辻占いの歌

今日の歌をお届けします:tamako

上陸のうた

2010-09-30 22:45:02 | 日記
旅の風は良い風
旅の雨は良い雨

小さな船に乗りました
船は古くてぎしぎしと
切ないうたをうたいます

船に乗るのは 
わたしと小鳥 一人と一羽
ポケットのクルミを分け合い
霧の中を進みます

やがて陸が現れる

小鳥を頭に乗せて
わたしは陸地を踏みしめる
羽をひろげて
うたをうたおう

小鳥は肩で羽繕い
すでにもう寛いでいる




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2010-09-29 23:35:30 | 日記
湖をみつけた

鳥の目印

空の鏡

真ん中の緑の島は

火を噴く山の頂きだった

水に沈んだ山のふもとで

火がとくとくと脈打っている

頂きで 

今日の花が咲いている

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忘れてました

2010-09-28 23:47:48 | 日記
忘れてました
思い出すことさえ
忘れてました

わたしの小さなひもつきミトン
クレヨンで描いたリボンの絵
引っ越しするとき
バイバイ言った
その子の顔は覚えてる

でも 忘れてました
手を振ったわたしの手が
とてもちいさかったこと
大人の手にすっぽり入るちいさな手

私はとても泣き虫で強情でした

スケッチブックの花丸
遊んでくれたお姉さん
歩道橋の下で子猫を育ててた
お豆腐買って落として泣いた
あの曲がり角も覚えてる

でも 忘れてました
わたしの背中はとても小さかった
いってきますと言ったあと
背中はいつもしばらく見つめられ
知らぬ間に暖かくなっていた

私は今でも泣き虫で強情です
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いとしいもの

2010-09-27 21:29:50 | 日記
いとしいものの後頭部は
どんなふうでもいとしい

目をあけて前を見ていても
装うことができないところ

幼ければあどけなく
老いていればやさしく

一心に前を見つめれば
後頭部は無防備になり
まじめなほどに
可愛らしくなり

どんどん
いとしくなってゆく

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手紙

2010-09-26 20:14:16 | 日記
古本屋で手に入れた本をめくっていたら
黄色くなったメモがはらりと落ちた

【伝えたかった
だけどもう会えない】

相手は遠い
場所なのか時間なのか
かたちのあるその人に もう会えない という意味か

落ち葉みたいなメモを拾う

日が傾く
鳥たちが山に向かって飛んでいく
帰ろうとする鳥たちは
追われるように急いでいる

一羽の鳥が 
くわえていた赤い実を落としていく

この世はかたちを変えた手紙でいっぱいだ

いちにち散歩をするだけで
たくさんの手紙を拾う

【こんにちは 元気ですか】で途切れた手紙が
青ざめて冷えているのを見つけた

私は書きかけの手紙を 
てのひらで温めた
そして
続きを書き始めた
誰あてなのか分からないまま
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洗濯日和

2010-09-25 22:17:59 | 日記
空の色につられて

レースのカーテンを洗う

水が濁るのが喜ばしく

光を通して白が眩しく

新しいことが出来そうな気になり

歩みが軽い

なるほど

カーテンと同時に何かを洗ったか

風は自由に行き来するのが性分

素直に吹きわたる喜びが

その道々にこぼれてゆくので

ひとは気持ちがよいのだろ


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わたしのフクロウ

2010-09-24 23:31:11 | 日記
塀の上にフクロウ
と思ったら猫だった


フクロウがいたら素敵 
と、思っているから
そんなことになるのだ

丸いかたちにつぶらな丸い眼

そして、あんなにも丸いというのに獰猛なのだ
まん丸い猛禽類なのだ

わたしが広い広い庭をもったなら
その庭にはフクロウがいるはずだ

その庭には小さな動物がいて
もっと小さな虫がいて
実がなる木が茂り
小さな花が咲いている

わたしのフクロウは
お気に入りの枝でひと休みしている
よっこらせ と重心を変えて
空を見る
毎日変わる空を見ている
夕焼けに同じ絵は無い
星空に同じ絵は無い


駅の手前で別のフクロウが
ごろごろ言ってなでられている


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満月

2010-09-23 20:11:35 | 日記
丸いな 明るいな 静かだな
あれが月

この前 空に 浮かんでたのは
暗い空を切り抜いて 
向こうの光が漏れたみたいな
細くて白い月だった

同じ月なの
どうしてなの
ゆっくり変わっていくものなの
とどまることは一度もないの

不思議だね
不思議だね

百年前に 見たことあるよ

違う場所から見あげていたよ

ゆっくり変わる
変わらない
ずっと前から
ずっと先まで
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辻占いの歌

2010-09-23 19:17:06 | 日記
満月ですが、秋の雨です。

【 辻占い 】という言葉があります。

街ゆくひとの会話に耳を傾け、偶然拾った言葉を占いとする。

万葉集にも、月夜にちなんで、辻占いの歌が出てきます。

その後、フォーチューンクッキーのような、おみくじを入れたお菓子も

辻占いと呼ばれるようになりました。

おみくじに書かれた歌と言葉は、耳になじみ、いつの間にか自分になじむ。

吉凶以外に、一枚の絵を見せてくれていると思います。

歌と言葉のすてきな形です。

辻占いの歌 はじまりました。
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