一冊の物語だとしたら

いま望んでいることが

遠い昔からの約束だとしたら

いま手にいれようとしているものが

百年前に強烈に憧れたものだとしたら

いま予定を書き入れたその日が

扉の唯一の鍵だとしたら

素速くめくられるこのページが

一冊の物語だとしたら

ありがとさん

ありがとさんありがとさん

すきもきらいもありがとさん

ほめるもけなすもありがとさん

とくいもにがてもありがとさん

あさもよるもありがとさん

あめもてんきもありがとさん

こんちはばいばいありがとさん

ありがとさんありがとさん

こころは求めている

涙を流す

小躍りする

ささやく

怒りくるう

大笑いする

揺れるだけ揺れる

望みをかなえる

憧れる

寂しさにひたる

もっともっと

こころは

求めている

こころは

生きてることを

叫んでいる

約束しようか

約束はできない

だって

また会えるか

わからない

いや

だからこそ

約束しようか

昼寝のあと

たっぷりぐっすりよく寝たな

そろそろ起きるとしようかな

雲がどんどんうごいてる

星もゆっくりうごいてる

しらないことをみてみよう

あたらしい日をうけとろう

まずはおおきく伸びをしよう

さいしょのひとあし踏み出すと

かみなりさまが拍手した

そのための一日

今日の花を

みつける

そのために

朝がくる

今日の星を

みつける

そのために

夜がくる

なんとおりもありなのだ

なんにもできないかもしれない

なにかはできるかもしれない

なんでもできるかもしれない

そんなことも考えないかもしれない

なんてことないかもしれない

なんてことだとおもうかもしれない

なんとおりもありなのだ

なにかきめられたとおりのことなんて

なにひとつありはしないのだ

いつでも

いつでも

駆け出せる

けれど

いつでも

静かである

そして

いつでも

素のままである

空はほんとは広いから

叩きつける大粒の雨

でも

空のはじっこは

ほんのりと明るい

あれは未来の切れはし

空はほんとは広いから

頭上の雲はひとつの点

この雨をいかせ

あの光をいかせ

どんな空でも味わいつくせ

てくてくてくてく生きるのである

すくすくすくすく
伸びるのである

ぱくぱくぱくぱく
食べるのである

しくしくしくしく
泣く日もあるさ

ちくたくちくたく
時計は刻む

とくとくとくとく
鼓動は歌う

てくてくてくてく
生きてくのである

遊びのはじまり

ああ無理かな

と思った日

それがはじまり

挽回という遊び

勝って当然なら

遊べない

午前四時の空

午前四時の空

滲んだインクの色

ひとつの球体を

くるんだ空が

ひとり目をとじる色

飛ぶ鳥は　友

見えない星は　憧れ

おやすみなさいを言う前に

おやすみなさいを言う前に

今日の素敵を思い出す

誰かがくれた一日を

みおくる前に思い出す

おやすみなさい　ありがとう

おやすみなさい　さようなら

夏だから

ひまわりの絵はがき

夕立ち

忘れ物の日傘

今年は早めに

かき氷食べなきゃ

自由研究はじめなきゃ

先生には出さない

ほんとの自由なやつ

わたしのなかの小鳥が

わたしのなかの小鳥が
跳びはねた
だから
いつもと違うものを選ぶのです

わたしのなかの小鳥が
歌いはじめた
だから
楽しいことをするのです

わたしのなかの小鳥が
羽をひろげた
だから
新しい樹をさがすのです