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「腐敗の文化」に判決は毅然と

2009-09-09 16:15:34 | エンターティメント情報
「腐敗の文化」に判決は毅然と
 

米国で最も有名なマフィアといえば、ドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の主人公、トニー・ソプラノだろう。そのトニーが有罪判決を受ける際に「犯罪的な環境の中で生活していた」という理由で、刑期を短縮されたとしたらどうだろう。ソプラノ・ファミリーこそが「犯罪的な環境」をもたらしていることを思えば、これは因果関係を逆転させた“迷”判決としか言いようがない。

 だが8月17日、ニューヨーク州ブルックリン地区の連邦裁判所で、まさにこの通りの理屈が頭をもたげたのだ。ジャック・ウェインスタイン判事は、顧客を食い物にしたとされる、スイス金融大手クレディ・スイスの2人のブローカーを裁く際に「腐敗体質の企業文化が一般化していた中での行動を考慮に入れる」と宣言したのである。

 これだけを聞くと、まるで判事が2人のブローカーに厳しい判決を言い渡すことで、腐敗を広げた罪を償わせようとしていると思えなくもない。だが、それとは逆で、ウェインスタイン判事は罪が広がれば広がるほど、それを罰することは難しいという思想の持ち主のようだ。

 ◆高リスク証券で詐欺

 クレディ・スイスの社員であったエリック・バトラー被告とジュリアン・ツォロフ被告は、社内ではチームを組み、個人的にも友人同士である。そんな彼らは、単に顧客の投資した株が暴落することを予測し損ねただけではなく、資金の投資先について、顧客にうそをついていたのだ。安全な米政府保証付きの学費ローン証券を裏付けにしている金融商品と偽り、高リスクのARS(入札方式証券)を、法人顧客に対し売りつけていたのである。

 そして昨年秋の金融危機でARSは暴落し、彼らの顧客は合計で9億ドルの損失を出した。

 ツォロフ被告は裁判が始まる直前に有罪を認め、かつての親友、バトラー被告の不利になる証言を行った。より高い手数料収入を求め、売っている金融商品について「自覚的にうそをついた」と述べている。裁判開始から3週間後の8月17日に、ウェインスタイン判事はバトラー被告に有罪評決を下した。

 これに対し、弁護士側は「損失の責任は被告ではなく、金融市場の崩壊にある」として、控訴を決めた。「金融界で働く者の全員が2人が販売した債券が最高品質で、短期投資としては安全だと信じていた」というのが、弁護士が裁判後に発したメッセージである。

 判事は、被告2人に対する判決を10月に言い渡すことを明らかにした。さらに弁護側と検察側の双方に、金融業界における規制の欠如と、従業員に対する深刻な監督不足について記した弁論趣意書を、判決までに提出するよう求めている。

 確かに、ウォール街では多くの金融マンが米国民から預かった資金を雑に扱い、巨額の損失を発生させておきながら、自分たちは何百万ドルものボーナスを受け取っている。むちゃな投機が一般化していたことは、明らかだ。正常な判断力をまひさせる「腐敗の文化」があったことも事実である。

 ◆自然に発生する犯罪

 「弁護士の中には『腐敗の文化』を持ち出すことで、被告人が間違っていると自覚せずに行動していたと、判事を説得できるかもしれない」

 これは、検事出身で今ではホワイトカラー犯罪を専門に扱う弁護士のロバート・ミンツ氏の言葉だ。

 皆がやっているのに、誰も捕まらないため「実は非合法ではない」と、被告人がいつの間にか思うようになっていた、という論法だ。

 だが、ウェインスタイン判事の論法は、ミンツ氏のそれとは異なったものだ。

 判事によれば「ちょっとした不法行為に対する報酬があまりに巨額なため、刑を重くすることでは犯罪を防止することはできない。詐欺や他者の権利を傲慢(ごうまん)に踏みにじる態度は、ほとんど自然に発生するのである」という。

 判事が「自然に発生する」犯罪だという理由で、この2人の刑期を短縮するのなら、ほかにも胸をなで下ろしている金融犯罪者がいるのではないか。現に、米証券大手ベア・スターンズでヘッジファンドを運用していたラルフ・チョッフィ被告とマシュー・タニン被告の2人が、ベア・スターンズ崩壊の原因となった詐欺について、裁判を待っている。しかも、裁判が行われるのは、バトラー被告とツォロフ被告と同じブルックリン連邦裁判所だ。

 だが、「腐敗の文化」がさらなる腐敗を生むのであれば、適切な対応は罪を重くする以外にないはずだ。一罰百戒で、腐敗を実践している有象無象に、毅然としたメッセージを伝えるべきだ。


2. ハリウッド映画不振、劇場運営のコスト削減へ=東宝社長

  東宝の高井英幸社長は、ハリウッド映画の不振が業績の成長見通しに暗い影を落としており、興行収入の減少を受けて劇場運営のコスト削減に取り組むことを明らかにした。
 高井社長はロイターのインタビューで、昨年公開された「崖の上のポニョ」など、邦画の人気は高まっているものの、利益を伸ばすには十分ではないとの見方を示した。
 日本ではハリウッド映画をヒットさせるのは以前より難しくなった一方、邦画は好調な成績を収めている。日本映画製作者連盟によると、2008年の日本の映画興行収入は1950億円と前年比で1.8%落ち込んだが、邦画だけでみると前年比22%増の1160億円となった。 
 東宝の2009年2月期の営業利益は、邦画のヒットで前年比16.5%増加。7月には2010年2月期の営業利益予想を180億円に約10%上方修正したが、それでも前年比では約20%減となっている。


4. 「日本は大人になる憂鬱を味わっているのだ」 村上龍氏が政権交代で米紙に寄稿

作家の村上龍氏は8日付米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、日本の有権者が政権交代にもかかわらず、喜びを爆発させる様子でもないのは、「政府がすべての問題を解決してくれるわけではないということに気付いた」からだと指摘した上で、「日本はようやく成熟しつつある」と変化を前向きにとらえた。
 村上氏は、過去の日本では政府があらゆる問題の解決を担ってきたと述べつつ、「今日の政府はもはやすべてを良くするようなカネをもっていない」と分析した。
 さらに、地滑り的大勝によって民主党が必要なカネを得るわけでもないとした上で、「日本人は政権交代によって生活が改善されると信じるほど幼稚ではない」と述べた。
 村上氏は、日本人はこうした事情を理解しているからこそ、マスコミで紹介される街角の表情が政権交代にもかかわらずどこか暗い印象を与えるのだとし、「だがそれは日本が衰退のふちにあるということを意味するのではない。単に、子供が大人になろうとするときの憂鬱(ゆううつ)な気持ちを味わっているにすぎないのだ」と、肯定的な評価で結んでいる。