辻占いの歌

今日の歌をお届けします:tamako

山と海の夕焼け

2010-10-16 21:26:03 | 日記
夕焼けは
山なみから産まれるものと
思っていました

山に向かって夕焼けは
光と色がぶつかって
また戻ってはぶつかって
刻々と姿を変えていく

でも 海のそばで知りました

海の上の夕焼けは
ひろがる海と平行に
静かな色の帯ができ
やがて幾重も重なって
あかるさを増していく

山と海の夕焼けは
選んだ色が違うのだ

山と海の夕焼けは
すべてを与えて燃え尽きて
それから夜がやってくる




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花の種

2010-10-15 01:18:04 | 日記
花の種は
自分がどこで咲くのか知らない
どんな色になるのか知らない

花の種が知っているのは

咲くのだ 
 
という意思が
自分のからだに詰まっていること

咲くのだ

種の言葉か
誰かの言葉か
境を失い
意思だけが静かに呼吸する

咲くのだ

ただ

咲くのだ


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2010-10-14 22:58:50 | 日記
遠くにみえるあの場所に

ついに見つけた行き先に

こころは先に着いている

こころを追って歩きだす

月は慰め 日は励まし

風は頭をなでてゆく






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わたしの持ち物

2010-10-13 21:57:23 | 日記
胸ポケットに 花をさします
小さいけれど 生きてる花を

こちらの手には工具箱
組み立ててみたり
直してみたり
毎日役に立ってます

もう一方はあけておきます
握手をしたり
手をつないだり
背中もさすってあげられる

そしていちばん大事なときは
荷物を地面に降ろしてから
胸ポケットの花を捧げて
両手を静かにあわせます


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鉛筆の地図

2010-10-12 20:50:10 | 日記
必要なのは 鉛筆です
芯は柔らかめが良いでしょう
テーブルの周りを片付けましたか
では ゆっくりと深呼吸

さあ 今こそ
宝の地図を描くときです

宝は何かと聞きましたか
ばかなことを
宝とは見つけてみないとわからないもの
とにかく宝は
これからあなたが描く森の中にある
それが真実

まず森の入り口です
のぞいてください
うす暗い視界の向こうから
何かがちらちら光るのです
かすかに瞬く光を目ざして
前に進んでいくうちに
見つけましたか 栗の林
その中でひとつだけ 
金色のいが栗が実っています

