作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 ゼーフェルト・イン・チロルは真夏の山に雪が降る(いつも珈琲があった25話)】

2014-04-03 09:03:08 | 03 いつも珈琲があった
今回は93年に訪れたコーストリアの田舎を巡った話を書く。

ボクはチロルの山の中に在る、オーストリーで最も美しい村コンクール
の優勝常連のアルプバッハで、なんとボク自身が摂られた写真が、
村の土産物屋、それも何軒かあったが、の店頭に絵ハガキとして売られて
いたモノを見つけたという、ちょっと信じられない体験を持っている。

その村に行くのは二度目だった。
一度目は87年で、実はそのアルプバッハの教会で、パパゲーナと結婚式
を二人だけで行ったが、その時に雇った村の写真屋が、ボツにしたモノの
中から、ボクだけが花馬車に揺られて教会に向かう写真を利用したと後で
知った。

あの時、珍しく花馬車を仕立てたカップルを、各国からやってきた観光客に
カメラやハンディカムに納められたが、意外な場所でボク等の映像が観賞
されている可能性がある。

今回のお話の舞台はここではなく、冬季オリンピックで二度もスキージャンプ
の設置場所になった、ゼーフェルトでのこと。
どちらかと言うと、冬のリゾートだから、夏期は空いていて、最も高いホテル
ではスイートを通常料金であてがってくれた。

インズブルックで借りたレンタカーで行ったのだが、着いたその日は雨こそ
振りはしたが、寒くはなかった。それが一変して気温が8度に下がり、夏支度
のボク等は震えた。広すぎるスイートが仇になった。
翌日窓の外を眺めたら、一望する山々がすべて雪で真白な世界に変貌して
いた。ヨーロパでは往々にして、こんな季節外れの冬がやってくる。

パパゲーナとまだ幼なかったアイン・クライン・パパゲーノは、ホテルの眼の前
にある高級品ヌティックで、北欧製のウールのコートを緊急購入したが、ボクは
耐えることにした。

そのブティックの並びにあったレストランに入り、熱い珈琲を注文したら、気の良さ
そうな店の大将と、女将さんが笑顔で応じてくれた。
寒いホテルの部屋に居るよりはと、もっぱらその店で食事も摂り、後は珈琲を愉し
んで8度の外界から身を護っていた。


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