星の旅

ものがたりのはじまりは

星のみちびき

どこからきて

どこへいくのか

いつくもの景色を

細胞のひとつひとつに

きざんでいく

ものがたりのおわりは

星のささやき

どこからきて

どこへいくのか

いくつもの花が

細胞のひとつひとつから

めぶいていく

ひとりの記憶は

星の空

ひとりの旅は

星の旅

星座の島

ここはひとつの島

島にいるのはわたしだけ

もうひとりの島は

とてもちいさくみえる

そしてみえないくらい遠くに

ぽつんぽつんと島があるのです

星空に似ています

わたしたちは星座

すこしずつ旅をして

はなれることはない

まだ見たことがない

いくつかの島から

波がよせてくるのです

鳥は飛んでいきました

鳥は飛んでいきました

海と空のあいだ

伝え聞いたあの島へと


鳥は飛んでいきました

どこまでも飛べる

おひさまの羽で


鳥は飛んでいきました

そのはばたきで

地上に風がうまれました


鳥は飛んでいきました

こころは揺れて雨を生み

憧れで月が満ちました


鳥は飛んでいきました

ひとつの夢から

あたらしい夢へ

ひとつ

花ひとつ

道ひとつ

山ひとつ

空ひとつ

星ひとつ

人ひとり

伝えるために

伝えるために

うまれてきたのだ

どんなかたちで

伝えるのかを

みつけるために

いきてきたのだ

伝えるために

いきていくのだ

扉が開いた

いま

扉が開いた

見たことがない景色を

あたらしい道を

扉のむこうに

流れる時を

ものがたりが終わるまで

両手をひろげて

むかえにいこう

月への階段があれば

月への階段があれば

だれに会いにいきますか

なにを伝えにいきますか

月への階段があれば

空から降らせる月光を

どこに注いであげますか