わたしの声はちいさいけれど
かならず誰かに届くだろう
わたしの傘はちいさいけれど
かならず誰かを守るだろう
わたしの舟はちいさいけれど
かならず誰かを運ぶだろう
わたしの羽はちいさいけれど
かならずたどり着くだろう
わたしはとてもちいさいけれど
あきらめたりはしないのだ
わたしの声はちいさいけれど
かならず誰かに届くだろう
わたしの傘はちいさいけれど
かならず誰かを守るだろう
わたしの舟はちいさいけれど
かならず誰かを運ぶだろう
わたしの羽はちいさいけれど
かならずたどり着くだろう
わたしはとてもちいさいけれど
あきらめたりはしないのだ
忘れなくていい
立ち上がらなくていい
語らなくていい
ただ灯を消さなければ
それでいいんだ
こころは従わなくていい
空っぽになっていい
ひとかけらの望みを
のこしていれば
それでいいんだ
空を見よう
流れる雲は
球形をいろどる模様
ひとときも止まらず
動きつづける空
おおらかで激しく
すべての色を持ち
安定という言葉を知らず
なにもかもが
ぶつかりあいながら
うまれては消えて
消えてはうまれ
走り続ける空を
大丈夫
大丈夫だよ
この世のすべてが
あなたに告げる
大丈夫
大丈夫だよ
雲間から現れた月も
あしたから吹いてくる風も
この言葉をあなたに告げる
大丈夫
大丈夫だよ
あらゆる雑音から
この言葉を聞きわけて
いちばんたいせつな言葉
大丈夫
大丈夫だよ
昼間に起きてみる夢も
夜に眠ってみる夢も
ほんとはすこしも変わらない
どちらもほんとでまぼろしで
自分が信じていることは
ほとんどすべて思いこみ
いちどぜんぶ捨ててみて
こどもの頃とおんなじに
好きなものを描いたら
ほんとはすこしも変わらない
ちいさなわたしに会えるだろう
もいちどそのまま好きなように
スキップしたり走ったり
立ちどまったり落書きしたり
空みあげたり小石を蹴ったり
こころが連れてゆくところへ
導かれるまま行くのです
空には
たまごみたいな月
そのうち雛がかえりそうな
あたたかい月だ
月は満ちて孵化して
空にはまた新しいたまご
月の心音が聞こえる夜
これからうまれるものはなあに
わたしたちは
羽を知らない
羽の使い方を知らない
いちど
羽ばたけば
からだが浮けば
空からの景色を知れば
ちいさなことなど
どうでもいいこと
じぶんの羽を知り
じぶんの旅をする
わたしたちの羽は
羽ばたく日を待っている
月をみてごらん
いま雲間から現れた
ぴかぴかのお月さま
見えないときも
そこにいるんだ
空をみることを
あきらめちゃいけない
ずっとずっと
そこにいるんだ
おおむかしから
そこにいるんだ
ね きみ
この白い紙に
描いてごらん
好きなもの
三つ
どんな線で
どんな色で
どんなかたちで
なにを描く?
好きなもの
三つ
だれにも見せない
説明もいらない
正しい答はない
ね きみ
描いてごらん
好きなもの
三つ
たたかうのさ
相手は
他人じゃない
どこにいても
だれといても
なにをしても
怯えず
強がらず
そのままの
いつもどおりの
自分でいるために
たたかうのさ
ものがたりは
世界は不思議で溢れていると
教えてくれるものです
冒険家も
善良を貫く人も
真剣に闘っているのです
星が語る言葉も
小石が語る言葉も
聞こえるひとはいるのです
ものがたりを食べて
ひとは大きくなるのです
わたしたちのからだには
ものがたりが流れているのです