ひたひた寄せる水のそばに立ち
からだのなかの水を呼びます
からだの水が満ちてきたら
ひといきに泣くのです
湖のなかにいるみたい
あなたの外には水
あなたの中にも水
ゆらゆらと揺れながら
溢れるように泣くのです
涙がいつかとまったら
ああきっとすこしだけ
見える景色が変わればいい
あなたの中の水は新しい
あなたの歩く道は新しい
ひたひた寄せる水のそばに立ち
からだのなかの水を呼びます
からだの水が満ちてきたら
ひといきに泣くのです
湖のなかにいるみたい
あなたの外には水
あなたの中にも水
ゆらゆらと揺れながら
溢れるように泣くのです
涙がいつかとまったら
ああきっとすこしだけ
見える景色が変わればいい
あなたの中の水は新しい
あなたの歩く道は新しい
流れているのが
涙か血かもわからない
(壊れるな)
揺らしているのが
風か波かもわからない
(生き残れ)
これは
ひとつの終わり
そして
ひとつのはじまり
(朝を待て)
目のまえの扉を
あける日がきた
いっそ
おまえには無理だと
言ってください
無理かどうか
見ていてごらんと
内側から
燃えてみせます
そんなこと意味がないと
やっても無駄だと
言ってください
どれだけ素敵なことか
思い知らせてあげます
馴染みの素材だけでなく
慣れないものも使ってみます
好きなものをふんだんに入れて
嫌いなものを隠し味にひとつまみ
たいせつな人のために
きのうとは違うものをつくります
きのうとは違う今日だから
もっとも新鮮な今日だから
わたしのまえには海
わたしのうえには空
わたしからあなた
あなたからわたし
わたしとわたしをとりまく世界
ほかにはなにがあるでしょう
そろそろ舟が出る時間
ちいさな鞄に期待を詰めて
靴ひも結んで舟に乗る
雲より自由に旅をして
たくさんお話聞かせよう
そろそろ舟が出る時間
陸地の時間と距離をおき
旅の時間のなかにいて
わすれものをとり戻し
あたらしい道あるきだそう
わからないな
おとなになっても
なんにもわからないんだな
わからないままいくんだな
あさがくるたびおどろいて
よるがくるたびふしぎがり
せかいはなぞにみちていて
ときどきちらりとひみつをみせる
ひとが創るものは
ひとを支える
ひとに創れないものは
ひとを動かす
ひとは手をつなぐ
ひとは伝える
立っている一点から
それぞれの波をつくり
遠い仲間と共振する
空をみあげて
ああやっとここまで来たと
深呼吸する
咲いたばかりの花の香り
そうだねここまで来たんだねと
こたえてくれてありがとう
風がそよぐ心地よさ
歩いていけるよろこび
これからなにをしようかと
あしたをおもう幸せ
空を鳥がよこぎる
祝福のかたち
ひたひたと胸に満ちる
わたしであるうれしさ
こどもを寝かしつけるように
わたしに聞かせてください
もうひとつの世界で生きるものたちの
空の星から砂粒までが語る
波のように永遠で
空のようにかわりつづける
けれどもどこまでも普通な
たしかにあるけれど見えない
風に舞う羽毛のような
千年動かない岩のような
そんなお話しを
わたしに聞かせてください
ものがたりは 子守歌
ものがたりは 剣
ものがたりは 対話
ものがたりは 秘密基地
ものがたりは 地下水脈
ものがたりは 火種
ものがたりは お守り
いきものの時計
いろんな時計
おおきい時計
ちいさい時計
あったかい時計
つめたい時計
ちくたくちくたく
みんなが歌う
じぶんの歌を
歌いつづける
だって
生きてんだもんな
庭の虫もとかげも
ひまわりも人間も
生きてんだもんな
泣き出したいこと
面倒くさいこと
怯えること
ただ待つこと
そんなのも全部
生きてんだもんな
全部全部全部
まるごと全部
生きてんだもんな