作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 日課のような午後の珈琲タイム(いつも珈琲があった33話) 】

2014-04-15 17:25:26 | 03 いつも珈琲があった

以前にも書いたがボクの会社では吟味したコーヒー豆を社員が
淹れてみんなに供する、麗しい習慣がある。

今日の午後の珈琲タイムが、いま終わったばかりだが、昨日・今日
と二編に別けて書いた、スイス・ヘルメス社のエルメスタの話には
色々と後日談があるから、それを社員たちに披露していた。

シュミットは怒りにまかせて、東急エイジェンシーに怒鳴りこんだと言う。
ボクはそれを、当の東急エイジェンシーの部長クラスの人から、ある
パーティーで声をかけられ、詳しく聞かせてもらった。

ドイツの会社は、総合薬品会社だったが、そのころから始まったアメリカ
資本による買収劇で、主力の薬品部門が買収されて、人工甘味料部門
だけが、事もあろうにスイス・ヘルメスに買い取られてしまった。

ボクはすでに、日本でサッカリンは売れる見込みが無いと、他の方面に
進路を変えていたから、何も痛痒は感じなかった。

トーメンが「いずれは上場も」と、資本を注ぎ込んだ子会社に、社長の肩書
で出向させられた人々こそ気の毒である。

ミネオ君がどんな顔をした男かを見に行ったこともある。
水道橋の駅前に建つ茶色のビルの中にあった。
人数や面積を偵察に行ったのだ。糖尿病の友人に頼まれて買いにきたと
言って、男3名女子1名の会社を見届けて来た。
相手はボクの偵察行為を今も知るまいと思う。

ボクの会社は、今もヘルメス・ジャパンと名乗る。その由縁はお話しした通り
である。ヘルメスはギリシャ神話に登場する神に一人で、ゼウスの12人の
子供の中の末子である。ヨーロッパには多い社名だ。

東急エイジェンシーの人によれば、シュミットは本来不要なドイツ社の部門にも
カネを使わされたと、怒り心頭に発し、何とかヘルメス・ジャパンの商号を取り
上げろと喚いたらしいが、商標ならいざ知らず、商号登記はどうにもならぬ。

今のボクの会社は、人工甘味料とは無縁の世界で生きている。
ある時ミュンヘンに行った折りに、かのドイツの会社を訪れてみた事がある。
本社は米系に買われ、切り離された甘味料部門の留守番をやっている老人
と会って話を聞いた。
「お前があの小林か、スイス・ヘルメスを好き放題に痛めた痛快な男がお前か」
と大喜びで、ボクを近所の「チュラスコ」という焼き肉屋で奢ってくれた。

あの時の担当者は、ヘキスト辺りに転職したと聞いて安堵した覚えがある。
その後のミネオ君の消息は知らない。
カレの奥さんはウインブルドンの女子ダブルスで決勝まで行ったテニスの名手だ。

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