春がくるまえに

春がくるまえに

新しい日記帳を

新しいティーカップを

新しい時計を

さがしておこう

春がくるまえに

新しい散歩道を

新しいともだちを

みつけよう

春がくるまえに

虫や植物にならって

お日さまをもとめて

風の声を聞きながら

歩く

歩く

歩くんだ

いきものよ

ああ いとおしい

やわらかい

あたたかい

ちのかよった

いきものよ

おこったり

わらったり

いっときも

かたまらず

ちとみずのながれ

とくとくと

みゃくうちつづける

どうしようもなく

いとおしい

すなつぶのように

ほしのかけらのように

ぎょらんのように

かぎりない

いきものよ

わたしを待つ場所

そうだ

あの場所は確かに

わたしを迎えてくれた

そして

この場所は確かに

わたしを守ってくれた

そう　そして

かすかに見える明日には

知らないけれど懐かしい場所

わたしが来るのを待っている

風が吹くなか

見つめた場所は

名前も場所もまだわからない

待ってることがわかるだけ

空が青い日は

空が青い日は

すこしだけ軽くなるね

紙飛行機も

いつもより遠くまで

空が青い日は

つめたく晴れた空に

握りしめてた風船が

舞いあがっていく日だね

小さな赤いトマトを食べる

食べることが

生きることなんだろな

と思いながら

小さな赤いトマトをみつめる

朝のバナナも

食べすぎた胡麻せんべいも

お弁当のおかずの玉ねぎしいたけピーマン卵

ぱくぱくと　わたしは食べる

毎日　毎食　食べるのだ

小さな赤いトマト

枝にぶらさがっていたすがたが

想像できそうなほどに

ぷっくりまるくてつやつやで

食べてしまいたいほどかわいらしい

ぱくぱくと　わたしは食べる

毎日　毎食　食べるのだ

ポケットには

ポケットには

大輪の花を一輪

隠し持っている

だから

姿勢がいいのです

緑いろ

緑いろは

木の芽の中

夢の中で

待っています

緑いろは

水と光と時間がつくります

緑いろは

止まることが出来ません

春のただなか

さっき見た緑は

もうそこにはありません

たいせつな預かりもの

自分という人は

期間限定の

たいせつな預かりもの

毎日洗って磨いて

さいごまで使いきり

清らかな空っぽにして

返す日までの

たいせつな預かりもの

きらきらきらと巡りゆく

一輪　花が咲きました

一輪　花が散りました

遠い星からみおろせば

一輪ずつのともしびが

きらきらきらと瞬いて

陸地に流れる天の川

あの点滅はそれぞれに

ひとつも同じものはなく

きらきらきらと舞いあがり

みな吹きわたる風のなか

きらきらきらと巡りゆく

ちいさな星がうまれたよ

ちいさな星が　うまれたよ

大好きなうた　うたってる

ちいさな星は　いつだって

たのしいことが　好きだから

ちいさな星が　またたいて

大好きなひと　みつめてる

ちいさな星は　いつだって

あたたかい手が　好きだから

冷たい夜の小鳥は

こんな冷たい夜の小鳥は

ふくらんで　集まって

これからくる春が

どんなものか

目をとじて考える

つららの滴が光るのと

似てるのだろうかと

朝というあかるいものに

似てるのだろうかと

雪のことば

うけとめると

すがたなく

手のひらに

雪のことば

長い旅は

道のために

遠い旅は

帰るために

宝の地図

手のなかに地図がある

地図に新たに出来る道

道に新たに開く花

この世にひとつの宝は

地中でじっと待っている

宝を

あきらめるのは 罪

宝を

裏切るべからず

旅支度

支度はできた？

できたなら

深呼吸して出発

できてなかったら

やっぱり 深呼吸して出発

旅支度は

まずは新しい朝

新しい一日を手にいれて

リュックに入れて出発だ

星が瞬く日

曇り空のむこうで

星が瞬いているはずです

会いたいひとの数くらい

たくさんの星が　瞬いているはずです