ロスの実業家宅でウォーホル作品の盗難、価値は数百万ドルか
ロサンゼルス市警は11日、市内にある邸宅でポップアートの旗手、故アンディ・ウォーホル氏の作品複数が盗まれる事件が起き、捜査していることを明らかにした。
被害を受けたのは実業家で、作品は自宅の食堂に飾られていた。被害金額は不明だが、数百万ドル単位に達するという。
盗まれたのは、サッカーのペレ、米大リーグのトム・シーバー、女子テニスのクリス・エバートなどスポーツ界のかつてのスター選手の肖像画。実業家自身の肖像画も含まれているという。
犯行は9月2日と同3日の間に起きたとみられ、自宅の使用人が被害を発見していた。
市警によると、盗まれた作品の回収につながる有力情報に100万ドル(約9100万円)の懸賞金が約束されたという。
2. リーマン破綻 一部始終を再現
2008年9月、米証券大手リーマン・ブラザーズのファルドCEO(最高経営責任者、当時)は考えられない行動を取っていた。リーマンの破産申請に備えた書類の準備を弁護士に依頼していたのだ。
「政府がリーマンをつぶすはずはありませんよ」。信じられない面持ちのハービー・ミラー弁護士はマンハッタンを見下ろす31階のファルド氏のオフィスに足を踏み入れながら答える。
「アメリカ合衆国政府がつぶれるようなものです。ローマ市がバチカン市国を日本に売ってホテルを建てさせ、法王をポーターに雇うようなものです」
その数日後、ミラー氏はリーマンの従業員らが私物を段ボールに詰めて、次々とオフィスを去っていく姿を痛ましげに眺めていた。
◆BBC1時間ドラマ
これらは英公共放送BBC2の1時間ドラマ「ザ・ラスト・デーズ・オブ・リーマン・ブラザーズ(仮訳:リーマン・ブラザーズの最後の日々)」からのシーンだ。昨年9月15日に米史上最大規模の破綻(はたん)劇を演じたリーマンの最後の日々を描くこのドラマは、英国で9日に放送された。
リーマン破綻に始まり米納税者の金7000億ドル(約64兆4560億円)をのみ込んだ金融システム救済劇は、映画やテレビドラマの格好の題材だ。12日まで開かれているベネチア国際映画祭ではマイケル・ムーア監督による「キャピタリズム:ア・ラブ・ストーリー」が上映された。
BBCドラマの狂言回しは語り手のザック(マイケル・ランデス)だ。テネシー州出身の若手バンカー、ザックはファルドCEOの使い走りを務めている。最初のシーンでザックはウォール街の人々の評価について哲学的な感慨を述べている。「100人中102人が、バンカーなんか大嫌いだと言う」。そこで携帯電話の画面にファルドCEOの名前が表示され、ザックはエレベーターに飛び乗る。
髪が薄くなり始め、顔はむくみ気味のファルドCEOは電話に向かってうなり声を上げている。「どいつもこいつもわが社の株を売っている。まだ気が済まないのか」。立て続けに別の電話に出ながらファルドCEOは今度はザックに向かって机の上の皿を指して怒鳴りつける。「このスペアリブは冷たいぞ」
コリー・ジョンソン演じるファルドCEOはシーンによって本物らしくもあれば道化風でもある。過呼吸気味になるほど興奮する、部下を怒鳴り散らす、そしてスペアリブに目がない。オフィスにゴリラの縫いぐるみを置き、物事がうまくいかないと殴りつける。
だがドラマは同CEOのオフィスとは別のところで展開している。ニューヨーク連銀の役員室だ。そこではガイトナー総裁(現米財務長官、アレックス・ジェニングス)がウォール街のCEOらを集め、リーマン救済を打診。初回の会合にはポールソン財務長官(当時、ジェームズ・クロムウェル)も出席している。杓子(しゃくし)定規なタフガイとして描かれるこの長官は、リーマン救済を断固拒否。「リーマンを救済するための公的資金はない」と宣告する。
ファルドCEOは生き残りを懸けてあらゆる手を尽くす。米銀BOA(バンク・オブ・アメリカ)に身売りを持ち掛け、英銀バークレイズにも必死で助けを求める。ポールソン長官に電話をかけると、「提案はあったのに、価格が安過ぎるといって君が断った」と言われる。
◆いたってリアル
1年前のこの事件は、シェークスピア劇並みのドラマだ。エグゼクティブプロデューサーのルース・カレブは真実味を持たせるための努力を惜しまない。荘重な役員室、間仕切りのない広々としたオフィス、テーラーメードのスーツ、米国風のアクセントは、いたってリアルだ。各登場人物には本物に似た俳優を当てている。ポールソン長官とガイトナー総裁に対するバンカーらの偉そうな態度だけは解せないが。
語り手ザックの視点は物語を面白おかしく伝える。サブプライム住宅ローンで買った家を差し押さえられたザックの妹も登場し、自分が返せない住宅ローンがCDO(債務担保証券)になって売りさばかれ巨額の利益を生んでいる皮肉を強調する。
ドラマはザックの独白で終わる。「彼らの前も、彼らの後も、彼ら以外は全員が救済された」
ストーリーの展開に重要な役割を演じるでもなく、語り手に徹するでもないザックの位置付けはこのドラマの弱点だが、これほど最近の事件を題材にしたテレビドラマとしては、本作はよくできた娯楽作品だ。
海外のテレビ局も購入して放映するだろう。業界用語だらけのオープニングシーンはちょっと難しいが、動きはたっぷりある。何といっても、これは視聴者から遠くないところで、ある投資銀行に実際に起こったことなのだ。
