星がみえる
澄んだ夜です
いつも通りの
特別な夜です
おおきな時間のなかの
ひとつのかけら
きらりと光る
冬の夜です
目をとじて
おおきな音を遠ざけ
ひかりと
空気と
そのなかの水分と
それ以外のなにかの
声を聞きます
地面と空
昨日とあした
生きものは
その通路です
飛ぶために
羽繕いしてるの
飛び立つために
まるくなってるの
小さな鳥が旅をする
飛べと言われることでなく
飛ぶとみずから決めたから
目をはなしたすきに
ほら
飛びたったよ
いまあんなに高いよ
ひとつさよなら
ひとつはじめまして
ひとつ失い
ひとつ見つける
わたしたちの細胞は
ひとつひとつ新しくなり
絶望した自分は
もうここにはいない
いつどこで終わろうとも
これは宝さがしの旅
風が吹いてる
おおきな生きものが
呼吸している
星がまたたく
数えきれない命が
点滅している
これは意志をのせた舟
そのたいまつを消すな
これはどこまでも続く旅
ふかふかの雪に
靴跡をつけよう
寝ころんでばたばた
天使のかたちつくろう
雪だるまに赤い帽子かぶせて
子犬みたいにとびはねて
ころころと遊ぼう
こどもの頃と同じ顔で笑おう
空が晴れてきたら
青白くひかる雪に
不思議な夢を思いだす
雪がふるあの日は
きのうのことかな
あしたのことかな
楽しみにしてるよ
ともだちと会うこと
楽しみにしてるよ
あしたがくること
楽しみにしてるよ
あしたのさきの
もっとさきのわたしを
楽しみにしてるよ
わたしのさきの
もっとさきのあしたを
楽しみにしてるよ
雪つもる街
懐かしさにくるまれ
うたを一輪
あなたにあげる
あなたの手のなか
うたが咲いてく
わたしの夢は
あおいみずうみ
しずかなひかりの
しっている場所
うたを一輪
あなたにあげる
あなたの手のなか
鳥になったり
月になったり
いろんなものに
かわる一輪
ながれ星の音は
鈴の音に似てる
つぼみがひらくのは
点火する音
おひさまがもうすぐ
あらわれる時には
器の水がいま溢れた
その一瞬の音
なつかしいひとを
思いだす時には
ドアをあけたときの
音がきこえる
木の実をたくさん
落ち葉をたくさん
冬眠するから
たくさん集めて
ひとりでこもり
うみだすものは
起きてはみられぬ
夢をたくさん
ちいさな夢も
おおきな夢も
雪がふるころ
森に満ちるよ