二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

ガールズ&ドリフターズ!!(ドリフターズ×ガールズ&パンツァー「ゆきゆきて戦車道」より)中

2014-09-27 07:27:19 | 習作SS

延々と広がる荒野。
太陽が降り注ぎ草木の欠片すらない場所で、
老人2人がお互いありったけの罵声と腕力を以って歳の事も考えず喧嘩をしていた。

「パクリじゃあーッ パクリじゃあ!!なんでパクリ野郎があーー!!」

独眼の老人。
顔は皺だらけで頭は白く。
後は天命を待つだけの歳と見られるが元気よく相手を罵った。

「パクってなどおらんわっ!!
 それを言うなら貴様こそだっ、勝った者が正義なのだっ」

「うるしぇええーーッ パクったろてんめえーッ!
 ワシのカンナェのパクリじゃあーッザマでッこのガキャーーッ!!」

対してローマ風の長衣を羽織った初老の老人が言い返す。
そこに一切の迷いはなく、自分が正しいことを信じていた。
だが当然独眼の老人は納得せず、長衣の老人に飛び掛り地面に押し倒す。

「何を言うかこのじじいめ、じゃあ勝ってみせろよ
 それに、私が勝ったんだからもうパクリじゃないっ!」

「むぎいいッ!何その超選民っぽい言い草ッ!
 だからローマ人って大嫌いなんじゃーーーーッ!」

「帰ったらカルタゴに塩をまいてやる!」

「帰ったらもっかいアルプス超えじゃあ!!」

そして始める荒野のプロレス。
老人2人がありったけに肺活量で罵り、ゴロゴロと地面を転がる。
荒野の地面で転がっているせいでお互い埃塗れであるが気にしていなかった。

だが気にする人間はいた。
盛大に土ぼこりを立てて大喧嘩を演じている2人から離れた場所に眼鏡の男がいた。

『ハム、そちらは』

「はい こちらハム。
 こちらの方は、仰っしゃった通り2人を補足。
 ですが、こちらの漂流物は どうも老人2人の様ですが……大喧嘩の真最中です」

漂流者の保護を目的とした結社「十月機関」のハムだ。
師に従い漂流者である2人の様子を監視しており、通信の水晶玉で師にその様子を報告している。

「時折翻訳できない言葉が混ざっていますが、
 2人の言語は恐らく古代ギリシャ語、或いはラテン語。
 片方が古代ローマの長衣を羽織っているのを見ると、古代地中海の人間だと思われます」

『地中海か、それも2人。
 セムの方の6人といい俄かに漂流者の数が増えたな』

「はい、おっしゃる通りです大師匠様」

漂流者としてこの世界に流れ着いた人間は、
大抵非業の死、或いは行方不明になった人物達であるため、
一度に集団でやってくることはなく、発見される際は大抵1人である。

それがどうだろう?
ここ数日で俄かに数を増しただけでなく、
こうして一塊にやって来たのだ、2人には信じられない思いであった。

『止めろ。彼らがどちらの意思で【こちら】に来たか。
 それが問題だ、最近騒がしい北方の黒王の件もあるからな』

「はい、大師匠様」

もしも、2人がこの世のすべてを憎悪する廃棄物ならば厄介だ。
早急にしそれなりの対処をしなかれば、この世が滅ぶ。

そう通信水晶玉の向こうにいる大師匠様と呼ばれる人物。
漂流者でもある安部清明が内心で呟いた。

「なっ!?」

『どうした!ハム!!』

「漂流者です!突然2人の前に現れました!」

『ばかな…っ』

またもや来訪する漂流者。
それも同じ漂流者の近くに現れた事実に阿部清明は絶句する。

「しかも、あれは…パンツァーです!
 鉄の馬車、鋼鉄のチャリオット、国父と共に現れた漂流物、あれは間違いなくパンツァーです!」

『パンツァー、だと?』

何もない空間から荒野に吐き出された物体。
人の背丈とさほど変わらなかったが、突き出た砲身。
そして、鋼鉄の重みは間違いなくパンツァー、戦車であった。

ハムが驚いたようにより近くにいた古代の英雄2人はさらに驚き、
喧嘩を止めて、しばらくこの乱入者、或いは乱入物を眺めていたが口を開く。

「何じゃこれは?馬車にしては馬がおらんし、
 破城槌にしては変じゃ、この突き出たのはバリスタか?」

「ボケたか、ハンニバル。
 どう見てもこれは我々が知る代物ではない。
 だが全て鉄で出来ているようだし、この車輪で動くのか?
 よっこらせ、ここが開くのか…おい、中に人がいるぞ?」

「何じゃと!?」

2人でパンツァーを触り、
この代物が何か首を捻っていたが、
車体に登りハッチを開けたスキピオが中に少女が居るのを発見した。

「おい、しっかりしろ。
 私の声が聞こえるか?聞こえたら答えろ!」

「ん…?」

ハッチから覗き込んだスキピオが帽子を被った金髪の少女に話しかける。
少女は見たところ外傷はなく、スキピオの声に反応するように呻き声を発すると、徐々に瞳を開いた。

「ここは…って何だおまえは!!」

「眼を覚ましたようだな、
 というか何を言っているんだ?この平たい顔の少女は?」

「さてな、見たところオリエント世界の住民でも無そうそうだな」

眼を覚ました葉いいが、言葉が通じないことに戸惑うスキピオ。
そして、少女が自分達が知る国々の住民でない事実を推測するハンニバルであった。

「ん…ここはどこぜよ?」
「うーー?」
「……三途の川の六問銭を渡したと思ったが、ここは?」

どうしたものか、と考える2人だが、
金髪の少女だけでなく、中にいる他の少女達も目を覚まし出した。



※  ※  ※



『全員少女です、間違いない。
 パンツァーを操っているのは少女です』

「そうか、少女か」

観測を続けるハムからの報告に阿倍清明が相槌をうつ。

「老人2人と合わせて直ちに保護するんだ」

『分かりました』
 
通信を一度切る。
安部清明は山積みした本にもたれ掛かりため息を一つ。
一仕事を終えた余韻に浸るように、ボンヤリと天井を見上げ、呟いた。

「パンツァー、パンツァーか」

パンツァーという単語を繰り返す。
かつて国父が建国と共に現れた鋼鉄のチャリオット、パンツァー。
そして、国父に従いパンツァーを操り、オルテ建国の一翼を担った戦乙女達。
それが今になって再び現れた事実に、北の黒王の出現と合わせて戦乱の予感を安部清明は感じる。

「国父は世襲制の体制を破壊し、国富を分配。
 効率的な官僚制度、そして意図的に被差別階層を作ることで中央集権を確立させた。
 だがその代償は50年に及ぶ戦争、なあ、紫。おまえは一体何をしたいのだ?何が狙いなのだ?」

壁に掲げたオルテの国父の肖像画、片手を掲げたちょび髭の男性に語りかける。
だが安部清明の問いかけに答えることはなく、その隣にある【栗毛と銀髪の凛々しい少女2人の肖像画】もまた答えを出すことはなかった。







コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ガールズ&ドリフターズ!!... | トップ | 【応援PV】提督たちの憂鬱 序章 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

習作SS」カテゴリの最新記事