■ 所在地 / 長崎県雲仙市小浜町雲仙
■ 竣 工 / 1935年 ( 昭和10年 )
■ 設計者 / 竹中工務店 ( 早良俊夫ほか )
■ 登録有形文化財
1932年(昭和7年)、当時の鉄道省観光局は、
日本への外国人客誘致による外貨獲得のための国策として、
日本各地に15のホテルを建設しようと計画した。
これにより政府による低金利融資を受け上高地や琵琶湖をはじめ、
日本各地に外国人向けホテルが建設されることになるが、
その一環として日本郵船が運営していた上海航路などにより、
外国人客が多く訪れていた雲仙にも洋式ホテルの建設が決定した。
国から融資を受けた長崎県は、県選出の代議士で大阪の堂ビルホテル経営実績がある
株式会社堂島ビルヂング社長、橋本喜造に建設と運営を依頼。
1935年 ( 昭和10年 ) 10月10日、国有地及び県有地約3,200坪の敷地に
雲仙観光ホテルが誕生した。
雲仙国立公園が日本で初めての国立公園として指定されたその翌年のことであった。
日本の在来建築にアルプス地方に見られるスイス山小屋風のデザインを融合。
地下及び1階はRC造で、骨材は丸石。2・3階は木造。
外観は、柱や梁 、斜材など木造骨組をそのまま外部に出すハーフティンバーと
雲仙の溶岩石と杉やヒノキなどの丸太を組み合わせ、落ちついた雰囲気に仕上がっている。
内部は、床材に米松、手摺りはインドネシア産の硬木材・ジェルトンなどの建築資材を用い、
各所に手斧 ( ちょうな ) 削りと呼ばれる日本の伝統的な技も見られる。
ちなみに竹中工務店が手がけた設計施工の第一号となったホテルである。