その角を曲がれば

望むものを

ひとことで言えるかい？

言えるなら

そろそろ

その角を曲がれば

たどりつけるよ

一点をみつめる

一点を　みつめる

火がつくほどに

一点に　すべてを注ぐ

熱く　静かな　満ちる　時間

一点を　みつめる

光はなつほどに

白木蓮の花が咲く

白木蓮の花が咲く

天に向かって

手をあわせたかたち

白木蓮の花が咲く

はるだよ

はるだよ

はるだよ

はらはらと

ひらひらと

花びらが

手のひらが

蝶が

舞い散る

揺れる

飛び立つ

はるだよ

はるだよ

リュックの中身

リュックの中身　

なんだっけ

わからないなら

背中からおろしてみてください

ああ　重かったんだ　と

そこで気づくものです

背負っていたものは

ほとんどは　過去

いちど中身を出してみて

リュックの中に風をあてて

もういちど　見てみると

ひと粒　種が　みつかるはず

拾いあげてみてください

空が青い日は

空が青い日は

青に染まるほど

空をみつめてください


その青が

嵐の日のあなたを救うから


空が青い日は

たっぷりと晴天を

吸いこんでください


その晴天が

敵の弓矢からあなたを救うから

くうくう くうくう

くうくう

くうくう

子犬も雛も

甘えるときは

おんなじだね

くうくう

くうくう

赤ん坊も子猫も

甘えるときは

おんなじだね

くうくう

くうくう

おとなだって

大きなこの世の

赤ん坊

くうくう

くうくう

甘えるときは

おんなじだね

子犬も雛も子猫も人も

眠るときには

くうくう

くうくう

大きな手のなかで

くうくう

くうくう

今日でも明日でもない

夢の揺りかごのなかで

くうくう

くうくう

みんな みんな

おんなじだね

いってきます

いってきます

はじめての場所へ

道は知らないけれど

いきたいところがあるのです

道のりもまた　その場所の一部

ここに咲く花を　忘れない

めでたい朝

朝は

誕生日のように

めでたい

祝うために

この日を

きれいに飲みほす

小さな舟に揺れながら

右の手のひらに太陽を

左のてのひらには月を

そのまんなかのこの胸に

脈打つ時計が刻む音

小さな舟に揺れながら

星の数いるひとびとの

ことばにならない声を聞く

空気のなかにたちこめた

ひかる粒子をすくいとる

とめることは できない

歩くわたしも

空めぐる星も

とめることは　できない

眠るわたしも

地下ゆく水も

とめることは　できない

語るわたしも

はじける火の粉も

とめることは　できない

ちょっと 嬉しかったこと

白紙に　　

ちょっと　嬉しかったこと　を

書いてみる

たとえば

アイスクリームを食べたら

あたりが出た　とか

気になっていた映画の名前

やっと思い出せた　とか

なんとなく手にとった本に

忘れられない言葉が書いていた　とか

そんなに親しくなかったひとと

同じ瞬間に　笑ってた　とか

白紙は

ちょっと　嬉しかったこと　で

いっぱいに　なっている

そのおかげ

だいじなひとの思いでが

うしろから

足もとを照らしてくれる

まだ歩けるのは　そのおかげ

もしも翼があったなら

もしも翼があったなら

街を上から見おろして

好きな場所まで空の道


もしも翼があったなら

水のうえでのホバリング

空が背景　水鏡


もしも翼があったなら

翼のしたで眠ってる

ちいさな雛に子守唄


もしも翼があったなら

空に翼で描きたい

ひかりと風の流線形

一度かぎりの飛びかたで

ちいさな光るもの

ちいさな光るもの　なあに

びいだま

いちばん星

小鳥の目

葉っぱのしずく

くちずさむ歌