フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2012年2月③

2012年02月01日 | しゃちょ日記

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 2012年2月13日(月)/その954◇斬新

 ベランダで一服していると、電話だという。

 おやっ、いったい何の用事だろう?
 意外な方からの電話に、急いでデスクに戻る。
 「ハイハイお待たせ」と受話器をとると、
 その意外な電話主の第一声はこれだった。


 「今忙しいんだけど、用事って何なの?」


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 2012年2月14日(火)/その955◇謙虚な夢

 今日はは栄光のバレンタインデー。

 若い頃はトラック一台分のチョコレートをもらったものだ。
 もとい。実際に、そーゆー夢を見たものだ。

 オトナになってからは、そういう夢は見ない。
 世間の荒波にボコボコに揉まれて、
 性格も夢も謙虚になったからだ。

 今は義理チョコを三つばかりもらう。
 もとい。実際に、そーゆー夢を見る。


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 2012年2月15日(水)/その956◇ウワサを信じちゃいけないよ

 血気盛んな頃は、体力に任せて日夜聴いたベートーヴェンだが、
 寄る年波にエネルギー・エコが必要な昨今では、
 まともに聴くのは盆と正月くらいのものだ。

 だが、大指揮者フルトヴェングラーの未発表の『運命』『田園』が
 発売されたとあっては、そうも云ってはおられない。
 死して尚、今も人気ナンバーワンの指揮者である。
 その『運命』『田園』は、私の生まれる前年(1954年)の録音。
 即買いして、思う存分の大音響で聴いた。

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 いやはや、ゲラゲラ笑ってしまうほどに素晴らしい。
 オケはベルリン・フィルなのだが、アンサンブルは縦も横ももうメタメタだ。
 フルトヴェングラー「=振ルト面喰ラウ」というウワサはこの辺から出ている。
 なのに音楽そのものが、鋭くハートに突き刺さってくる。

 指揮者フルヴェンの猛烈な大志が、そのまんま反映された演奏。
 止めることなど不可能な、理想一直線の恐るべき推進力。
 何とか指揮棒についてゆこうとする団員の必死の熱狂。
 死んでこい的アッチェレランド(次第に速く)に負傷者も続出するが、
 そんな有り様さえも音楽の一部になっちまってるところがまた凄い。
 細部の傷の整備に必死で、全体を俯瞰しない現代の傾向とは真逆の世界。

 そんな時代もあったのね。
 チマチマ停滞することなく信念頼りにブッチ切る。

 ああ、どーにも止・ま・ら・な・いっ!

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 2012年2月16日(木)/その957◇もうそれ以上~♪

 「埠頭を渡る風」。

 いい曲だねえ。
 さっそうとしたハーモニーの稲垣潤一&EPOのカヴァーで、
 近ごろは毎日のように聴いてる。

 ユーミン、1978年の作。
 私も23歳だった。
 希望と絶望がクロスする、あの青春の愛しき日々。

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 じゃあ私は、「あの日にかえりたい」のか?

 いいえ、けっこうだす。
 いえ、かえりたいのは山々なんです。
 まあ、同じ失敗を繰り返すこともねえでしょーが、
 だがしかし、違う大失敗をやらかす自信があります。
 つまり、今度こそ命はねえですっ(汗)

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 2012年2月17日(金)/その958◇日本の自殺

 「歴史的事実に照らしてみるとき、確かに第二次世界大戦後の日本は
 物質的にはめざましい再建をなし遂げたが、
 精神的には未だにほとんど再建されてはいない。
 日本はその個性を見失ってただぼう然と立ちつくしたままである」
                       (『日本の自殺』より)

