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中国国防費、成長鈍化の中で突出 2030年には米国と比肩か (ウォール・ストリート・ジャール)

2014年03月06日 | 米中紛争と東アジア
中国国防費、成長鈍化の中で突出 2030年には米国と比肩か
(ウォール・ストリート・ジャール 2014年 3月 06日 10:30 JST)

By JEREMY PAGE


 【北京】2014年の中国の国防予算の伸び率が2ケタになっており、ドル換算で144億ドルという絶対額ベースの増加は少なくとも過去10年間で最大だ。これは米国が国防予算の削減に直面している中で、中国指導部が軍事支出を優先し続ける決意を示す証拠の一つだ。

 5日に中国政府予算計画の中で公表された軍事支出の12.2%増額は、伸び率では異例に大きいものではない。中国の国防予算は過去20年間、年率平均10%以上の伸びになっているからだ。

 しかし絶対額ベースでみると、880億3000万人民元(約144億ドル)という増額は少なくとも2005年以降最大だ。この結果、中国の軍事予算全体は8082億3000万人民元(約1315億7000万ドル)となり、07年当時の2倍以上に膨らんだ。


 経済成長率が全体的に鈍化している時期に国防予算が突出しているもので、これは中国の習近平国家主席が軍部からの政治的な支持取り付けのため国防支出の増加を優先保証し、中国を世界の主要大国にするとの習主席の目標実現に向けて資金供与する構えであることを物語る、とアナリストたちは述べている。

 シンガポールのS・ラジャラトナム国際関係学院の地域軍事近代化専門家リチャード・ビッツンガー氏は「それは、国防予算が聖域化されていることを示す。彼らはどんな状況であっても国防支出は支持されるという決定を下した」と述べた。

 また同氏は「これは『富める国・強い軍隊(いわば富国強兵)』症候群だ。それはソフトパワーと同様にハードパワーも誇示できるようにしなければならないという考え方だ」と述べ、習主席のお気に入りのスローガンである『中国の夢』に言及して「強い軍隊というのは『中国の夢』の一環だ」と語った。

 人民解放軍を現代的な軍隊にすることは20年間に及ぶ中国の使命だった。アナリストたちによれば、習主席は自分自身と軍部のためにトーンを上げ、日本と係争している東シナ海や一部東南アジア諸国と係争している南シナ海での領有権にこれまで以上に強力なアプローチをとった。

 中国の国防支出の継続的な増加ペースは、米軍との能力格差を埋める絶好の機会だとの計算にも起因している。米国の国防予算は少なくとも2023年まで、縮小あるいは横ばいになる公算が大きいためだ。

 オバマ大統領は4日、2015会計年度の予算を発表し、兵力を大幅削減するとともに、国防総省支出(一般経費)を4億ドル削減して4956億ドルにとどめることを提案した。 これは依然として中国の2014年国防予算の約4倍だが、一部の専門家は、現在の経済トレンドが続けば、中国は2030年ごろまでにギャップを埋められるだろうと述べている。

 12.2%という中国の国防支出伸び率は、全体的な政府支出の伸び率である9.5%を大幅に上回っている。一方、中国の経済成長率は昨年、前年と同じ7.7%だった。中国は今年の伸び率目標7.5%前後を達成するのに苦労するだろう、と見る向きもエコノミストの間で少なくない

 また中国の公式の軍事予算は一部の武器プログラムや購入を除外していると考えられており、国防支出額を過小評価している、と多くの専門家はみている。

 日本の菅義偉官房長官は、国防支出面の中国の不透明性は懸念要因だと述べている。同長官は5日の定例記者会見で、「中国の国防政策と軍事力には透明性が欠如しており、わが国と国際社会にとって懸念材料だ」と述べた。

 中国外務省の秦剛報道官はその後の北京での記者会見で、日本の懸念は当たらないと述べ、中国の軍事支出は経済・社会発展と足並みをそろえて増加しているだけだと述べた。


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