に堅固です。勝てるチームの基本は、中央の防御を堅牢にすることだと思います。言い換えると、結局この2年間の東京は、中央があまりにも緩かったですね。作戦ですから選択そのものは受け入れますけど、結果が伴わないのであれば再考すべきです。さらに柏は、サイドにボールが渡ると中央とのパスコースを切ります。東京得意のタベーラを防ぐ狙いでしょう。ですから、ターンオーバーのポイントは、バイタルエリアです。

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さて、柏のサイド攻撃。まず柏最大のストロングポイントである和から。和は、深い位置からのクロスが魅力の選手です。この特性を活かす工夫を、ネルシーニョさんはしました。左で攻撃する場合、アタッカーの一人が中盤に下りてポストのコースを作ります。その間、栗澤が中央にシフト。最も特徴的なのは、大谷のポジショニングです。大谷は和の背後、SBにポジションに入り、和を押し上げます。これには、リスクマネジメントの意味も含んでいます。たとえば東京の最大ウィークポイントは宏介の背後です。シーズン中、ここのケアを怠って今に至るのですけど、参考になるかもしれませんね。ただ、中央が栗澤ひとりですから、カウンターを受けず攻めきれることが前提になります。それだけ和の攻撃力に信頼をしているということでしょう。東京は、和、大谷、アタッカーで作るトライアングルをたまが一人でケアします。たまは初め、よく追い回して頑張っていたのですけど、やがて止まります。和につくと下がり過ぎ、大谷につくと上がり過ぎますから、結果中途半端にならざるを得ません。たまと徳永の間のスペースを和に使われまくります。序盤の柏は、おそらく意図的に左サイドアタックを繰り返しました。和が安定して攻めきれるので、試合のリズムを掴みやすいからでしょう。同時に、東京の守備システムの弱点をついたのだとすると、ネルシーニョさんのスカウティングチームの凄さを感じます。東京にそういう機能を実感したことがないので、衝撃です。プロなら当たり前なのかもしれませんけど。

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柏は、左でチャンスメークできるようになり試合をオーガナイズすると、右の攻撃が始まります。増嶋の特長は正確なフィードです。SBの場合は、アーリークロスに威力を発揮します。さらに、左の場合は和にほぼ任せますけど、右は人数をかけます。徹郎、順也、狩野が次々に宏介の背後を狙います。柏の速く安定した両サイドアタックに、次第に東京は押し込められます。柏は、確実にフィニッシュもしくはCKで攻撃を終えます。スタッツの圧倒的なCK数差が、この試合のオーガナイザーはどっちだったのかを物語っています。

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先にも述べましたけど、東京はコレクティブな攻撃を封じられます。東京の攻撃陣はとても個性的です。各自がそれぞれ持つ特長をコラボレートすることで、相手守備陣を凌駕することを志向しています。言い換えると、コラボレートを封じられると、個性的故、また責任感故、独力でなんとかしようとします。慶悟とたまをWGで使う意図は、コレクティブな攻撃にアタッカー陣をまとめる機能を果たすためだと思います。慶悟はスペースメイカー。たまはチャンスメーカー。慶悟はいつも通り機能していたと思います。一方たまは、柏の上手なポジショニングとプレッシングにあい、周囲とコラボレートできません。とくにルーカスを真ん中に置く意味は、天皇杯4回戦で見せたような連携のし易さを考慮した選択だと思うのですけど、今日のたまは、ルーカスと完全に分断されてしまいました。

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それでも柏とほぼ同数のシュートに持っていけたのは、ひとえに東京アタッカー陣の能力です。柏は引く相手ではありませんけど、ようするにコレクティブな攻撃を分断された場合の補完が足りないという意味では、湘南戦と同じ課題で負けたことになります。天皇杯はどうやって攻撃を組み立てるのでしょう。そして、柏に物理的な差を付けられます。

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前半39分。ペナルティエリアで狩野と競り合ったアーリアがハンドリング。PKを順也が落ち着いて決めました。柏1-0東京。

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それでもまだ1点差ですし、和を止めたら柏の攻守がアンバランスになるような気がしていたので打開策はあると思っていました。その矢先、東京はミスジャッジに泣きます。

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前半アディショナルタイム。ペナルティエリア手前でヒョンスにプレッシャーをかけた工藤が、ヒョンスのバックパスを見逃さずアタック。気付いたヒョンスが工藤ともつれペナルティを取られました。エリアの外でしたのでミスジャッジ。これも順也が落ち着いて決めます。試合巧者の柏に2点のディスアドヴァンテージは試合を厳しくしますから、非常に手痛いミスジャッジでした。サッカーはミスのスポーツですから判定は受容しますけど、柏にPKを与えた直後だけに、試合の流れを考えても2度目はすごく慎重に判定すべきシーンです。結果的に見ても、試合を決定つけた1点になりましたから、リーグのレフリー全体で課題を共有し、その点を猛省していただきたいです。とはいえ、不用意にペナルティを誘引したヒョンスのプレーは、ヒョンスの特長でもあるのですけどヒョンスを使うリスクでもある。東京の守備陣にも課題が残りました。柏2-0東京。

