今年もまた、ひと夏を越えて晩夏を迎えました。
おひさしぶりです。
甲府でお会いして以来、一か月ぶりの加賀さんです。
7月は甲府でしたので、埼スタでお会いするのは、5か月ぶり。
今年の夏の加賀さんは、近年にないくらい試合に名を連ねていました。昨年は6ヶ月間試合から遠ざかっていて、加賀さん本人のこころの内はわかりませんけど、外から見てて、レッズに来て一番苦しい時だった気がします。結局夏は一度もスコッド入りすることはありませんでした。
それどころか、怪我による離脱以外で、スコッド入りする可能性がほぼ皆無だった時期は、加賀さんのキャリアを通じても無かったことです。
そしてちょうど今頃、何があったかはわかりませんけど、吹っ切れた時期だったと記憶しています。9月にひさしぶりに大原でお話ししたときは、練習中も笑顔いっぱいですっかりレッズファミリーになじんでいました。
今年の夏は、7月23日以降、8試合で6回のスコッド入りです。航さんがオリンピックで、マッキーさんがワールドカップ予選で不在だったというスクランブルではあるのですけど、わたるん移籍以降は、DFが必要とされるシーンでの1stチョイスとして確実にポジションを得ているような気がします。
もちろん、プロサッカー選手である以上、試合の場、プレーで自己を表現できることが最も望ましいし、刹那的に見ればそれ以外に価値はありません。だから、レッズの一員として和やかな笑顔で過ごしているなかにも、個人としての悔しさが薄れているようなことはけしてないと思います。
いやむしろ、だからこそいっそう悔しいし、試合に出たいんじゃないかと思います。その意味では、とても充実した夏を過ごせたのかなと思います。
今日は、マッキーさんがワールドカップ予選に加え怪我をしてしまったことで離脱していて、準決勝第1戦に続いて公式戦2戦続けてのスコッド入りです。
第1戦で梅ちゃんが長期離脱を強いられることになった不幸な怪我のあとのスクランブルを加賀さんがしっかり封じていましたので、もしかするとスターターもあり得るかなと思って、ドキドキしながら埼スタに向かいました。
結局スターターではなかったのですけど、ひさしぶりにホーム埼スタにいる加賀さんを観ることができました。加賀さんはマルチロールなタイプではないので、右CBか右WB。もしくはミシャでは非常に稀ですけど2CBの右です。なのでモリさんのコンディションに問題がなければ右WBしかないのですけど、アウェイゴールルールによる大きなアドバンテージがありつつも、まだ安心できない状況でしたので、スターターは正直難しいなと思っていました。それに、今日の後は一週間空くので、レギュラーを休ませる理由もありませんから。
というわけで、ひたすら加賀さんを追うマッチデーとなりました。贅沢なことですけど、ほとんど試合は観ていません。申し訳ございません。結婚する前のウッチ―さんを追うファンの気持ちが少しだけわかりました(^^;。
試合前のアップのメニューは普段と一緒で、サブメンバーのグループワークの後は、バックスタンド側で軽めのダッシュを繰り返していました。その後は通常お散歩時間になってウロウロしてるのですけど、ここで異変が。なんと加賀さんがシュート練習をしていました。三本ほどミドルを蹴ってすべて外していましたけど、シュート練習をする加賀さんを東京時代も観た覚えがないので、ものすごい衝撃でした。もっとも東京時代は試合に出るとスターターが多かったので、CBにはシュート練習がメニューに無かっただけかもしれないけど。
秋商の1年生の時は快速FWでしたから、コントロールはともかくさすがにシュートにパンチ力があります。お散歩してて、慎三さんとただなりがはやめにシュート練習を終えたので、じゃあ俺もってノリで蹴ったんでしょうね。いつか、生で観たことがない加賀さんのゴールを観てみたいです。加賀さんファン一同で号泣必至。
ダッシュのアップをはじめる前、ちょっと目を離してる間に加賀さんがいなくなって、おや?と思っていたら、バックスタンド側の真ん中あたりでじーっと神戸の練習を観ていました。誰かを探している風だったので、もしかしたらマックスに会いたかったのかも。誰に会いたかったのか分からず仕舞だったのは、結局誰にも気づいてもらえず、さみしげにダッシュをはじめたからです。
通常、前半の30分くらいにサブメンバーのアップがゴール裏ではじまるのですけど、今日の前半はベンチ横で体操をした程度です。ちなみに後半もベンチ脇で軽めのアップだけでした。しかもコンディショニングトレーナーさんの指導もなく、各自が思いおもいにアップしてました。
ハーフタイムの鳥かごはメイン側でやってくれたので近くで観ることができました。加賀さんの動きに、なんとなくキレを感じました。コンディションの状態がとても良いのでしょう。動きの良さだけでなく、躍動感もありました。その点でも充実を感じました。試合に出たら、アウェイガンバ戦で魅せた安定感のある対人守備に加え、攻撃でもアクセントになりそうな気がしてなりません。