 芥川賞受賞作が全文掲載されている号に、
 いま話題のその論文も掲載されているというので、
 文藝春秋の三月特別号を、本腰入れてじっくりと読む。

 さすがにニッポンの良心、文藝春秋。
 まあ、近ごろのパセオほどではないにせよ(汗)、
 そのぶっとい芯の充実ぶりには目を見張るものがある。

 お目当ての『日本の自殺』は、
 「グループ1984年」という集団の共同執筆による1975年発表の論文だが、
 その37年後となる今現在の日本を内臓から鋭く射抜くような、
 空恐ろしいまでの鋭い洞察に充ちている。

 経済の繁栄がもたらす、すべて他人頼りの過保護世界。
 財源の枯渇に全員で気づきながらも、
 官も民も大盤振る舞いの現況を潔く捨て去ることが出来ない。
 窮状打開をめざすリーダーたちは夢破れ、衆愚の波に飲み込まれる。
 無責任と贅沢に慣れ果てたローマは、他国からの侵略ではなく自ら命を断つ。
 そういう遠い過去の生々しい現実をベースとする、
 わかっちゃいるけどやめられない近未来物語。

 まあ、しかし、暗いばかりの話ではない。
 現代ニッポンと状況が酷似する「ローマ帝国の滅亡」との比較を軸に、
 滅亡のプロセスというものを徹底的に検証するが、
 さらに、その教訓から導き出されるヴィジョン~戦略~戦術が
 実にシンプル明快に提示されている。


 「自己決定能力」。
 
 キーワードはそこにあると私は読む。
 個人個人の「自己決定能力の欠如」が、ローマ滅亡の原因の元凶だった。
 そして現代では、ヒトラー的処方箋がうまくゆかないことは誰でも知っている。
 最後に残る選択肢は、市民一人ひとりの「自己決定能力の復活」以外にはない。
 
 この論文が書かれた時代に、現実社会の仕組みに落胆しながら、
 バッハやフラメンコに傾倒してゆく若き私の必然性が視えてくる。
 バッハもフラメンコも、巨大な何か(神? 宇宙?)に対する
 自己決定能力の充実が最小必要条件となるアートだ。
 ただ崇めているのだけでは生ぬるく、
 そこからの発見を日常生活の改善に反映させる必要がある。
 そういう傾向が、じわじわと社会に広がる必要がある。

 と、まあ、何とももっともらしい強引な後付け、もしくはこじ付け。

              
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 2012年2月18日(土)/その959◇土曜レイチェル、日曜有子

 明日はすみだトリフォニーで、もの凄いバッハ・ライブがある。
 なんと、すべて異なるプログラムで1日4回公演という前代未聞のチャレンジ。
 その主役は女性ヴァイオリン奏者のレイチェル・ポッジャー。
 伸びやかに瑞々しいバロック奏法で一躍国際的スターとなった彼女だが、
 デビューの頃から輸入盤で注目している。

 4公演とも聴きたいのは山々だが、
 翌日曜は待望の屋良有子ソロライブ(新宿エルフラのマチネ)があるので、
 エネルギーをそこそこ温存する必要がある。
 なので15時半の無伴奏ヴァイオリン、18時半のヴァイオリン協奏曲の2公演に絞る。
 開演前には向島百花園を、インターバルにはスカイツリー界隈を散策予定。

 世界中の音楽コア・ファンが注目するポッジャーだが、日本ではほとんど無名。
 この3月にはビセンテ・アミーゴ来日公演も主催するすみだトリフォニー。
 集客の難しい、知る人ぞ知る超高品質コンサート開催がウリなのだ。
 すでに15年、N氏とU氏のコンビは本当にいい仕事をガンガンやる。
 好ましい文化の充実は各個人の自己決定能力の総量で決まる、というのは昨日の続き。

 山あり谷あり、極楽あり。
 土曜レイチェル、日曜有子!


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 2012年2月19日(日)/その960◇本日『笑点』より

 マニフェストとは「宣言」のことだ。

 だが、日本においてはこれが「カラ手形」を意味することは、
 日本人なら誰でも知っている。


 一方、アジェンダとは「政策課題」という意味らしい。
 この先どのような意味に変化してゆくのか、注目したい。


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