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このまま前半終了。

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東京の改善点は明らかでしたので、後半頭からたまに代えて秀人を投入します。たまは守備で混乱していたと思いますので、もっと早く手を打ってもよかったかなと思います。秀人を真ん中に置いた3バックです。柏の3トップに対して数を揃えてマッチアップする形になります。和と増嶋に対してWBがケアします。東京のCBがひとりでも守れるからこそできる形ですね。おそらくポポさんの発想は、そこに寄っていると思います。ヨーロッパでは常識的なことですから、グローバル標準を唱えるなら、この方向性はアリだと思います。と同時に、個をサポートするシステムも持ち合わせないと、現実としてJでは通用しないこともわかりました。柏の、有能ではあるけどブラジリアントリオと比較すると見劣りを感じる今日の3トップであっても防ぎ切れなかったのですから、3バックがコレクティブなシステムに成りきっていたかというと、疑問が残ります。そして、大事な後半の入りで、手痛い失点を喫します。

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後半1分。徹郎のバックパスを増嶋がダイレクトでロングフィード。宏介の背後に落とす狙い。ボールの落ち所は良かったのですけど、追う狩野より秀人が先に追い付きます。秀人はセイフティにバックパス。権田に工藤が迫っていましたので、権田はダイレクトクリアを選択しますけど、ダフりました。不運なことに工藤にパスをした形になりました。工藤は流し込むだけ。柏3-0東京。

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攻めるしかない状況になり、ポポさんはリアリスティックになります。千真に代えてナオをシャドウに投入。ルーカスを前線に置きます。ネルシーニョさんは和に代えて同ポジションに山中を投入。サイズは小さくなりますけど、和に劣らぬスピードで、左サイドの攻撃力をリフレッシュします。今日のナオはコンディションが良かったですね。キレがありました。ボールが納まるし、ルーカスとの距離感もよく、パスの捌きもクイックでした。ナオのチャンスメークで東京が攻勢に出ます。この時間帯にゴールできていれば、試合をひっかき回せたかもしれません。ゴールを取るべき時間帯で取れないのも、東京の課題です。

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柏の中央が堅牢で、リズムを作れてもフィニッシュに持ち込めない東京は、また停滞気味になります。そこで、前線に軸を置きます。慶悟に代えて相太を投入。ただ、今日の慶悟はスペースメイクで機能していたので、ちょっともったいないなと感じました。でも、前線に軸を置く効果が早速現れました。

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後半38分。柏陣に入ったセンターサークル付近で、ヨネが秀人からパスを受けます。ヨネはルックアップ。バイタルエリア中央には相太がいて栗澤がつきます。右ライン際の徳永には山中。バイタルエリアの左にはルーカス。増嶋と徹郎がダブルチームで見ています。大外左ライン際に宏介がフリーです。ヨネの両脇に秀人とアーリア。それぞれ狩野と順也がつきます。後ろはヒョンスとモリゲで、工藤が見ています。標準的なヨネの選択はルーカスか宏介でしょうけど、この時オフサイドポジションにいたナオがオンサイドに戻ってきて、近藤と博文の背後に隠れます。ヨネはこの動きをよく見ていました。ナオが再び裏に抜けるところにヨネがロブでラストパス。ナオは博文と競り合って抜け出します。ナオは菅野ともつれあいますけど、先にボールに触れたのはナオでした。柏3-1東京。

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ようやく柏ゴールをこじ開け、さあこれから反撃という矢先、柏に突き放されてしまいます。

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後半42分。ライン際でパスを受けた山中が徳永とマッチアップで1on1を仕掛けます。徳永を抜ききる前にルックアップ。最終ラインと権田の間にアーリーを送ります。これがゴール正面の順也に会いました。順也は左足ダイレクトボレー。ゴラッソ。順也はハットトリックです。柏4-1東京。

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最後までコレクティブな攻撃を封じられました。選手交代で、いっそうそれが助長されてしまいました。順也のハットトリック直前ですけど、柏は狩野に代えてジョルジ・ワグネルを投入。勝利がほぼ確定してネルシーニョさんは、チームを去る功労者に対してスタジアムがオベージョンする機会を作ります。ジョルジのチャントが鳴り響くなか、試合終了。柏4-1東京。

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柏はホーム最終戦でした。セレモニーがありました。今シーズンは、リーグ戦は不振でしたけど、カップ戦を征し、またタイトルを重ねました。セレモニーは、監督と選手のスピーチだけでシンプルでしたけど、柏らしいあったかい雰囲気が流れていました。まだ正式発表されていない澤の退団をネルシーニョさんがスピーチで漏らしてしまうハプニングもw。でも、それで澤がスピーチする機会ができたので、よかったんじゃないでしょうか。

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ジョルジが子ども達をつれてセレモニーでスピーチしました。その後、選手がスタジアムを一周します。ゴール裏に来て、今度はジョルジがサポのなかに入ってトラメガでスピーチです。

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チームの完成度といい作戦の緻密さといい、完敗でした。課題は明確です。ただ、その課題は、今の編成を前提とします。来年に向けて編成を維持するために、是が非でもACL出場権が必要です。ですから、天皇杯。いろいろサイドストーリーを楽しむのが東京サポの流儀ですけど、2011-12の大会とはちょっと事情が違います。まずは、勝つこと。とにかく、勝つこと。どんなサッカーでもいいから、優勝するしかないんです。天皇杯のタイトルに向け、チームを後押しをしたいですね。

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