昔 わたし は
いえ わたしたち は
黒い大きな岩でした
誰も動かすことが出来ない
山の一部だったのです
いきもののかたちが変わるほど
ながいながい眠りのあと
繰り返す雷や嵐で
飛び跳ねるように落ちて砕けて
わたしたちは わたし になりました
ころがり落ちたのは山のふもと
じっとしているわたしの横で
緑色の芽が顔を出しました
その子たちが大きく大きくなってゆき
何度も落ち葉を繰り返し
何度も何度も実をつけて
わたしはしっとりと黒い土の中
緑の苔に包まれました
鳥の声が 高いところから降ってきました
ある日 わたしはごうごうと鳴る
水の流れの中にいました
折れて流れた木の一部が
どこかでまた芽吹きますように
魚が川面で光ります
光がゆらゆら揺れています
水底をころがり長い旅をして
今は小さな緑の石です
光がわたしを通ると 少しくすぐったい
わたしを通った光が
壁にあたってゆらゆら揺れています
いえ わたしたち は
黒い大きな岩でした
誰も動かすことが出来ない
山の一部だったのです
いきもののかたちが変わるほど
ながいながい眠りのあと
繰り返す雷や嵐で
飛び跳ねるように落ちて砕けて
わたしたちは わたし になりました
ころがり落ちたのは山のふもと
じっとしているわたしの横で
緑色の芽が顔を出しました
その子たちが大きく大きくなってゆき
何度も落ち葉を繰り返し
何度も何度も実をつけて
わたしはしっとりと黒い土の中
緑の苔に包まれました
鳥の声が 高いところから降ってきました
ある日 わたしはごうごうと鳴る
水の流れの中にいました
折れて流れた木の一部が
どこかでまた芽吹きますように
魚が川面で光ります
光がゆらゆら揺れています
水底をころがり長い旅をして
今は小さな緑の石です
光がわたしを通ると 少しくすぐったい
わたしを通った光が
壁にあたってゆらゆら揺れています