金色のいが栗に手を伸ばすと
あなたの指にちくりと刺さる
思わず手をひっこめると
はずみで栗は落ちて転がり

ころころ きらきら ちくちく
ころころ きらきら ちくちく

もちろんあなたは追いかけて
どんどん奥まで行くでしょう
栗があなたを連れていくのは
枯れて倒れた大木の前

栗はぴたりと止まります
そして栗は歌います
私を踏んでちょうだいな
私を踏んでちょうだいな

森のすべてが 息をひそめて
あなたと栗を見つめています

あなたは栗を踏むでしょう
栗の虫を追い出した事を思い出し
子供のように思いっきり

そして
足もとから鳴り響く
ぴかぴか金色のファンファーレ

倒れていた大木が起き上がり
緑の葉につつまれて
わっさわっさと葉を揺らし
愉快愉快と笑っています

栗の場所から水が湧き
池となり 小川ができました
小川に耳を近付けると
ちいさな歌が聞こえます
ころころ きらきら ちくちく
ころころ きらきら ちくちく

そろそろ芯は短いはずです
鉛筆の芯が硬かったら
なかなか こうはいきません
やっぱり 鉛筆の芯は柔らかめ
こころのままに描くために


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快晴なり

2010-10-11 21:33:40 | 日記
快晴なり

見上げれば かなりの高さに白い鳥

と思ったら 飛行機であった 

これはまた 気持ちよかろう

さらに上から見たならば

丸い水槽に泳ぐ 白い魚かと

これはまた 気持ちよかろう

ところで どこまで 行くのかね

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ことりさん

2010-10-10 21:38:15 | 日記
ことりさん

丸いおなか

元気なしっぽ

すてきなかたち

朝が来ると嬉しくて

我慢できずに歌っちゃう

初めてつついた果物の味

ころころ転がる木の実のダンス

昨日と違う今日の歌

ことりさん

黒くて丸い目

ふくふくした羽

すてきなかたち

ことりさん

手のひらよりも温かい

空を飛ぶ笛

すてきなかたち 

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ちょうちょ

2010-10-09 15:56:10 | 日記
ちょうちょ
ちょうちょ

はなびらが大好きで
はなびらが背中についた

ちょうちょ
ちょうちょ

はなびらは殴れない
はなびらは怒鳴れない

あまりにも柔らかく
あまりにも軽いから

はなびらは
ちょうちょに言った

飛ぶのはどんな気持ちがするの

ちょうちょは海を越える
ちょうちょは山を越える

あまりにも柔らかく
あまりにも軽いまま

背中につけた はなびらで
長い距離を飛び続ける

ちょうちょ
ちょうちょ

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犬のきもち

2010-10-08 18:18:26 | 日記
犬がヒトに対して
すきすきすきすき
って言うでしょ

待ってた人が来たときは
ああもう会えて嬉しい!
この世で一番!
あなたが一番なんですよ!
と しがみつくでしょ

犬がヒトのことを
いつまでも忘れないのを見て
ヒトは涙してしまうでしょ

どうしてヒトは泣くのかな

あんなにも
ひたすら思い続ける事を
まったく恐れない犬を見て
ヒトは寂しさがむき出しになる

明日明後日一年後
大人になってそれからそれから
そんな事さえまだ知らない
三つの子供みたいになる

夕暮れの買い物客の中で
迷子になったみたいに
もう誰にも見つけてもらえない
もう誰とも会えない

そのとき再会できたのですから
これはこの世の奇跡です

夢のような出来事だから
相手がよだれでベトベトでも
構わないから大喜びする

犬よ
本当はおまえは正しい


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バスで行こう

2010-10-07 15:41:00 | 日記
バスで行こう
いろんなところ
知らない街に
のんびり行こう

バスで行こう
いろんなところ
美味しい匂いで
おなかがすいて

バスで行こう
いろんなところ
すてきな本屋を
見つけて降りる

バスで行こう
いろんなところ
渋めの器に
惹かれてのぞく

バスで行こう
いろんなところ
不思議な看板
確かめたくて

バスで行こう
いろんなところ
緑が濃いから
散歩したくて

バスで行こう
いろんなところ
初めて来た気がしないところへ

バスで行こう
いろんなところ
帰ってきたと言えるところへ
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2010-10-06 19:37:36 | 日記
緻密な計算の塊を
時間差で ぽこぽこと
好き放題に建築してます

無秩序にきらきらと光る街

ピカピカのゴチャゴチャを
きちんきちんと整えるため
膨大なエネルギーがつぎ込まれ

構成要素数 不明
情報取捨選択 不可能
目的地 不明

ひとびとのいのち 瞬く

無秩序にきらきらと光る街
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火を継ぐ

2010-10-05 23:55:21 | 日記
闇が濃いから

小さな火を守る為

番をしている

ときどき

真っ暗な中

誰かのろうそくに火を継いでいる


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緑の石

2010-10-04 22:22:23 | 日記
昔 わたし は
いえ わたしたち は
黒い大きな岩でした
誰も動かすことが出来ない
山の一部だったのです

いきもののかたちが変わるほど
ながいながい眠りのあと
繰り返す雷や嵐で
飛び跳ねるように落ちて砕けて
わたしたちは  わたし になりました

ころがり落ちたのは山のふもと
じっとしているわたしの横で 
緑色の芽が顔を出しました
その子たちが大きく大きくなってゆき
何度も落ち葉を繰り返し
何度も何度も実をつけて
わたしはしっとりと黒い土の中
緑の苔に包まれました
鳥の声が 高いところから降ってきました

ある日 わたしはごうごうと鳴る
水の流れの中にいました
折れて流れた木の一部が
どこかでまた芽吹きますように
魚が川面で光ります
光がゆらゆら揺れています

水底をころがり長い旅をして
今は小さな緑の石です
光がわたしを通ると 少しくすぐったい
わたしを通った光が
壁にあたってゆらゆら揺れています
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懐かしい日々

2010-10-03 23:17:45 | 日記
数十年後のわたしが
ふと立ち止り 振り返り
今のわたしと目が合った

わたしたちの間に会話は無く
ただ 静かに 見つめあうだけ

ひたひたと 安らいだ気持ちで
互いを見つめたあとに

わたしたちはかすかに会釈して
それぞれの前を見て歩き始める
そしてもう二度と目が合う事はないだろう

わたしは今 わたしの懐かしい日々を
生きている
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とことん とことこ 歩いてく

2010-10-02 20:29:53 | 日記
とことん
とことこ
歩いてく

とことん
とんとこ
太鼓を叩く

太鼓を叩けば
答えが返る
遠くの山から答えが返る

とことん
とことこ
歩いてく

とことん
とんとん
扉を叩く

扉が開くと
新しい道
咲いてる花も初めて見るし
飛んでるトンボも違う色

とことん
とことこ
歩いてく

とことん
とことこ
歩いてく

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