レッズの右CBは、モリさんをベストモデルとすると、個人で試合を作れる、現場レベルでの高度な作戦企画能力が求められます。これまでどちらかというとフィジカル面をプロとしてのストロングポイントとしてきた加賀さんですけど、吹スタの姿をTVで観てたら、良い意味ですごい違和感を覚えました。守備はもちろんのこと、右でボールを持ったときに何かをしようと考えている風情を感じました。ちょうどレッズに入って悩んだ期間を通過した直後のモリさんの姿がダブりました。今でこそ右サイドのコックスとして味わい深いプレーを見せるモリさんですけど、あの芸は一日にしてならず。雌伏の時のなかでも、加賀さんは日々成長をしているんだなと実感した試合でした。
もともとプレー中の立ち姿に落ち着きがあるタイプですけど、ガンバ戦は自信を感じました。レッズのなかでどうプレーしたら良いのかをしっかりと頭と体に沁み込ませることができているのでしょう。すっきりと立ってしっかり見ることができれば、攻撃面でのプレーの幅が広がるでしょう。攻撃の基点になる加賀さんなんてまさかと思っているけど、当たり前になる日が来るかもしれません。
後半のサブメンバーのアップでは、加賀さんが一番動いていました。たしかめるようにゆっくりダッシュを繰り返していました。ちなみに慎三さんと石原さんはストレッチだけでほとんど動いていなかったのですけど、そのまま試合に出て筋肉系は大丈夫なのか、ちょっと心配でした。
後半はサブメンバーがほとんどの時間、ベンチの外に出ていたので、レッズがゴールした時の様子を観ることができました。大騒ぎすることなく、ベンチメンバー全員わりと冷静でした(^^;。ゴレアーダということもあったのでしょう。
交代で戻ってきた選手を、サブメンバー全員笑顔で迎えます。
今日一番嬉しかったのは、加賀さんの意外な一面を観ることができたことです。慎三さんとただなりが交代を指名される直前、まだコーチから声がかかる前に、加賀さんがなにか声をかけていました。なんとなく口の動きの感じで、「出番じゃね?」的なことを言ってるような気がしました。実は、加賀さんには試合に流れを読むちからがあるのかしらとびっくりしました。レッズの交代はパターン化しているのですけど、ミシャが退場して堀さんがスクランブルで指揮を取っていたので普段と違っていました。それに慎三さんとただなりの出る順番まで当てていたのはすごいです。
もちろん自分の出番のためにしっかり準備するのが一番大事なのですけど、試合を読むちからがあるかどうかはともかく、期待がかかる仲間にさりげなく笑顔で声をかけることは、案外難しいことだと思います。加賀さんはとても話好きだし、ムードメーカーでもあるし、仲間からちょっと離れて観察するポジションも好きですから、つき過ぎず離れ過ぎずの絶妙なコミュニケーションレンジを取れる才能を持っているのかもしれません。
これは、もしかですけど、本当にもしもですけど、コーチに向いているのかもしれません。子ども好きの加賀さんですから、将来は育成スタッフが向いているのかと勝手に想像しているのですけど、ポイチさんのようなキャリアというか、育成部門でスタッフから監督の経験を積み、その先に。
結局、三人目に石原さんが呼ばれて、今日の加賀さんの出番はありませんでした。
ちょっとだけ試合について触れますね。レッズは周作とマッキーと航が代表で不在。梅ちゃんも長期離脱です。シフトはおなじみの3-4-2-1。GKは大谷。3CBは右からモリ、アニキ、ウガ。ボランチはキャプテンとカピ。WBは右に駒ちゃん左にタカ。2シャドウは右にトシ左にムトゥ。1トップはズィライオです。
神戸はペドロ・ジュニオールがサスペンションで不在。今日のシフトはレッズ対策なのか、スペシャルプランです。3-4-2-1。GKは徳重。3CBは右から岩波、伊野波、祥平。ボランチは藤田とニウトン。WBは右に峻希左に慶治朗。2シャドウは右に中坂左にマックス。1トップはレアンドロです。
今日は前半に趨勢がすべて凝縮されたハーフタイムマッチです。神戸が非常に良い入りかたをしました。レッズと神戸は、この一週間で3連戦です。さすがに三戦目ですから、互いに手の内は見えていたでしょう。ノエスタでの連戦は1勝1敗ずつで、スコアもレッズから見て1-2、2-1。三戦目は、決戦です。神戸はやはりレッズの攻撃を封じることに主眼を置いていた気がします。ポイントは前線の三人の処理です。神戸はレッズのアタッカーに対しマンマーク気味にDFを付けます。ズィライオには伊野波、トシには藤田、ムトゥにはニウトンがそれぞれ付きます。封じるべきはバイタルエリアの基点です。レッズのアタッカー三人がかわる変わるバイタルエリアに下りてくると、必ずマーカーが密着します。これでアタッカーに仕事をさせず、ゆえにレッズは基点を作れません。
