もう夏なんだな

燕が電線の上で考えごと

大忙しだったけど

風がとおりすぎていく

ああ　もう夏なんだな

たくさんの人が歩いてく

じっと見たことなかったな

そろそろこことお別れかな

ああ　もう夏なんだな

鳥よ 自分を知りなさい

鳥よ

自分を知りなさい

つばさの大きさ

羽の色

嘴のかたち

からだの大きさ

うたごえ

すべてを

知り尽くしなさい

自分がどんな生きものか

みつめなさい

生き抜くために

この大きな空を

飛ぶために

誇らしいこと

敵がいる

その誇らしさを

忘れるな

はじめての青

海の夢を見た

音のない入り江

白い砂の上

こんな色　

はじめてだと

口にする夢をみた

夢でも

夢でなくっても

はじめての青をみた

なによりも

なにかがあっても

なにかがなくても

朝起きてのびをして

顔を洗い食事する

歯を磨き着替えたら

ドアあけて空をみて

いつもの道を歩くこと

つづけてゆくこと

つなげてゆくこと

望むこと

祈ること

なによりも

生きること

たゆたう一粒

満ちていく

時に洗われて

くりかえす

さよならの波

おおきな海に

たゆたう一粒

揺れながら

満ちていく

憧れ

こどもみたいに

口あけてみとれた

こんなに美しいものをつくったひとの

内がわを知りたい

そのひとの景色を知りたい

聞いていた曲も食べてたものも

日のあたるところも濃い影も

引き継いでいる

引き継いでいる

そのかなしさ

そのくやしさ

引き継いでいる

しりたかった

みたかった

傷つくことさえしてみたかった

引き継いでいる

つないだ手

空にあらわれる虹

その一瞬の確かさ

モスグリーンの日傘

モスグリーンの日傘

あのひと　緑が好きなんだ

風が　吹いてる

どっから　吹いてくる

ああ　きっと　

あしたから　吹いてくるんだ

モスグリーンの日傘がゆく

あかるい光のなかをゆく

目覚めたってことは

おまえの望みをのべよ

空にむかって　宣言せよ

朝　目覚めたってことは

そういう意味なんだよ

鳥よ 歌え

鳥よ　歌え

こうして生まれてきたのだから

おまえの歌を　歌うのだ

迷いのままに　歌うのだ

おそれのままに　歌うのだ

よろこび溢れて　歌うのだ

風が暴れる日

今日は風が暴れているね

こんな日は何かが動くんだ

びくともしないと思った岩が

ゆっくりずれる一日だ

あとからあの日と思うんだ

ただはじめてなだけでいい

朝目覚めたら

どこにいくとも決めず

身支度をしてお出かけする

大きな駅についたら

いちばん早く発つ電車で

知らない場所まで行ってみる

なにか用事をみつけたりせず

はじめての場所でぶらぶら歩き

本でも買ってコーヒー飲んで

ゆっくり帰ってくればいい

なんにも得ようとしてはいけない

なんにも意味をつけてはいけない

ただ新しいだけでいい

ただはじめてなだけでいい

自由ってものは

自由ってものは

わからない

それはたとえば

籠から逃げる鳥

選んでいいと言われる

ケーキのおさら

それとも

闘いのあとに得る宝

もしかして

星にむけて矢を射ること

自由ってものは

わからない

ゆれているのだろ

なにをさがしているのだろ

どこへいこうというのだろ

ほんとはなんにもわからずに

なにかにむかってとびだして

こうしてゆれているのだろ

まわりがどんなにかわっても

ゆれてるじぶんはおなじだろ

きせつがかわるとおんなじに

めぐりめぐっていくのだろ