はらはらと

はらはらと

ふる雪の

つめたさと

やわらかさ

はらはらと

ふる日々の

しずかさと

あたたかさ

旅の途中に

旅をしています

私の一部が

まだここに

着いていないから

少しここで待ちましょう

まにあうから

大丈夫

朝日がさしたら

出発します

気づかなかった

花がいつ咲いたのか

気づかなかった

虹がいつ出たのか

気づかなかった

雪がいつ降りはじめたか

気づかなかった

あとから

ああきれいだと

みとれるだけなんだ

脱皮できないものだから

脱皮して

違うかたちになることも

葉を落として

春にまた緑になることも

真似ができないので

一年で区切ることにした

あたらしくなりたいから

一度幕をひくことにした

カレンダーはもう壁にかけられて

表紙がめくられるのを待ってる

そのひとそのもの

どこにいっても

なにがあっても

どれだけときがながれても

ほとんどすべてが

かわってしまっても

それでもかわらない

ひとつぶのなにかが

そのひとそのもの

淡雪について

淡雪を　

握りしめることは

できない

手のひらに

一瞬のって

そのあとは

ひとつの雫となる

そのなりゆきを

見守ることしか

できない

音が届く

海の対岸で

見知らぬひとが

拍手した音

いま　届いた

震えるよろこび

伝わる不思議

時のさざ波

感覚のこだま

どこから

どこへ

そして

なにを

わたしたちは

会わないけれど

知っている

きらきら光る

今夜のツリー

きらきら光る

みんな見あげて

にこにこしてる

今夜のツリー

きらきら光る

みんな見おろし

にこにこしてる

夢のまたたき

思い出の灯

望みの花火

きらきら光る

きらきら光る

あちらもこちらも

きらきら光る

数えきれない

ほら　星だよ

ほんのすこしだけど

いつもよりも見える

ほんとうは

数えきれないほどの星

数えきれないほどの願い

暗闇に光るものは

ほんとうは

数えきれない

宝ものはどこ

宝ものはどこ

山のむこう

森の奥

谷への道

さがすのをやめたとき

目のまえにあらわれる


宝ものはどこ

これから咲く花が

土の中で眠る

目覚めたあとの空に

手をのばして挨拶する


宝ものはどこ

まだうまれない鳥が

仲間に語りかける

あしたの歌

いつか渡る海の

光る波のもよう

山

山は

高ければ　高いほど

風は強く　空気は薄く　突然荒れて



山は

高ければ　高いほど

空は近く　世界はひろく　ひかりに満ちて



頂きは

よじのぼり　つかみとる

旅の果てに　たどりつく



その先に　なにがある

その先に　どこへいく

山は　ただ　そこにあるだけ

雪が降る

どこかで雪が降っている

落としたてぶくろ見えなくなるね

ちいさな足跡おうちにつづく

途中でよりみちしたんだね

誰かがつくった雪だるま

おおきなおおきな雪だるま

そばまでいった跡がある

そのあとおうちへ帰ったね

おうちの門のそのなかに

ちょこんと置かれた雪だるま

ちいさなちいさな雪だるま

そのあたまにも雪が降る

おうちの屋根にも雪が降る

しずかにしずかに雪が降る

これから

これから行く旅と

これから飲むお茶と

これから見る虹と

これから会う人と

これからつくる唄

貫くことだ

無茶も

地味も

真面目も

ちゃらんぽらんも

頑固も

空想癖も

それが自分なら

貫くことだ

たくさんのたくさんのひとが

たくさんのたくさんのひとが

あたりまえだと思っている道のりの途中で

たくさんのたくさんの望みをもちながら

別の場所へと向かっていったのです

たくさんのたくさんのひとが

たどりつけなかったところへ

偶然歩いているわたしは

いつまでかわからない旅を

こうして続けているのです