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アジア・オセアニア地域の通信社が配信する記事から『中国の領土紛争問題』を伝え日本の安全保障などのニュースブログ。

中国の「バッシング」に頭抱える韓国政府 ~練られた報復~ (ロイター)

2017年03月12日 | 米中紛争と東アジア
アングル:中国の「バッシング」に頭抱える韓国政府 (記事の続き)

ロイター 2017年 03月 11日 07:40 JST
(Cynthia Kim記者、Hyunjoo Jin記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)



[ソウル 9日 ロイター]


 韓国産業研究院のシニアリサーチフェローであるLee Hang-Koo氏は、中国で直面する困難の影響を最小限にとどめるため、政府が市場の多様化を企業に勧めることは「ばかげており無責任」との見方を示した。

 「中国はあまりに大き過ぎる」と同氏は語り、証拠の欠如を考えるとWTOへの提訴は実現困難であり、提訴しても何年もかかる可能性があると指摘。「外交ルートを通じて話し合った方がいい」と述べた。

 いかなる提訴も、韓国にとって最大の顧客である中国との関係を悪化させるだけかもしれない。韓国国際貿易協会(KITA)のデータによると、韓国の対中輸出は、今世紀の変わり目には同国の輸出全体の10%程度だったが、昨年は約4分の1を占めた。

 韓国のシンクタンク、現代研究所によると、中国の対韓輸出は同期間、4.5%程度で推移している。


<練られた報復>

 WTOのルールに違反しているという証拠は、今のところほとんどない。中国当局はロッテグループなどの店舗を閉鎖するよう指示したが、それは防災上の懸念のためだとしている。また、化粧品各社によると、税関審査と衛生承認手続きの強化により、中国市場にアクセスすることが厳しくなっているという。

 「規則を守ることにずさんだった中国が、今まさにそうした規則を適用している」と、韓国外務省の元当局者で、梨花女子大学ロースクールの教授であるChoi Won-Mog氏は語る。

 とはいえ、韓国当局によると、中国のツアー会社は韓国ツアーを中止するよう正式な指示を「口頭で」受けているという。



 レアアースの輸出規制を巡るWTO敗訴で教訓を得た中国は、「国際法に触れないよう慎重に韓国への報復を考え出した」とChoi氏はみている。

尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件で最も打撃を受けた1つは、日本車の破壊行為が拡散した自動車業界である。

韓国・現代自動車(005380.KS)は事態を注視していると、この問題に詳しい人物はロイターに語った。

「今のところ大きな影響はないが、今後の展開を心配している」と同人物は言う。「各企業ができることはあまりない」

中国の「バッシング」に頭抱える韓国政府 (ロイター)

2017年03月12日 | 米中紛争と東アジア
アングル:中国の「バッシング」に頭抱える韓国政府
ロイター 2017年 03月 11日 07:40 JST
(Cynthia Kim記者、Hyunjoo Jin記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[ソウル 9日 ロイター]

  韓国政府が中国の反対を押し切り、最新鋭ミサイル迎撃システム配備を認めたことで、韓国企業は中国で激しい圧力を受けている。だが、韓国企業が中国による差別的な対応の犠牲者だと訴える一方で、韓国政府には対抗する術がほとんどない。

 韓国の対中輸出額は昨年1240億ドル(約14兆3100億円)に上り、対日輸出額の約5倍、また韓国にとって2番目に大きな市場である米国と比べても2倍の規模となっている。

 しかし、ミサイル迎撃システム配備に抗議して、中国国営メディアが韓国製品のボイコットを訴えているため、今年の対中輸出は落ち込む可能性がある。同システムは北朝鮮からの攻撃を阻止するために導入されるが、中国はシステムのレーダーが自国の領土も監視可能だと主張している。

 韓国のロッテグループはサイバー攻撃を受けたほか、中国で展開する一部店舗が罰金を受けたり、当局によって閉鎖に追い込まれたりしている。また、反韓デモに見舞われた店舗もある。
 韓国の航空会社は中国と韓国間の定期便を増やすための認可が下りず、化粧品会社は税関審査が強化されたと報告している。また、中国は国内の旅行会社に韓国ツアーの販売を停止するよう指示している。

 中国外務省は法律を順守する外国企業は歓迎され、保護されるとしている。だが、韓国政府は、中国による「不公正な報復」について世界貿易機関(WTO)への提訴を前向きに検討している、と同国与党は明らかにした。

2010年に尖閣諸島付近で発生した中国漁船衝突事件を受け、中国がレアアース(希土類)の輸出を規制したことを巡り、WTOは中国敗訴の判断を下したことがある。

しかしWTOが今回の中国による巧妙な報復措置を罰するのは、はるかに難しいだろうと現旧韓国政府当局者はロイターに語った。


 
 <限られた武器>

 中国における韓国企業の状況は、韓国政府が昨年7月に米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に合意してから悪化している。事態は先週、THAADの配備先としてロッテグループが所有する土地を提供すると判明してから深刻化した。

 いかなる対抗手段も、対中輸出の3分の1以上を占める最大の輸出品である半導体やディスプレーに影響を及ぼしかねない。

 だが、そのような輸出を制限することによって、最も利益をもたらすセクターの1つをあえてリスクにさらすようないかなる法的手段も、韓国にとって現実的ではないと、NH投資証券のアナリスト、Piao Ren-Jin氏は指摘する。

 「韓国政府は懸念を表明し続け、WTOに提訴することはできるが、国家レベルではそこまでだろう」と同氏は語る。最悪のシナリオでは、韓国経済の規模を0.25%低下させる可能性があるという。

 代わりに、政府はマーケットの多様化といった対抗手段を講じることを企業にアドバイスしている。

 そうした措置を検討している一企業に、Le Belle Cosmeticsがある。中国人観光客が減少したせいで、ソウル中心部にある免税店の売り上げは「急停止」していると、同社のキャシー・リム最高経営責任者(CEO)は話す。

 「中国ばかりを見ていられない」と同CEOは述べ、市場拡大の選択肢としてベトナムのような新興市場を強調した。ただその一方で、「同時に、中国に代わるような市場はない」とも明かした。

 以下次の記事に続く