そこでレッズは、サイドに基点を散らします。モリとウガを高めに位置取らせ、駒ちゃんとタカはなかに入ります。さらにボールサイドにカピが寄せます。こうして、サイドを基点にしてインサイドに攻撃ルートを作り、その上で前線を走らせるパターンに切り替えます。でも、ここまではネルシーニョさんの想定の範囲内だったようです。前線の三人を抑えれれると、レッズはWBのバイタルエリアでの仕事に活路を見出そうとします。そのためのサイド基点です。でも神戸は、駒ちゃんとタカに対し、対面のWBとサイドのCBがしっかりと付き、アタッキングサードでの自由を奪います。こうしてレッズはなかなかペナルティエリアに侵入できず、有効な攻撃を見せられなくなります。
変わって神戸の攻撃が威力を見せます。まず中盤での攻防で、ニウトンが存在感を見せます。神戸はフォアチェックからレッズにバックパスを選択させることで時間を作り、バックラインを高く保ったコンパクトな守備網を作ります。こうして中盤で支配力を発揮できる下地を作ります。網の中央にニウトンを置きます。レッズが中央を経由しようとすると、ことごとくニウトンがカットします。こうして高い位置でトランジションできるようになった神戸は、神戸らしくなく高速アタックを見せます。アタッカー三人が高い位置で基点を作って、WBを押し上げます。峻希と慶治朗が沸き上がるように攻撃参加します。サイドを征圧すると、中央にはレアンドロ、中坂、マックスに加えてニウトンも上がってきますので、人数をかけた迫力ある攻撃が展開します。非常に惜しむらくは、峻希がクロスバーに当てたシュートと、三度あったシュートチャンスで中坂がシュートを打てなかったことです。とくに中坂は、ペドロなら確実に仕留めていたレンジで、しかも十分にシュートを打てる時間があったなかでしたから、神戸にとっては悔やまれます。レッズは、完全に神戸の作戦にしてやられていましたから、フィニッシュまで決められていたら、今日の結果は違ったものになっていたかもしれません。
結果的にはゴレアーダになりましたけど、このように今日は薄氷の接戦でした。彼我を分けたのは約4分間の出来事です。39分の先制は、藤田のアタッキングサードでのロングスローのクリアから。こぼれ球をカピが拾ってルックアップ。前線のタカにメッセージを込めたロングフィードを送ります。まずこの視野とチャレンジが素晴らしかったです。タカが競り合いに粘ってフリック。がら空きのゴール前スペースに走り込んだのはトシだけでした。さらに43分。そのトシが峻希に倒されて得たPKをキャプテンがきっちり決めて2-0。
これで完全に神戸のゲームプランが崩れます。まず守るという前提が崩れて、前掛りにならざるを得ません。なので、作戦の最大の肝である、ズィライオ、トシ、ムトゥへのマークを外さざるを得ない状況になります。こうして、レッズにとっては美味しいカウンターのかたちを得られるようになります。後半は、前半とうってかわってオープンファイトになりますけど、勢いにのったトシがつくるレッズの流れに神戸は抗し切れませんでした。最後は、アニキがパンツにくっついた蝉をベンチに見せに来る余裕まで見せつけ、レッズがゴレアーダの快勝です。
出場機会がなかった日の試合後の挨拶は、ちょっとさみしげで厳しい表情を浮かべることが多い加賀さんでしたけど、今日はとても穏やかでした。笑顔はなかったけど、チームのルヴァンカップの次のステージへの進出にほっとした気持ちもあったのでしょう。もっとも加賀さんがルヴァンが何かを認識しているとは思えませんけど(^^;。
とは言え、やっぱり出場したいだろうし、ファンとしてもピッチに立つ姿を観たいです。そして。
ルヴァンカップ準決勝は、東京との対戦となりました。自分にとっては加賀さんダービーです。もちろんリーグ戦での対戦はあるけど、加賀さんがスコッドに入る可能性はあまり期待できないので、カップ戦こそチャンスです。しかも決勝進出を巡る決戦です。加賀さんにとっても、アミノバイタルを強奪するチャンスでもありますし、なによりかつての仲間としのぎ合う場が楽しくてしかたないと思います。ぜひ、絶対、スコッドに入ってほしいと思います。
口で言うのは簡単だけど、なかなかプレー機会がないなか、いつでも出場できる準備を整えることは、心身ともに難しいことだと思います。今日の姿を観て、その難しいタスクをしっかりとこなして、良いコンディションを作っている様子が伺えました。とても嬉しかったです。怪我で苦しんだ姿を長く見てきたので、元気な様子がなによりも嬉しいです。2016年の秋が充実した時間になりますように。そしてできれば、来るホーム味スタで加賀さんに再会できますように。