楽しいんだろ変わりもの

楽しいんだろ

変わりもの

ちいさな歌を

カバンに詰めて

世界はまるで遊園地

障害物を踏み越えて

ときどきおやつを食べながら

早いの高いの挑戦だ

楽しいんだろ

変わりもの

カバンの歌がまた増えた

やくそく

あしたどこで

なにしてるのか

だれもしらないんだ

けいかくとか

よていとか

こうなるはず

なんて

まるきりいみがない

ほんとはみんな

こころのそこでは

しっている

だからこそ

またあおうって

いつどこでまちあわせって

やくそくするんだ

ふたしかなあしたに

やくそくするんだ

知らない道

こんな道があったんだ

大きな樹から

鳥の声が降ってくる

細い坂道を風が駆けのぼる

知らない道はすてき

はじめての散歩者は

洗いたてのタオルみたいに

きもちよくはためいて

まるであの樹のうえの鳥だ

こんな道があったんだ

知らない道はすてき

ヒヨドリ

ヒヨドリ

なに歌ってるの

緑いろ濃くなったね

花の赤は鮮やかだね

おまえのほっぺより赤いね

ヒヨドリ

きょうのおひさまを

羽のなかにいれて

夢のなかであたたまる

ヒヨドリ

あしたはどこにいる

神社の大きな樹のあたり

池のほとりの木陰のところ

ヒヨドリ

あしたの歌はなに

空いっぱいにひろがってみる

空いっぱいに

ひろがってみる

おうちがぽつぽつ

道がいっぽん

自転車がゆく

小鳥がうたう

風とゆらゆら

海とゆらゆら

ちいさなこどもが

手をふっている

どこかで雲が

かたちづくられ

どこかで蝶が

羽化してる

空いっぱいに

ひろがったあと

戻ってきたよ

空はこのなか

すべてこのなか

燕の景色

二羽の燕が飛んでいる

あっちこっちと飛んでいる

見あげて歩いているわたしは

彼らに申し訳ないと思うのだ

きっと知らぬ間にいけないことをしている

確かになにかいけないことをしているのだ

帰宅してテレビをつける

お湯を沸かしてコーヒーを飲む

買ってきた本を開く

夜がやってくる

二羽の燕は眠りのなかだろう

彼らの夢に出てくる景色は

昔の燕が見た景色と

どれだけ違うのだろう

お話をひとつ

お話をひとつ

受けとった

リボンをほどき

箱をあけて

お話をもちあるき

だいじだいじと

なでたから

お話はぼろぼろになり

もとのかたちも

わからなくなった

そこで

新しいお話をつくり

はこにいれて

リボンをかけた

お話を渡さなくちゃ

はじめてをはじめる

はじめてをはじめる

はじめてとあくしゅ

ほんとはもうはじまってる

はじまりをとびこえ

とまらずにあるいて

はじめてをひとつひとつ

うけとってはパスする

はじまりながらはしる

はしりながらはじまる

はじめてにはくしゅ

まあるいね

おひさま

あなたはまあるいね

おまえもやっぱり

まあるいよ

ありさん

あなたはまあるいね

おまえもやっぱり

まあるいよ

まあるいまあるい

ころころまるい

まあるいまあるい

ぽんぽんまるい

かたまらないもの

まあるいね

うごきつづけて

まあるいね

前へゆくばかり

冬が戻る

でも

時は戻らない

小舟は

前へ

ゆくばかり

花をみおくり

花を待ちわび

ただ

前へ

ゆくばかり

なにもかも

決めたら

なにもかも

いとおしいだけ

まるで

さいごに

ふりかえったときのように

なにもかも

うつくしいだけ

そのために

見たことがないものを見る

思いもよらないものを知る

そのために

あしたがある

まだかたちにならないものを

かたちにする

そのために

わたしがいる

鳥を追う道

きれいな声の鳥がいた

飛んでる鳥を追ってたら

野原を横ぎり森へゆき

山の奥へとわけいって

ふり向くと道があったとさ

忘れものにきづいたら

忘れものにきづいたら

ひとやすみして

夢をみる

こころがどこかで

迷子になった

からだは駆け足してるのに

たちどまらないと

聞こえない

ふりむかないと

見えてこない

忘れものにきづいたら

ひとやすみして

夢をみる

ひとりのために

ひとりに語る

ひとりを支える

ひとりをあたためる

ひとりを守る

ひとりをみつめる

ちらばる星は

それぞれひとり

ひとりのために

ひとりは語る