ロサンゼルス市警は11日、市内にある邸宅でポップアートの旗手、故アンディ・ウォーホル氏の作品複数が盗まれる事件が起き、捜査していることを明らかにした。
被害を受けたのは実業家で、作品は自宅の食堂に飾られていた。被害金額は不明だが、数百万ドル単位に達するという。
盗まれたのは、サッカーのペレ、米大リーグのトム・シーバー、女子テニスのクリス・エバートなどスポーツ界のかつてのスター選手の肖像画。実業家自身の肖像画も含まれているという。
犯行は9月2日と同3日の間に起きたとみられ、自宅の使用人が被害を発見していた。
市警によると、盗まれた作品の回収につながる有力情報に100万ドル(約9100万円)の懸賞金が約束されたという。
2. リーマン破綻 一部始終を再現
2008年9月、米証券大手リーマン・ブラザーズのファルドCEO(最高経営責任者、当時)は考えられない行動を取っていた。リーマンの破産申請に備えた書類の準備を弁護士に依頼していたのだ。
「政府がリーマンをつぶすはずはありませんよ」。信じられない面持ちのハービー・ミラー弁護士はマンハッタンを見下ろす31階のファルド氏のオフィスに足を踏み入れながら答える。
「アメリカ合衆国政府がつぶれるようなものです。ローマ市がバチカン市国を日本に売ってホテルを建てさせ、法王をポーターに雇うようなものです」
その数日後、ミラー氏はリーマンの従業員らが私物を段ボールに詰めて、次々とオフィスを去っていく姿を痛ましげに眺めていた。
◆BBC1時間ドラマ
これらは英公共放送BBC2の1時間ドラマ「ザ・ラスト・デーズ・オブ・リーマン・ブラザーズ(仮訳:リーマン・ブラザーズの最後の日々)」からのシーンだ。昨年9月15日に米史上最大規模の破綻(はたん)劇を演じたリーマンの最後の日々を描くこのドラマは、英国で9日に放送された。
リーマン破綻に始まり米納税者の金7000億ドル(約64兆4560億円)をのみ込んだ金融システム救済劇は、映画やテレビドラマの格好の題材だ。12日まで開かれているベネチア国際映画祭ではマイケル・ムーア監督による「キャピタリズム:ア・ラブ・ストーリー」が上映された。
BBCドラマの狂言回しは語り手のザック(マイケル・ランデス)だ。テネシー州出身の若手バンカー、ザックはファルドCEOの使い走りを務めている。最初のシーンでザックはウォール街の人々の評価について哲学的な感慨を述べている。「100人中102人が、バンカーなんか大嫌いだと言う」。そこで携帯電話の画面にファルドCEOの名前が表示され、ザックはエレベーターに飛び乗る。
髪が薄くなり始め、顔はむくみ気味のファルドCEOは電話に向かってうなり声を上げている。「どいつもこいつもわが社の株を売っている。まだ気が済まないのか」。立て続けに別の電話に出ながらファルドCEOは今度はザックに向かって机の上の皿を指して怒鳴りつける。「このスペアリブは冷たいぞ」
コリー・ジョンソン演じるファルドCEOはシーンによって本物らしくもあれば道化風でもある。過呼吸気味になるほど興奮する、部下を怒鳴り散らす、そしてスペアリブに目がない。オフィスにゴリラの縫いぐるみを置き、物事がうまくいかないと殴りつける。
だがドラマは同CEOのオフィスとは別のところで展開している。ニューヨーク連銀の役員室だ。そこではガイトナー総裁(現米財務長官、アレックス・ジェニングス)がウォール街のCEOらを集め、リーマン救済を打診。初回の会合にはポールソン財務長官(当時、ジェームズ・クロムウェル)も出席している。杓子(しゃくし)定規なタフガイとして描かれるこの長官は、リーマン救済を断固拒否。「リーマンを救済するための公的資金はない」と宣告する。
ファルドCEOは生き残りを懸けてあらゆる手を尽くす。米銀BOA(バンク・オブ・アメリカ)に身売りを持ち掛け、英銀バークレイズにも必死で助けを求める。ポールソン長官に電話をかけると、「提案はあったのに、価格が安過ぎるといって君が断った」と言われる。
◆いたってリアル
1年前のこの事件は、シェークスピア劇並みのドラマだ。エグゼクティブプロデューサーのルース・カレブは真実味を持たせるための努力を惜しまない。荘重な役員室、間仕切りのない広々としたオフィス、テーラーメードのスーツ、米国風のアクセントは、いたってリアルだ。各登場人物には本物に似た俳優を当てている。ポールソン長官とガイトナー総裁に対するバンカーらの偉そうな態度だけは解せないが。
語り手ザックの視点は物語を面白おかしく伝える。サブプライム住宅ローンで買った家を差し押さえられたザックの妹も登場し、自分が返せない住宅ローンがCDO(債務担保証券)になって売りさばかれ巨額の利益を生んでいる皮肉を強調する。
ドラマはザックの独白で終わる。「彼らの前も、彼らの後も、彼ら以外は全員が救済された」
ストーリーの展開に重要な役割を演じるでもなく、語り手に徹するでもないザックの位置付けはこのドラマの弱点だが、これほど最近の事件を題材にしたテレビドラマとしては、本作はよくできた娯楽作品だ。
海外のテレビ局も購入して放映するだろう。業界用語だらけのオープニングシーンはちょっと難しいが、動きはたっぷりある。何といっても、これは視聴者から遠くないところで、ある投資銀行に実際に起こったことなのだ。