蝶の道

こんど会ったら　

わかるかな

一緒に歩いた古い道

花が降ってた

風がとまった

小さな蝶が横切った

そのとき起きた風がいま

ここまで届いて受けとった

こんど会ったら

わかるかな

燕の歌

ああ　燕の歌が聞こえる

身体いっぱい

いのちいっぱい

あなたの歌が町に響くよ

今年のあなたを覚えているよ

燕の歌が今日も聞こえる

空を見あげて

たくさん　抱えこんで

わからなく　なっちゃったんだね

空を見あげて　

風が気持ちいいなあ　

と　思えることが　まずは大事

見わたせば　花が咲いている

小鳥たちが　今日も　飛んでいる

おまじない

雨あがりの空を

ふりむいて見上げる

ほんとうにほしいものを

思い出すおまじない

りんごが1個ありました

りんごが1個ありました

りんごの香りに誘われて

赤い皮をむきました

白い実を食べました

茶色い種が残ります

りんごが１個ありました

あなたは無駄だと言うけれど

種だけあってもりんごでしょうか

りんごがりんごであるために

りんごのすべてが要るのです

かたちがすこし違うなら

違うかたちが要るのです

りんごは自分のすべてを使い

りんごであると語るのです

旅びと

むかし　むかし　おおむかし

とっても遠いところから

なにかを探しにやってきた

むかし　むかし　おおむかし

とっても深いところから

なにかを伝えにやってきた

むかし　むかし　おおむかし

とっても高いところから

なにかを照らしにやってきた

むかし　むかし　おおむかし

はるかな場所から

はるかな場所へ

ひとりの旅びと　やってきた

あげは蝶

あげは蝶　うらうらうら

あげは蝶　そよそよそよ
　
あげは蝶　はらはらはら

あれは

うまれて何日目

夢みていた

おひさまと空

まだ　まぶしくて

ほんのひととき

葉のしたで眠らせて

あげは蝶　うとうとうと

あげは蝶　ゆらゆらゆら

冒険家

冒険家は

遠い海や

高い山でなく

近くに住んでいます

買うことができないものを

賭けて生きています

一歩もひかずに

いつもの顔して

闘っています

星のうえの質問

まわりつづける星のうえで

たくさんのひとが暮らしています

時を刻む音がします

今　何をしてますか

明日　何をしましょうか

なにを思っていますか

なにが好きですか

なにが許せませんか

なにを信じますか

なにを憎みますか

数えられないもので

なにをたくさんもっていますか

なにをほとんどもっていませんか

なにを受け取ることができますか

なにを差し出すことができますか

なにを美しいと思いますか

あめがふるならふればよい

あめがふるならふればよい

かさをひらいてどこまでも

てくてくあるいてうたうのさ

みどりのいろもいつもより

つやつやだからちょうどよい

あめがふるならふればよい

かわいたつちがみずふくみ

あめのにおいがわきあがる

みどりのにおいがわきあがる

あたりまえのこと

生きているものが

すぐそばで息をして

あたたかい心臓をもち

ときどきあくびなどしている

あたりまえのことだ

すこし前まで

あたりまえだと思っていたことだ

負けないぞ

小鳥たち

嵐の夜に

ごうごうと

揺れる樹のなか

ふわふわの

軽いからだで

小さな細い脚で

負けないぞ

負けないぞ

お日さまが戻るまで

ぜったいに　負けないぞ

負けないぞ

負けないぞ

どんなに風が強くても

ぜったいに　負けないぞ

おおきなものがほしいなら

空がほしいの？

寝ころんで見あげれば

あなたの上はみんな空

空はおおきなものだから

握りしめることはできないよ
　
そのおおきさを　あおぎみて

そのおおきさを　呼吸する

でこぼこ

でこぼこ

ひっかかる

でこぼこ

はずんでる

でこぼこ

やたら体当たり

でこぼこ

賑やかだ

でこぼこ

ころがって

でこぼこ

歌ってる

明日

天気がよければあの場所で

池にうつった空をみよう

雨が降ったらお茶入れて

やっと見つけた本を読もう

明日がどんな天気でも

虹がみえても嵐でも

こどものころから続いてる

はじめましての一日だ

明日の気持ちがどんなでも

小躍りしても泣いてても

空が変わらず空のように

変わらぬわたしの一日だ