愉快を食する秋

不愉快があるなら

愉快で押し出す　

山に　愉快を狩りに行く

海に　愉快を釣りに行く

愉快の種をまき

勤勉に日々育てて

愉快を収穫する

愉快をぱくぱく

愉快をもぐもぐ

豪快に愉快を食べて

ときには

愉快を熟成させて

しみじみと味わう

そうなったら

不愉快も

ちょっとした　おとなの味

似ているね

似ているね

曇り空のむこうの

おひさま

遠くに住む　

ともだち

ひとつのたましいかかえてる

いつでもどこでもなにがあろうと

ひとりのこらずそれぞれが

ひとつのたましいかかえてる

にこにこしながらいきどおり

なきわめきながらほっとして

もてあましてはだきしめる

すてることなどできないし

かわることなどできないし

いつでもどこでもなにがあろうと

ひとりのこらずそれぞれが

ひとつのたましいかかえてる

生きてさえいれば

あなたが生きることで

地球の裏側で

誰かが微笑む

あなたが生きることで

百年後

誰かが救われる

生きていれば

生きてさえいれば

そんなことが

出来るかもしれません

生きていれば

生きてさえいれば

不思議なできごとが

かならず起こるものです

手を伸ばして触れると

遠い遠いところで

思いがけないものが揺れる

そんなことが

かならずあるものです

よーし

よーし　いくか

雨が　あがった

靴も　磨いた

今日を　さがしに

よーし　いくぞ

おまじない

シロツメクサが咲くところ

カブトムシが来ることろ

ゆびきりげんまんするところ

転んで泣いた公園に

内緒で埋めたたからもの

魔法みたいなおまじない

なんだったかな　あの言葉

きらきらひかる　おまじない

懐かしいこと

懐かしいところ

これから懐かしくなるところ

懐かしいひと

これから懐かしくなるひと

懐かしい時間

これから懐かしくなる時間

花火をあげる

花火をあげる

一日ひとつ


小さな星が

のろしをあげる


花火をあげる

一日ひとつ


小さな花の

おとむらい


花火をあげる

一日ひとつ


小さな鳥が

いのちをうたう

わかんない

わかんない　わかんない

明日のことなんか　わかんない

わかんない　わかんない

そのまた明日のことなんか

もっと先のことなんか

ぜんぜん　まったく　わかんない

わかんない　わかんない

わかんないから　楽しみで

わかんないから　新しく

わかんないから　探すのさ

ただ従わない だけ

おおきな声で

争うことなく

取っ組み合いで

勝つこともなく

ただ　従わない　だけ

静かに　ゆずらない　だけ

こころのあるじであり続ける　だけ

楽しいこと あたりまえのこと

楽しい出来事は

楽しいってことに

どうしても必要なんだろうか

といえば

そんなことでもないんだね

楽しいってことは

おなかの底から

湧きあがってくる

勝手に　ただ　自然に

出来事なんかと無関係に

あたりまえのこと　なのかもね

毎朝　朝日がのぼるように

あたりまえのこと　なのかもね

わたしの星座

家族　友達　懐かしいひと

好きなひと　きらいなひと

似てるひと　違うひと

思いで　憧れ

だいじな景色

つながるすべてを点でつなぐと

わたしの星座が　ほのかに光る

小さな星が　時間の空で

わたしの舟の灯台になる

夕焼け

ひとの一生を

変えそうな

夕焼けです

空がうたう

夕焼けは

終わりを決めた

日の祭り

からっぽの器

からっぽであること

何も描かれていないこと

それが　たとえようもなく　嬉しい

満たす　時間

描く　時間

この器のなかには

透明な時間が

ひたひたと　揺れている

おでかけをする

おでかけをする

学校に行く

お仕事に行く

近所を散歩

街で買い物

山に登る

釣り船に乗る

待ち合わせをする

ひとりで歩く

いろんないろんな

おでかけをする

おでかけは

どんなときでも

新しいものに出会うこと

おでかけは

遠くでも近くでも

知らないものに出会うこと

おでかけをする

悲しいときも楽しいときも

おでかけをする

明日も明後日もこれからも