みずうみは
水がきれいで
そこに住む生きものが
げんきに暮らしているのが
いいことだよね
こころのなかも
おんなじこと
にくしみやあきらめで
水がよどんでも
透明にしようとして
彼方ばかりみつめても
どちらも生きていけない
みずうみは
水がきれいで
そこに住む生きものが
げんきに暮らしているのが
いいことだよね
こころのなかも
おんなじこと
にくしみやあきらめで
水がよどんでも
透明にしようとして
彼方ばかりみつめても
どちらも生きていけない
風がごうごう吹いていて
いろんなものが飛ぶ音がして
怖いくらいだったけど
窓をあけたら
黄金のような夕方で
外を歩かずにはいられなかった
この光と影がつくる景色を
覚えておこうと思ったの
寄り道したケーキ屋
ペットショップの青い鳥
風に揺れる樹の緑いろ
覚えておこうと思ったの
ああ
あたらしい
なつかしい
あたたかい
きもちいい
まるで
こどものころ
だれのこえも
きこえなくなるくらい
しゅうちゅうして
えがいていた
いちまいの絵
なにを
のぞんでも
いいんだよ
とめるものは
なにひとつ
ないんだよ
空気も
きもちも
言葉も
はきだすのが先
あとから深く吸いこむ
それが順番
でないと
いろんな気持ちが
ぐるぐるとつながって
おおきくなって
どこにも出ていかなくなるから
はきだすのが先
あとから深く吸い込む
それが順番
北で 桜が咲きだして
一面ピンクの花びらが
鳥の頬をくすぐって
ときどき身震いさせるんだ
桜をくわえた鳥たちが
あちこち飛んでまわるから
春があちこちちらばって
ひとの頬をくすぐって
ときどき身震いさせるんだ
おおむかし
とおいみらい
そして
今 この一点
なんにもできなかったかもしれない
なんにもできないままかもしれない
でも
いきてるだけで
なにかのたしになる かもよ
そんな
今 この一点
石ころ蹴って
歩いてた
立ち止まって
前を見たら
菜の花の黄色
ひろがる黄色
石ころ蹴って
歩いてた
立ち止まって
空を見たら
おおきな虹
こどものころみたいに
誰かに見て見てと教えたい
おおきな虹
聞かせて
旅のおはなし
見てきた雲のかたち
樹の上から降る鳥の声
はじめて聞く言葉
そして笑顔
夕焼けのいろ
夜がきて目をとじると
目的なんか
どうでもいいと気づく
まるで呼吸のように
空っぽになって
またとりこむ
このくりかえし
旅のおはなしは
そうねつまり
いつも身軽でいなさい
意味なんか
じぶんが考えることじゃない
ただきもちよく呼吸することね
空が青い日
すべてゼロにして
もうひとりのじぶんが
ちがう方角へ
歩きはじめる日
咲きはじめた花を
覚えておこう
風の音を
かわりゆく景色を
覚えておこう
お月さま
今夜もそこにいてくれて
ありがとう
わたしが今のわたしでなく
景色も全く違うときも
あなたがそこにいてくれて
みていてくれたことだけは
百年たっても忘れない
さよならの種が
芽吹いて雨に濡れる
さよならが育ち
旅立ちをひきよせる
さよならが熟して
舟が海に出る
さよならはいつも
揺れても倒れず
前へすすむ足取りが
リズムを刻む唄
ちからはどこから湧いてくる
あしたの希望
ちいさなお菓子
ともだちの笑顔
なつかしい思い出
そう そう そして
ぎりぎりのところで
うまれた闘志から
厳しさに負けない火種から
湧き出たちからが
歩みをささえる
いま道のどのあたりか
考えることもなく
ただ空がいつもどおりに
そしていつも別の顔を見せて
私はまた足元と少し前を見つめ
できることはなにか
考えて歩きつづける
じぶんは
なにもの
問いだけが
花咲はじめる路の
延長戦に
霞んでみえる
路に咲く
植えたてのはなみずき
おまえはどう思う
答える日はくると思うか